看護師の方が転職をする際、個々の事情で、夜勤はできない、土日休みが良い、激務でなく残業が少ないところが良い、待機児童が多く保育園に入れるか分からないので託児所付きの施設が良いなど、譲れない希望条件があるケースも多いでしょう。ここでは、看護師の転職活動において勤務時間帯や働き方・福利厚生などの希望条件を付けた場合、どのような求人や職場あるのかを紹介していきます。
夜勤なし(日勤のみ)・土日休みの看護師の求人事例
家庭の事情などで夜勤がなく日勤のみの勤務や、土日休みを希望する看護師の方も多いでしょう。夜勤なしと土日休みの職場は比較的似ていますので、ここではまとめてご紹介します。(※他にも夜勤なし・土日休みの職場はありますが、あくまで例として主要なものを取り上げていきます)
無床診療所・クリニック
夜勤なしの看護師と言えばまず無床診療所やクリニックの看護師を想像する方が多いでしょう。有床診療所は患者さんが入院しているので夜勤があって当たり前です。もしくは日勤専従・夜勤専従で分けている所は有床診療所であっても日勤のみの勤務も可能となります。また、パートも募集していたり、勤務時間帯も午前のみ可、フルタイム勤務など幅広いので自分に合った働き方を選ぶことができます。
「マイナビ看護師」で求人を検索してみると、クリニック・診療所の求人5,596件のうち、「夜勤なし」の条件を付けても4,292件の求人が残ります。クリニックの7割以上が夜勤なし・日勤のみで働けるということになります。(ちなみに病院で夜勤なしの求人は3割弱に留まります。)
(出典:「マイナビ看護師」※2018年6月7日時点での調査情報)
土日休みに関しては、クリニックなどは土曜日のみ診療している所もあるため一概には言えませんが、土日休みの求人は比較的多いです。中でも有床診療所よりは無床診療所(外来のみ)の方が比較的土日休みに設定している所が多いです。ただし、忙しさや仕事内容はクリニックによって千差万別なので一つ一つ調べてみることが大切です。
参考看護師のクリニックの転職記事もチェック
日勤勤務のみが多いが連勤 クリニックの人気の一つに夜勤がないというのがあります。勿論有床診療所であれば夜勤がある所もありますが、多くは外来勤務ということになります。病院の2・3...
一般病院の外来・検査室・手術室
夜勤なしで一般病院で働きたいという看護師の方は、外来・検査室・手術室の3つの配属を希望するのが望ましいです。外来は基本的に日勤帯しか開いていませんが、救急外来は違うので一般外来を希望するのが良いです。検査室・手術室も同様なので、緊急の患者さんの受け入れをしている所以外は主に日勤のみの勤務となります。求人にも記載されているはずですが、応募時には念のため自分でしっかりと確認することをお勧めします。
土日の勤務においては、全員がというわけではありませんが、基本的に一般病院は救急を除いて土日診療を行っていないので、外来勤務者であれば土日休みで採用してくれる所もあります。
同様に手術室も土日は手術を行っていないので基本的には土日休みとなりますが、手術室はオンコールもあるので事前にオンコールなどの土日出勤は無理と伝えなければいけません。しかし、手術室は病棟とは全く違う仕事内容なので一から覚えることも多く、勉強することも沢山必要です。そのため非常にやりがいのある仕事ではありますが、土日休みでも研修や勉強に費やす時間は多いと考えた方が良いでしょう。
検査室については、日曜と祝日は休みで土曜は出勤の所が多いようなので、事前の確認が必要です。
訪問看護師、ケアマネージャー
多くの訪問看護ステーションが土日休み・夜勤なしの勤務としているので、経験がある程度あり在宅看護に興味がある場合は、訪問看護師が一番選びやすい選択肢となるかもしれません。またケアマネージャーとして働くのもいいでしょう。ケアマネージャーは新たに資格を取る必要がありますが、在宅看護では特に看護師として働く上でも、持っているととても優位な資格です。
訪問看護師は毎日の訪問件数が決まっているので、正社員だけでなくパート勤務も可能です。自分に合ったライフスタイルで働きやすいことも魅力の一つです。しかし、中にはオンコールをしている訪問看護ステーションもあるので、その点は事前に確認しておく必要があります。
