
転職を検討するとき、あなたはどんな応募方法を思い浮かべますか?現在では直接応募や知人の紹介、SNSでのリクルーティング、転職エージェントなど様々な方法が存在します。今回はそんな中でも転職エージェントと2人3脚で転職成功を実現する方法をご紹介します。
転職エージェントでコーディネーター、営業担当両方経験がある私の意見を盛り込みながらご紹介していきます。今転職を考えている方も、いつかは転職しようと考えている方もぜひお読み下さい。
転職エージェントのビジネスとは?
転職エージェントは企業に登録者を紹介し、採用してもらうという役割を持っています。登録者側は無料にもかかわらずたくさんのサービスを受けることができます。ではどこからお金をもらって運営しているかというと、企業側から登録者を採用した報酬として紹介料をもらっています。登録者が採用に至った場合、その登録者の年収の20%から30%を紹介料として払ってもらう契約となっているのです。
例えば年収500万円の人であれば100万円から150万円が転職エージェントに入ってくる計算となります。単価は高いですが、1人の転職に大抵3ヶ月という期間がかかりますので、期間を考えると大変さのある仕事です。
転職エージェントがしてくれること
転職エージェントに登録をすると、本登録の面談調整がきます。面談では面と向かって話すことであなたの興味の方向性や特性を把握し、適性に沿った業種、職種のアドバイス、選定を行ってくれます。
他にも、履歴書、職務経歴書などの添削などを実施し、選考の通過率を上げるアドバイスをしてくれます。無事書類選考を通過し、面接選考に進めるようになったときには、各企業への応募や推薦文作成、面接対策、フォローなどを行ってくれます。
自分だけでは短期間にこれだけの情報収集や、スケジュール調整、書類を通過する精度を高めることは難しいです。転職エージェントを活用して転職活動できれば、多くの企業を検討し、対策して選考に臨めるため、転職成功率が高くなるのも納得です。
転職エージェントを利用するメリット
転職エージェントを利用することで得られるメリットはたくさんあります。一例を挙げます。
- 自分が考えていなかった転職方向性を示してくれる
- 応募やスケジュール調整の手間を省いてくれる
- プロならではのアドバイスや面接対策が受けられる
- 転職エージェントにしか入ってこない情報を得られる
新しい可能性を探している方、短期間でたくさんの企業を比較検討したい方、初めての転職の方、業種変更を考えている方などには転職エージェントでプロの意見を聞くと安心して活動を進めていけます。
また、特に注目したいメリットとしては転職エージェントにしか入ってこない情報が得られることです。求人案件をもらってくるときに営業としてその企業の人事部長や経営者と会っている営業部門から得られる情報がとても大きいです。その企業がどうして求人を行っているのか、社内にはどんなタイプの人材が多いのか、入社する人に求める姿勢など、求人票には書ききれない情報がたくさんあります。これらを認識した状態で面接に向かうのと、知らないで臨むのとでは結果の違いは明らかです。
こういった情報を引き出し、選考を勝ち抜く力にしていけるのが転職エージェントで得られる大きなメリットです。
担当者とうまく2人3脚で進むコツ
転職エージェントでは面談してくれた担当者とどう接するかで、その後の転職活動の雰囲気が決まります。受けたい企業とあなたをつなげてくれるのは担当者になりますから、「この人に転職成功して欲しい!何が何でも協力してあげたい!」と思わせるようなコミュニケーションを取る必要があります。また面談の担当者も30〜40人の登録者を抱えているケースも多いため、その人が抱えている登録者の中でも自分に力を注いでもらえるような人物になることが大切です。
(※あらかじめお伝えしておくと、もちろんここで解説するような内容を実践しなくても転職エージェントから充分なサービスは受けられますし、転職成功する人も多いはずです。ただ、営業部門からより多くの情報を収集してもらい、プロのアドバイスをより多くもらうための近道としてご紹介しています。)
転職エージェントの登録面談に行く前にまずは以下の点は頭に入れ心がけておくようにしましょう。
- (1)担当者は多くの登録者を抱えているため、非常に忙しい
- (2)あなたの要望とずれた案件紹介が出てくることもある
- (3)担当者も人なので相性が悪いことも想定しておく
以下、具体的に紹介します。
- (1)担当者は多くの登録者を抱えているため、非常に忙しい
企業にもよりますが、担当者は忙しいスケジュールをこなしていることが多いです。結論ファーストでの会話を心がけ、相談は手短に行いましょう。転職エージェントに頼るのもいいですが、基本調べてわかるような事は自分で解決するようにしましょう。
面談担当者は朝から晩まで面談が入っており、その間を縫って面談した方のキャリアシートを書く、応募企業とスケジュール調整をする、紹介するための社内ミーティングを行うなど様々な業務を行っています。そしてその人数が常時30〜40人分、繁忙期はそれ以上あるわけですから、全員のことを把握しているだけでも非常に負荷のかかる仕事であることが理解できます。
「仕事だからやってよ」という姿勢では、得られるはずの協力も得られなくなってしまいます。コミュニケーションの取り方に注意しましょう。
- (2)あなたの要望とずれた案件紹介が出てくることもある
あなたが自分の要望をしっかり伝えたつもりでも、違った風に解釈されることもあります。人が違えば受け取り方が違うのは当たり前と考えましょう。冷静にこのような部分が要望と違うというふうに伝えれば、徐々に絞られた案件が紹介されるようになってきます。
また、あなたの市場価値とあなたの要望が噛み合っていない場合は要望通りの案件が紹介される割合が少なくなります。そんな場合は自分の市場価値を直接担当者に聞き、どのように考えるべきか教えを乞うことも必要でしょう。
- (3)担当者も人なので相性が悪いことも想定しておく
あなたも人、担当者も人、ということで必ずしもぴったりの相性の人が担当になるわけではありません。仕事上でも毎回相性ぴったりの人と仕事ができるわけではありませんよね。「自分がお客様」という態度ではなく、相性の差を埋めるようなコミュニケーションを取り、2人3脚で進みたいという意思を伝えていきましょう。
相手から好きだと言われて嫌な気持ちになる可能性は低いはずですし、人の転職や人生に良い影響を与えたいと思って転職エージェントに入社しているはずです。お互いに良い関係を築けるようなコミュニケーションを心がけましょう。
上記を踏まえた上で「必要なこと」は?
