最初は研修からスタート
未経験者で採用された場合、研修からのスタートになります。エステティシャンは現場に入ればお客様のお手入れに入るしかないので、1日も早い技術の習得が求められます。研修の内容や期間は会社によって様々ですが、平均して1~3ヵ月間が研修期間とされ、教科書を使った肌理論やエイジングの仕組みなどを学ぶ座学と実技研修が並行して行われます。
大手サロンに就職した場合は首都圏の研修施設に住み込みで研修を受けることになります。スーツや支給される制服を着て身だしなみのチェックから行われ、半ば軟禁状態でみっちりと研修を受けます。慣れない環境とよく知らない同僚や先生との関係に神経を使いますし、体力を消耗する研修が多いので、1日が終わる頃にはすっかり疲れてしまいます。
個人サロンや、大手ほどは研修に力を入れていないサロンの場合は、日頃の業務の合間を縫って個人的に研修時間を設けてもらったり、営業時間の前後で時間をかけて少しずつ技術を教えてもらいます。
- 大手サロンに入社した際は、施設に泊まり込みで数ヵ月間の研修を受けることが多い。
座学の何倍もきつい実技研修
座学では、そもそも肌はどのようになっているのか、真皮・表皮・皮下組織の仕組みなど、化学の授業のような内容を基本から学びます。ニキビができる仕組みや、肌はなぜたるむのか、なぜシワができてしまうのかなどを論理的に学びますから、スキンケアが好きな人にとっては興味深い内容です。カウンセリングではこれらのことをお客様に分かりやすく伝えなければいけないので、研修期間中にしっかりと理解して頭に入れなければいけません。
問題は実技研修の方です。エステ未経験の初心者は、まずボディーラインに沿って手のひらを動かすという一見簡単そうに見える基本の動作ができるまでにかなりの時間を要することがあります。ボディーマッサージや痩身のお手入れでは、オイルを使うとはいえ、なめらかでしなやかな手の平の動きが重要です。足のつま先からふくらはぎにかけて、膝の凹凸に沿って、手の平が浮かないように沿わせる動きは意外と難しいものです。この基本的な動作ができるようになるまでに1ヵ月以上かかってしまう人もいます。
それができるようになると、次は体重移動を学びます。自分の全体重の力を両手にかけて揉み解しをしたり、お客様の太ももや背中などのボディーラインに沿って圧をかけていきます。この作業はとても体力を消耗するもので、相当な量の汗をかきます。このような基本ができるようになって初めて、各社独自のマッサージや手技を教えてもらえるのです。
- 実技研修はかなり大変で、基本的な動作の習得に苦労する人も多い。座学では肌の仕組みなどを理論的に学ぶ。
新人研修以外の研修
新人研修が終わってからも、研修は頻繁に行われます。エステティックの技術は次々と新しいものが発表され、開発されていくものですから、新しいマシンや技術を取り入れる時には必ず研修が行われます。新しいマシンを導入する際には、メーカーから指導専属のスタッフが来て使い方を教えてもらえることもあります。エステティシャンは経験年数に関わらず、常に新しい知識や技術を学び、身に付けていかなければならないのです。
本記事は2016/03/17の情報で、内容はエステティシャンとしての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。