デイケアやデイサービスなどの介護施設
デイケアやデイサービスは夜勤がないので、高齢者看護や介護の分野に興味があり、夜勤ができないという看護師の方には良いかもしれません。(特別養護老人ホームやショートステイなどの介護施設は、夜間でも利用者の方がいるので基本的に夜勤ありの勤務となります)食事介助や入浴介助など介護の部分が大きいですが、利用者の方と一緒にレクリエーションをしたりとゆったりした環境で仕事が出来るのが魅力です。
休日に関しては日曜+祝日が固定給となることが多いので、完全に土日休みを希望する場合は事前の相談が必須です。
一般企業や治験などの企業看護
求人が出づらいかもしれませんが、企業自体土日休みがほとんどのため、一般企業で働く産業看護師は基本的に土日が休みです。更に日勤のみの勤務となるので家庭のある方などはとても働きやすい職場であると言えます。
参考一般企業(産業看護師)の転職記事もチェック
産業看護師の役割 産業看護師とは一般企業で働く看護師のことで、社員の健康診断及びその結果に基づいた健康指導や管理をすることが役割となります。特に最近では、うつ病などのメンタル的...
もう一つは治験で働く看護師です。治験コーディネーター(CRC)や臨床開発モニター(CRA)やなど様々な職種として働くわけですが、治験の職種によって業務内容や勤務状況も変わってきます。また、治験自体は土日休みの分出張や残業が多い所もありますので、夜勤こそありませんが、そこも事前に確認しておく必要があります。
参考治験業界の転職記事もチェック
治験で働く看護師の種類簡単に治験で働く看護師の種類及び役割としては下記が挙げられます。CRC(治験コーディネーター):験者の方の新薬に対する不安や悩みなどのケアを行う...
看護師から治験コーディネーターになって夜勤もなく働きやすくて良いという人もいれば、残業が多く休日出社もあり、看護師時代より給料も大幅に減って大変、という意見もあります。
- 無床診療所やクリニック、訪問看護ステーションは夜勤なし、土日休みの求人を探しやすい。一般病院の外来や手術室、デイケアやデイサービス、一般企業を狙う方法も。
激務でない看護師の求人
規模の大きな病院で日々の業務を機械的に流れ作業のようにこなし、患者さま1人1人と向き合う看護ができていない、激務でなくゆったりとした環境で患者さまと触れ合う仕事がしたいと考える看護師の方も多いです。また、残業があまりなく日々の業務に追われないという意味合いで、激務ではない職場で働きたい、と希望する人も当然います。
クリニックは激務でなくゆったりと働ける?
クリニックは激務でないと思われがちですが、職場によって大きく差が出ます。確かに病院と比較すると時間やナースコールに追われることもなく、ゆったりしていると言えるかもしれませんが、クリニックは職場によって忙しさが全く違います。
一般的に人気のクリニック(医師が有名など)の外来は患者さんの数も多いため忙しい所が多いですし、看護師の人数が少ないのに患者さんが多いクリニックは必然的に激務になってしまいます。激務を避けたい場合は、応募先のクリニックの勤務者数を確認するのも一つの手だと言えます。
下記の職場で働く看護師は、比較的ゆったりした仕事ができる所が多いです。
訪問看護師
訪問看護師は毎日の訪問件数が決まっているので、病院のように緊急入院がきてバタバタというようなこともありませんし、残業はありますが事前に把握できる場合が多いので、時間配分を自分で行うことができます。
精神科病院
精神科病院の看護師は急変やトラブルがない限りは基本的に定時で帰れる所が多く、点滴や検査などもほとんどないので仕事もそこまで激務ではない傾向があります。そして給与が一般病院の看護師とあまり変わらないという所もあります。ただし適性が明確に別れる診療科でもありますので、入職前の見極めが大切です。
参考精神科病院の転職に関する記事もあわせてチェック
精神科の看護師の仕事 精神科は大きく解放病棟と閉鎖病棟に分けられます。解放病棟は急性期を脱し、これから社会復帰を目指す患者さんが多く入院しており、ADLも自立している方が多いた...