上記の「頭に入れておくべき3つのポイント」を理解して頂いた上で、転職エージェントとの向き合い方で「必要なこと」は何でしょうか。
- (1)あなたの要望を明確にすること
- (2)捉え違いがないよう論理的に伝えること
- (3)うまくいかなくても軸をぶらさないこと
具体的に説明していきます。
- (1)あなたの要望を明確にすること
能力の高い担当者であったとしても、あなたの要望が明確でなければ、的確なサポートができません。あなたの転職に求めるものは何でしょうか。人生の中でその転職がどのような影響を与えるのでしょうか。それを明確にしましょう。
できれば登録面談の最初でこれを伝えましょう。全て明確に伝えられなかったとしても、やりたいこと、実現したい事を話せればプロのアドバイスやヒアリング能力で徐々にその方向性が定まっていくはずです。最初に要望を伝えることができていれば選考活動にすぐ入ることができ、スピーディな転職活動を行うことができます。
- (2)捉え違いがないよう論理的に伝えること
あなたの要望を正しく伝えられるように論理的な観点を持って説明していきましょう。気持ちや感情で伝えるとそれぞれの人の気持ちでブレが生じるため、論理的に要望を伝えられるようにしましょう。
例えば人に喜ばれる仕事がしたいと言われただけだと、テーマパークなどのアミユーズメント施設での勤務、住宅販売の営業、パソコンのカスタマサポートなど様々な仕事があてはまってしまいます。そうすると転職エージェントの担当者は何から紹介していいか迷いますし、営業部門からなぜこの人を紹介するのかと言われてもうまく説明ができない可能性が高いです。
しかし、化粧品を通して女性が変身願望を叶えたり、美しくなることで自信を取り戻す瞬間を目の前で見たいと伝えた場合は、美容部員や、エステなどを施術するエステティシャンなどが当てはまります。
人が喜ぶことが嬉しいのは当たり前ですが、どんなことで、どのような人に喜んでもらいたいのか、そして直接、間接どちらで関わりたいのか、自分の影響力をどのくらいの範囲で持てるようになりたいのかなどの観点を盛り込んで考えると論理的に説明することができます。
- (3)うまくいかなくても軸をぶらさないこと
転職活動中、書類がなかなか通過しなかったり、面接がうまくいかなかったりすることもあります。しかしうまくいかなくなったときに、やっぱりこっちの道がいいのではないかと迷うことはその担当者に「話した時間が無駄になった」と感じさせてしまいます。
もちろんよく考えた末の方向転換であれば問題ありませんが、ただ不安になって合格できる企業だけに絞るなどをすると、これまでの苦労が水の泡となります。
担当者はあなたに見えないところで営業部門にこの人を紹介して欲しいと頼み込んだり、個人的に面接時に必要なポイントを再ヒアリングしてくれたりと動いてくれています。そんな努力が水の泡になったら、担当者はあなたよりもショックを受けるはずです。
方向転換ではなく、軸がぶれることは転職活動を長引かせます。転職エージェントに行く前に自己分析するなど、自分なりに努力して登録面談に臨むことでこういった軸ブレを起こさない転職活動ができるはずです。
今回の記事のまとめ
転職成功の鍵を握る転職エージェントとの2人3脚。社内営業のように気持ちの良いコミュニケーションを取って、自分に協力してもらえる体制をしっかり作っていきましょう。上記の「頭に入れておくポイント」「必要なこと」などを心がけて実施することで効率よく転職活動を進められるはずです。自分だけでも進められる準備を積極的に行いつつ、担当者と2人3脚で転職成功を実現しましょう!
高下真美リクルートグループ勤務経験からの独自の視点が好評
「元人材業界出身者による転職お役立ちコラム」シリーズ
新卒でインターンシップ紹介、人材派遣、人材紹介のベンチャー企業に入社。大学4年の在学中から勤務を開始し、営業・コーディネーター・人事・総務に従事。名古屋拠点立ち上げなど様々な業務を経験。取引先はベンチャー企業から大手のIT、流通、情報、サービスなど多岐に渡る業種に対し、営業・コーディネーター、両面の業務を担当。その後、株式会社リクルートジョブズ(旧社名:リクルートHRマーケティング)に転職し、リクナビ、リクナビNEXT、はたらいく、とらばーゆ、タウンワーク、フロム・エーナビなどの求人広告や、年間の採用計画、企業の成長に合わせた人材像の見直しなどを提案する営業として8年勤務。その間にMVP、チーフとして率いたチームでMVTなどをそれぞれ複数回受賞。既存顧客の取引拡大、新規開拓業務に従事。大手アパレル、外食チェーン、流通、医療など幅広い業種に対して、新卒・中途、アルバイト・パートの年間採用プラン、採用支援システムを提案。結婚、夫の転勤を機に退職し、現在は人材系コラム、女性のライフスタイル系メディアの記事執筆など、フリーライターとして活動中。