病院の臨床検査技師の求人が最も多い
臨床検査技師の求人で一番多いのはやはり病院です。総合病院や個人クリニックなど、規模は様々ですが、就職先で病院が一番多いのは現在も変わりありません。病院の規模によって、検査室の臨床検査技師の人数も変わってきます。急性期か回復期の病院であるか、救急対応をしているかなど、病院の特性に応じて臨床検査技師に求められるもの、得られるものも変わってきます。
大切なのは、何のために転職するのかということです。スキルアップを目指したい、やりがいを感じながら働きたい、アットホームな雰囲気の中で働きたいなど、転職の目的や理由に応じて、目指す病院の規模が変わってきます。
大規模総合病院の検査室の場合
500床以上大規模な総合病院の検査室の魅力は、なんといっても深く検査のキャリアを積めるということです。1000床以上の大学病院や地域医療の中核を担う総合病院の検査室では、30名以上の臨床検査技師が勤務していることも珍しくありません。全国的にも名前の知られている臨床検査技師を指導者として学べる機会もあるでしょう。大きな組織であるため、昇給の基準が明確であったり、福利厚生なども充実しており、就職先としても安定しています。
ただし、その分非常に大きなものを病院の外からも求められます。地域の臨床検査技師の指導者的立場を担うことも多く、研修会や勉強会の主催、発表、指導など、病院の外でも後進を育てる役割を担います。
また、この規模の病院であれば三次救急を担っている病院が殆どで、必ずと言っていいほど当直やオンコールでの時間外の勤務があります。給料面やスキルアップなどの条件は非常に恵まれていますが、それに伴う努力も大きなものが求められます。
- 大規模病院では検査のキャリアを深く積むことができ、給料面でも安定しているが、当直やオンコールは避けにくく、病院外での後進育成の活動なども求められる。
中規模病院の検査室の場合
100~299床の中規模病院の検査室は、10人未満の臨床検査技師で業務を行っていることが多く、2~3名の臨床検査技師のみで業務を行っていることも珍しくありません。これは、検体検査の一部もしくは大部分を検査センターに外注していることが多いためです。生化学検査の一部もしくは全てを外注し、血液一般検査や尿検査は院内検査室で行っているというケースも多くみられます。
この規模の病院に勤務する臨床検査技師は、検体検査と生理検査の両方をバランス良くこなせることが大切です。検体検査ならば血液一般、尿検査などの基本的な検査をこなせて、生理検査ならば心電図や肺機能検査、場合によっては脳波検査やホルター心電図の解析をこなし、一般的な分野をまんべんなく検査できることが望ましいです。
また、この規模の病院の検査室に勤務することのやりがいのひとつは、チーム医療の一員であることを実感できるという点です。大規模病院に勤務する臨床検査技師よりも、患者さまに密に接する機会も多く、チーム医療の一員として他職種と協力しながら、自分が患者さまの治療やその後のより良い生活のために貢献できていると感じることができる喜びがあります。
- 中規模病院の場合は、検査の大半を外注し、少人数の臨床検査技師で業務を行うことも多い。チーム医療に貢献しやすいことは利点のひとつ。
小規模病院や個人クリニックの場合
100床未満の小規模病院や無床の個人クリニックの検査室に勤務する魅力は、患者さまや他職種のスタッフとの距離の近さです。小規模ゆえに、臨床検査技師が1人しかいないという病院も珍しくありませんが、その分、責任の重さと同じだけのやりがいがあります。
また、個人経営の病院の場合、昇給や福利厚生などが明確でない場合もあります。少ないスタッフで経営を行うため、休日も院内の行事ごとに駆り出される場合なども起こり得ます。アットホームな雰囲気の中で働きたい人には、大規模病院より、小規模病院や個人クリニックでの勤務が向いている可能性もあります。
- 臨床検査技師が1名のみという小規模病院やクリニックも珍しくなく、責任や負担は大きくなるが、やりがいも大きい。
本記事は2016/12/28の情報で、内容は臨床検査技師としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。