慢性期・終末期の病院
緩和ケアやホスピスなどの慢性期・終末期の病院及び病棟も激務ではないことが多いです。ここで最期を迎えるという患者さんがいるのに看護師がバタバタ激務では患者さんも休まりません。ゆったりとした対応が出来るよう看護師もゆとりを持って仕事をしなければなりません。しかし激務ではないですが、終末期の看護は患者さんとの関わりや死についての受け止め方など難しい部分が多いので、転職にはそれなりの覚悟を持つ必要があります。
介護施設
一番ゆったり働けるのはやはり介護施設でしょう。看護技術を行うことがほとんどなく、看護師でも介護の部分が多いので、体位変換など体力的にきつい仕事はありますが、総合的にみると残業もなく急変も少ないので、一日入所者の方のお世話をしながらゆっくりと仕事ができるという環境が多いです。
- クリニックはゆったりとしたイメージだが、忙しさはそれぞれなので転職前には確認を。
- 介護施設や慢性期・終末期の病院など、比較的激務でない雇用先もある。
託児所ありの看護師の求人
託児所の有無は、育児への対応や理解度の判断基準の一つ
託児所があるかどうかは、その病院が育児や子育てにどの程度理解があるのか・融通をきかせてくれるのかの一種の判断材料となると言っても過言ではありません。大きな病院にはだいたい託児所がついていると思われがちですが、そうではないのです。大きくても託児所がない所は、育児や子育てをする看護師にとっては時短勤務でも帰らせてもらえない・残業が多いなど、とても働きづらい環境にある場合が多いのです。
反対に小さい病院やクリニックでも託児所があり、育休制度がある所は、育児中の看護師にも理解を示してくれる所が多く、子育て中の方にも働きやすい環境を整えている所が多い傾向にあります。託児所の有無や子どもがいる看護師の働きやすさは、病院の規模ではなく個々の病院の対応によります。
「託児所あり」の求人は看護師の転職サイトで比較的容易に探すことができます。下記は「マイナビ看護師」ですが、「託児所あり」の条件設定をして求人を検索すると3,000件以上が該当します。この中で病院が2,000件程度とやはり多く、クリニックは200件弱ほどに留まっていました。しかし病院の中にも規模は大小様々ありますし、このほかに非公開求人もありますので、クリニックでも託児所付きの求人がまだある可能性も十分にあります。
(出典:「マイナビ看護師」※2018年6月7日時点での調査情報)
託児所のメリット・デメリット
託児所のメリットとしては、子どもと一緒に出勤し、子どもと一緒に帰るという流れが一般的なため、迎えにわざわざ保育園に寄る必要がありません。また、託児所では急な発熱の場合などでもすぐに連絡がとれますし、職場の同僚も子どもを預けている方が多いため、周囲も理解がある方が多く仕事を抜けやすい環境にあるようです。病院と提携しているので料金的にも保育園と比較すると低価格な所が多いといったことが挙げられます。
反対にデメリットとしては、基本的に自分の勤務以外の時間は子どもを預けられないので、自分の息抜きや用事などでは預けることができません。また、小規模な託児所などでは同じ年頃の子がいないと子ども自身が退屈してしまうことも多く、保育園のように季節の行事やイベント(運動会やクリスマスパーティーなど)を楽しむ機会もありません。そのため、託児所はあくまで親が働いている間に子供を預かってくれる場所という位置づけが強いのが現状です。
託児所に預けるか保育園に預けるか
託児所つきだからといって託児所に必ずしも預ける必要はありませんが、保育園激戦区にお住まいの方にとってはとても便利なシステムとなります。託児所も保育園同様見学も可能なので、転職の際は事前に託児所にも見学に行き、託児所の良い所、保育園の良い所をそれぞれしっかりと理解した上で、自分と子どもにとって一番良いのはどちらなのかを吟味した上で決定しましょう。
- 託児所があればやはり安心して働けるが、子どもが個々の託児所に合う・合わないもある。
- 託児所の利用は最終的には子供の気持ちを考えるのが大切。
