(a)製薬会社の研究職と資格
製薬会社の研究職としての仕事内容は、主に、①有効成分の合成の研究、②薬理の研究、③製剤の研究、④有効成分の合成のための工業化検討、⑤基礎研究の5種類に分類されます(コチラも参照)。
製薬会社の研究職で、資格が必要となる資格はほとんどありませんが、前記にあげた④の有効成分の合成のための工業化検討を職種に転職する場合、必要になるかもしれない資格があります。その資格とは、危険物取扱者(甲種)および高圧ガス取扱者の資格です。
④の有効成分の合成のための工業化検討の場合、有機合成を行う場合が多くあるのですが、その際に、大量の有機溶剤を使用したり、高圧下での反応を行わなければないケースが多々あります。その際には、前記した2つの資格を持っていることが必要となってきます。採用試験でかなり有利に働きます。
また、資格ではありませんが、製薬会社では英語力をもっていることが必須であり、転職の際にはTOEIC730点以上の英語力の能力が要求されることが多いです(実際には採用試験の際に1年以内のTOEICの成績表を提示させる会社もあります)。
(b)製薬会社の営業職と資格
ここでは「MR認定試験」について言及します。2008年までは、製薬会社か製薬会社のCSO(営業受託機関)で導入教育を受け修了認定された人にしかMR認定試験の受験資格はありませんでした。しかし、2009年からMR認定センターが認定した教育研修施設で300時間以上のの基礎教育の講座を受講した人は受験資格が得られるようになりました。
製薬会社の営業職の方の多くがはMR認定資格を持っています。この資格がないと、営業職での中途採用の可能性はかなり低くなってしまいます。製薬会社への営業職としての転職においては、MR認定資格を持っていることに加えて、いかに多くの医師や病院とのコネクションを持っているかどうかが採用の可否判断として非常に重要になります。
もし、MR認定資格をもち、多くのコネクションや多大な実績をもつような営業職の方は、大手製薬会社の営業職への転職をチャレンジしてみましょう。大手製薬会社の営業職では、20代で年収700-800万円などということも珍しくありません。転職の場合、卒業した大学のレベル、つまり学歴などはほとんど関係ありません。
(c)製薬会社の知的財産部と資格
知的財産部とは、知的財産部、主に特許に関係する業務を行う部署です。製薬会社においては、研究職と同様に、知的財産部は非常に重要な部署です。
知的財産部に転職する際には、弁理士の資格をもっていると有利です。しかし、弁理士の資格をもっているだけで、実務経験がない場合、採用は難しいです。ここでいう「実務経験」とは、特許明細書の作成、特許庁への種々対応、特許訴訟の経験、ライセンス契約での交渉等があげられます。
また、製薬会社において、製品の市場は国内だけでなく欧米などの海外も大きな市場になりますので、海外の特許法にも精通している必要があります。そして研究職と同様に英語力が要求され、具体的にはTOEIC730点以上の英語力が必要とされます。
(d)製薬会社の工場における業務と資格
製薬会社の工場の職務での求人があるとき、転職者は、薬剤師の資格を持っていることが有利に働く場合があります。それは、製造管理責任者、品質管理責任者またはその候補を、製薬会社が求めている場合です。これらの業務では、薬剤師の資格が必須です。
また、製品を高圧下や有機溶剤を使用して製造しているような場合、製造責任者は、危険物取扱者(甲種)および高圧ガス取扱者の資格が必要です。その他、実際に製品を製造する社員や品質管理の実務を行うような社員へ転職する場合、特別な資格を必要とはしません。
(e)製薬会社の事務職と資格
製薬会社の事務職(総務、人事、経理、ITグループなど)においては、実務経験があれば転職可能であり、特に資格は必須ではありません。PC関連の資格や簿記など職種によってあればプラスですが必須ではありません。