クレジットカード・信販会社
クレジットカードの市場規模は拡大傾向
クレジットカードの市場規模は、ここ数年で順調に拡大しています。一般社団法人日本クレジット協会の調査によると、クレジットカードショッピング信用供与額は2013年の417,915億円から毎年増加を続け、2017年には583,711億円に到達しました。また、クレジットカードショッピング信用供与残高も年々増加しています。(※信用供与額:クレジットカード会社が消費者に信用供与した額、信用供与残高:信用供与額のうち12月末時点で返済されていない残高をさします。)
(出典:一般社団法人日本クレジット協会「日本のクレジット統計2017年(平成29年)版」)
また、同調査による民間消費額におけるクレジットカードの利用の割合を見ると、2013年の14.1%から2017年には19.3%に伸びており、使用割合も増加していることが分かります。
(出典:一般社団法人日本クレジット協会「日本のクレジット統計2017年(平成29年)版」)
平成22年(2010年)に改正賃金業法が完全施行され、クレジットカード会社や信販会社は苦しい時代に突入しました。収入に応じた借入額の制限、借入時の年収証明書類(源泉徴収、給料明細など)の提出必須化、上限金利の引き下げなどで与信額が縮小され、2012年の売上高は底打ちとなりました。
しかしその後の景気回復、ネットショッピングの浸透によるクレジットカード決済の増加、電子マネーやスマートフォン決済の普及などにより、キャッシュレス化の動きが大きくなりました。ネットショッピングの支払いは、実に87.8%がクレジットカードで決済するという調査結果もあります。(参考:三菱URJリサーチ&コンサルティング「キャッシュレス決済の多様化の動向整理」)
また電子マネーはクレジットカード一体型のものや、オートチャージ機能など、クレジットカードと併せて使うことで利便性が高まるものが多いです。その他、これまでは現金支払いか銀行引き落としがメインであった公共料金、税金、病院、賃貸住宅の入居費用の支払いなども、クレジットカードや電子マネーの使用が可能になってきました。
更に、東京五輪開催の後押しもあり、国もキャッシュレス化の推進に乗り出しました。経済産業省は「キャッシュレス・ビジョン」において、2027年までにキャッシュレス比率40%を目指すという目標を掲げています。海外は日本よりもキャッシュレス化が進んでおり、キャッシュレス決済の比率が50%を超える国も多くあります。現金を持たない訪日外国人に対応すべく、キャッシュレス化の浸透を図ろうという試みです。クレジットカード業界全体にとっては明るい要素が増えつつあります。
クレジットカード業界の構図
10年程前、乱立していたクレジットカード会社は相次ぐ合併や再編により、メガバンク系に集約される動きがありました。2017年の売上高1~3位に位置する「クレディセゾン」(みずほ系)、「三菱UFJニコス」、「三井住友カード」です。しかし5位の「楽天カード」はここ数年で大躍進を見せ、いわゆる大手カード会社の仲間入りを果たしています。
採用状況は企業により様々
業績は回復傾向が見られるクレジットカード会社、信販会社ですが、転職サイトの調べによると、他社への転職を希望する若手が多い傾向にあります。近年の転職市場の活発化に伴い、良い所があれば転職したいという声が多いようです。人材流出により人材不足に陥っている企業もありますが、採用状況は企業によって大きく異なります。クレジットカード・信販会社の全体の求人数としては微増減を繰り返しつつ横ばいの状況です。
(出典:doda「金融業界の中途採用市場レポート(2018年10月発行)」)
企業よっては積極採用を行っているところもあり、IT系、海外戦略に対応できる人材、管理系など、様々な職種で幅広い募集が見られます。一方で採用に消極的な企業もあるため、クレジットカード会社、信販会社への転職を希望する際は、転職エージェントの力を借りて、どの企業のどのポジションで募集があるのか、入念な情報収集をするのが良さそうです。