寮完備の看護師の求人
寮や借り上げ住宅ありの求人も、転職サイト上で探しやすいです。「マイナビ看護師」では、「寮・借り上げ住宅あり」で約2,600件以上の求人が該当します。他に「医療WORKER」でも「寮あり」に絞って求人が検索できます。
(出典:「マイナビ看護師」※2018年6月7日時点での調査情報)
寮完備のメリット
寮がある病院のメリットとしては、病院の敷地内もしくは近い場所から通勤できること、月々の家賃が少ないことが挙げられます。家賃については東京都内の病院で求人を調べてみると、「病院から徒歩圏内の借り上げ寮、自己負担2万円前後」くらいの所が多く、東京の家賃相場を考えるとかなりの割安になります。
中には必要最低限の家電までついている寮もあるので、単身者で貯蓄をしたい、家賃が高い首都圏で仕事がしたいとお考えの方には最適であると言えます。最近では家族向けのいわゆる社宅のような寮を完備している所もあるようなので、家族がいる方でも利用可能な所を探してみるのも良いかもしれません。
また、寮といっても一般的なマンションやアパートを病院側が借りているというのが主流になってきているので、セキュリティーも万全な所が多く、住んでいるのは病院関係者のみなので安心して生活できるのも大きな魅力です。借り上げ住宅の場合は築浅の物件の場合も多いです。
- 家賃の安さ以外にも、勤務時間の短縮などのメリットもある。
寮完備のデメリット
これといったデメリットはほとんどありませんが、あえて挙げるならば常に病院に縛られている感じがする、病院関係者ばかりが住んでいるため来訪者や騒音などを人一倍気にしてしまう、などが挙げられます。どうしても生活区域が病院の周辺になってしまうため、誰かに会ってしまう、常に病院のことを考えてしまうという人もいます。
また、周りが病院関係者なのは安心ではありますが、「あの人の家にはこういう感じの人が出入りしている」「最近隣の家がうるさい」などと言われないだろうかと心配してしまう、ご近所付き合いはあまりしたくないけれど病院の人だからしなければいけないと思って負担になってしまうこともあるようです。そのため、周囲との関係を気にし過ぎる人や自分が周囲の人からどう思われているか気になる人、来訪者が多いという人には不向きかもしれません。
寮の中には、共同スペースを設けた昔ながらの寮という形をとっている所もあるので、プライベートな空間はあるけれどキッチンなどが共有であるという場合もあります。人と生活スペースを共有するのは嫌、自宅はプライベートな空間にしたいと考えている方は事前に病院の見学と合わせて寮の見学に行くと良いでしょう。
- 職場の人間関係の延長線に私生活が置かれることもあるという意味ではデメリットにもなり得る。
細かな希望条件がある場合は転職エージェントの利用も
有床の病院は24時間体制が基本ですから、勤務日時に制約があったり、福利厚生の希望がある場合は、選考は激戦になる可能性もあります。譲れない条件がある場合は、看護師の転職エージェントを利用してみるのもよいでしょう。
参考看護師転職エージェントの利用には様々なメリットがある
プロがおすすめ!看護師転職エージェントを比較! 看護師が転職する場合の方法は、転職エージェントに登録する、転職求人サイトや求人誌を見て応募する、ハローワークやナースセンター(...
日勤希望なのにオンコールがあった、土日休み希望なのに実際は土曜は出勤だった、託児所を利用するつもりが入職してから利用条件に該当しないことが分かった、などとなると転職活動が無駄になりかねません。
転職エージェントに伝えておけば、最初から希望にある程度合致した職場を紹介してもらえますし、選考中に疑問や確認事項が出てきた際も、コンサルタントが代理で確認してくれますので、自分一人での転職活動よりは質問がしやすく、ミスマッチも最小限に抑えられるはずです。
本記事は2018/06/08の情報で、内容は看護師としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。