経理会計業務の基本である「出納管理業務」
どんな小さな組織、例えば家族経営の個人事業者であっても、仕事として行っている以上は金銭の出入りはありますし、銀行振込で取引相手とのやりとりをしているのが殆どです。その金銭管理を行うのが、経理会計業務の基本といっていいでしょう。こうした個人経営の場合であれば、現金預金の入金、そして出金処理業務、銀行取引の照合業務等、月に数度、帳簿残高と実際残高を比較し、間違いがあったらその原因を見つけることはそう難しくはないでしょう。
しかし、銀行口座がいくつもあり、取引先も多い大企業にもなれば、海外からの送金により、円だけではなく他の通貨での取引も生じ、手数料などもしっかり計算して出納業務、入金管理しなければなりません。また、支払いはきちんと済んでいるかどうか出金管理も同時に行い、漏れはないか随時チェックしなければなりません。
扱う金額が大きければ大きいほど「出納管理など簡単」とは言っていられなくなります。また経理・財務部での不正、つまり使い込みや横領事件頻発したことから、犯罪を防ぐ為に、最近は一人の人に出納業務を任せるのではなく、複数人で管理することが増えてきています。
- 経理会計業務の基本である、入出金を管理する出納管理業務。大企業においては不正を防ぐ意味でも、複数人で担当することが多い。
中小企業では経理部門以外でも出納管理に関わるケースもある
事務仕事の中で経理業務の一部を引き受けることになるのは、中小企業ではよくあるパターンです。総務の仕事と経理の仕事などが一つの部署になっている事業所なども多いでしょう。
実務経験で出納管理の仕事ができれば、それを経理業務経験としてレジュメに載せることもできますので、もし事務員として働いていて、少しでも経理業務(銀行へのお使い程度の仕事)でも任せられるようになったら、その仕事に積極的に関わるようにすると良いでしょう。
現在では業務効率化のため、ファームバンキング経由で銀行振込明細を入手し、入金・出金を照合するリコンシリエーション業務、出納業務がより早いので、この効率的に業務がすすめられるシステムを用いる企業が殆どです。
また、こうした取引だけではなく、小口現金管理も出納業務の一部になっています。メインの業務としては、預金管理や入金・出金管理も、起票された伝票に基づいて整合性をチェックし、正しく入金・出金されているかどうかしっかり確認していきます。
- 出納管理業務は中小企業では経理部門以外が担当することも多い。最近はネットバンキング等を利用し、効率的にシステムを利用している企業がほとんど。
出納業務のプロフェッショナルとしての転職は可能?
出納業務は、その職場に長くいればいるほど、取引のある業者とのやりとりが一定化、固定化しているので、間違いに気付きやすくなったり、決まった日付に一定の入金・出金があるのが普通になっているので、仕事に慣れるとかなり早く処理ができるようになります。その点、仕事がルーチン化したり、不正が起こりやすくなります。
出納業務に慣れていれば、他の業種や職場に行っても前職のスキルや仕事の進め方を活かすことができますが、現在では、出納業務オンリーの経理の求人募集は少なく、売掛金や買掛金の管理、つまり「請求書の発行、売上計上、入金確認、仕入計上、出金支払い業務」の中の一部として、この出納管理の仕事が入っていることが殆どです。
また大企業では、入金・出金管理などは、バンクリコンシリエーション業務として、月末・月初などの取引が集中しているときに行う事が多いです。それらの業務だけを行うために、月末・月初の数日だけ仕事をするアルバイトさんや派遣さんもいます。慣れれば、どんどん仕事は早くなりますので、実務経験や慣れが重要であり、なおかつ業務の正確性や集中力が求められる仕事です。
- 一般的に出納業務専門の求人は少なく、他の経理業務の中の一環として担当することになる。大企業においては、月末・月初などの忙しい時のスポット業務として派遣やアルバイトの需要があることもある。
本記事は2016/03/18の情報で、内容は経理としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。