不動産デベロッパーの主軸事業
不動産デベロッパーは大別して、オフィスの賃貸を主軸におく企業と戸建てやマンション販売などを主軸におく企業があります。もちろんリゾートや商業に注力している企業もあるのですが、その実、オフィスか住宅の利益に支えられている面が多く、むしろリゾートや商業はその会社の名前を売る広告として展開しているケースが多いです。
そのため、不動産デベロッパーで勤務するにあたっては、オフィスと住宅は避けては通れない仕事となります。
オフィス関連の仕事
オフィス関連での仕事の場合、仕事内容としては、企画、用地取得、売買対応、行政対応、工期管理、テナント誘致活動(リーシング)、竣工後のテナント管理や設備管理(プロパティマネジメント)が主なものとなります。そのため、基本的には法人が顧客となるので、いかに効率的にその物件の価値を維持、向上させるかに視点が置かれるシビアな仕事となります。
オフィスのやりがいとしては、そのダイナミックさや街のあり方そのものに影響を与えられるというポイントにあります。逆に悩める点として、立地や賃料以外でアピールできるポイントが少ないため、営業活動に苦心することです。もちろん、カンファレンスを完備していることや、有名な飲食店が入っていることなどもアピールポイントとなり得ますが、対法人の場合、賃料が妥当であればそれらを検討するだけで、なかなか設備ありきで移転を検討することは少ないです。
また、オフィスのデザインはそこに入居するテナントのイメージも左右するため、奇抜なデザインや突飛な機能を備えたオフィスは忌避される傾向にあり、各企業、竣工するオフィスのデザインはなるべく当たり障りのないものが多くなります。それらが各オフィスのアピールポイントの減少につながり、営業活動の苦心のポイントとなります。しかし、これらを乗り越え、入居契約にこぎ着ければ巨額の賃料収入の獲得につながるため、そこにもまたオフィスならではのやりがいがあります。
また、竣工したオフィスは建築にかかった費用を回収し、利益を生み出すため、より長い期間その機能を維持する必要があります。そのためにプロパティマネジメントという仕事があり、オフィスの5年後、10年後を見据えた中長期的な視点と日々のテナント管理という短期的な視点が必要となる重要なセクションです。
オフィスという建築物は非常に息が長いため、仮に竣工から携わることがあれば、それに対する愛着は人一倍となり、それこそデベロッパーとしての本懐となります。
- 法人相手のオフィス関連事業は営業活動に苦心することも多いが、オフィス自体が街のシンボルともなり得ること、契約が多額の収益につながることなど、やりがいも大きい。
住宅関連の仕事
住宅関連での仕事の場合、その内容としては、主にマンションの場合、企画、用地取得、売買対応、行政対応、工期管理と、ここまではオフィスと大差ないのですが、その商品の買い手・借り手が法人ではなく個人がメインとなることに大きな違いがあります。そのため、立地や金額もさることながら、長くそこに住まうことを前提に購入される方が圧倒的に多いため、デザインや機能性が非常に重視されます。ここが個人を顧客にすることのやりがいと苦心につながるポイントとなり、住宅の仕事に携わる人の頭を捻る部分となります。
オフィスのように賃貸メインであれば、長期的な目線で回収を目指せるため、多少テナント誘致に苦心しても極端な空室が続かなければ逆転の要素を持つのですが、販売メインとなれば、可及的速やかに売却しなければそれはただの負債となり、デベロッパーの利益というのは日に日に失われていきます。子会社の販社などに出向した際は、日々それらの実態を目の当たりにすることになります。
オフィス以上にシビアな住宅ですが、それらは短期的に大きな利益をもたらすため、ハイリスクハイリターンな痺れる世界観こそがやりがいにつながることとなります。流行りを読みつつ、自社ブランドの良さを引き出すことで初めて他社と競合することが叶い、顧客の関心を引くことができます。また、それらのこだわりを最大限にアピールするため、モデルルームを取り仕切るなど、住宅の仕事に従事する人はかなり多忙なケースが多いです。
また、顧客の人生における重要な買い物となるので、長い生活を過ごす環境として自社の住宅を選択してもらえることの悦びも、大変大きなやりがいにつながります。また、住宅においては、給与にインセンティブがつくことがあり(ハウスメーカー等ではさらに堅調)、顧客獲得が自身の収入アップにも反映されるため、かなりの重労働となりますが、野心家にはもってこいの環境です。
- 個人顧客が長期間暮らす住宅を扱うという難しさがあるが、顧客が自社商品を選択してくれた時の喜びは大きく、契約がインセンティブとして給与に反映される点も大きなやりがい。