事業会社スタッフと外部コンサルタントとの違い

ライター:永見昌彦

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 事業会社にて、その会社のことに専念して仕事にたずさわるのと、コンサルティングファームなどに所属して外部コンサルタントの立場で様々な会社をクライアントとして仕事を行うのとでは、同じ職種であっても異なる部分が多いです。

 

 皆様の中には、事業会社からコンサルティングファーム、あるいはコンサルティングファームから事業会社への転職を検討されている方もいらっしゃると思います。

 

 そこで、今回は事業会社スタッフとコンサルタントで業務遂行に際して求められる行動・振る舞いの違いについてご紹介します。

 

事業会社スタッフに求められるもの

 事業会社で勤務している場合、会社からどういう振る舞いが求められるのか、3つ挙げたいと思います。

 

  • (1)社内事情や業界の状況への詳しさ

 事業会社に在籍することによって、その会社の事業内容や業界の特徴・特性については確実に詳しくなってきます。世間一般で言われている/思われているイメージとは異なる、その会社や業界の「実態」を感じながら仕事ができると思います。

 

 そういったことから、社内の動向に即したアクションを求められることが多いでしょう。業務上の理論だけではなく、部門間の人間関係や特徴といったものを考慮したコミュニケーションが取っていくことで、仕事を円滑に進めることが必要となってきます。

 

  • (2)最後までやり切り、継続して修正すること

 プロジェクトそのものの実施においては外部リソースを使用したとしても、その業務を丸ごとアウトソースして切り出さない限りは、必ず「運用・保守」という段階まで責任を求められます。

 

 そのため、プランニングして「きれいな絵」が描けるだけではなく、それを社内外のリソースを使って導入・運用し、環境の変化などによって修正するという、PDCAサイクルを完全にまわせることがスキルとして重要になります。

 

  • (3)最新トレンドをおさえつつ、社内事情も考慮して取り入れる

 外部研修受講やカンファレンスミーティングに参加することで、業務に関連した最新の知識やトレンドを掌握することも必要だと思います。ただ、そういったことを「学習(=インプット)」するだけではなく、それを自社に合った形でうまく取り入れる(=アウトプット)ことができる必要があります。

 

 状況によっては、現状から鑑みて「取り入れない」という判断をすることが必要となるかもしれません。インプットをすることは好きだけど、単に評論するだけで行動が伴わなければ、社内での評価も下がるでしょう。

 

外部コンサルタントに求められるもの

 続いて、コンサルティングファームなどで外部コンサルタントとして働く場合は、どういう行動特性が求められるでしょうか?

 

  • (1)社内事情にとらわれない提案

 事業会社からみれば自分たちがやりたいと思っても、「自分たちにスキルや経験が無いからできない」「時間やリソースが無いからできない」といった事情で外部コンサルタントに依頼することがほとんどです。

 

 そのため、社内に在籍している=社内事情がわかっているために動けないことが「足かせ」となることがあります。

 

 しかし、外部コンサルタントの場合は、そういったことを仮に事情として伺ったとしても、それを度外視して「今後のあるべき姿やそれを実現させるための適切なアプローチ」を提言することを求められるでしょう。

 

  • (2)プランニングを行い、初動を切る

 やることが決まっていれば適切/正確に行える人が事業会社には多いです。その一方で、何も無い状況からプランニングして、実際に行動を取り始めることができる人が少ないです。

 

 そのため、何かをスタートする時の「旗振り役」「音頭取り」といった役割を期待されることが多いです。軌道に乗ればそれを着実に実行できる人は社内にいるので、その段階までうまくつなげられれば、コンサルタントとして役割を果たしたとも言えます。

 

  • (3)他社事例を掌握している

 他社でどのような戦略・制度を持っているのか、業務を行っているのかを説明・紹介できるのも、外部コンサルタントに求められていることだと思います。

 

 そのため、最新トレンドの把握や自身がたずさわった他社のケースを必要に応じて紹介できるようにまとめておくとよいでしょう。「他社が既に取り入れている先進ケース」であることは、事業会社において何かを変えるきっかけや理由としては、今でも有益な説得材料の一つです。

 

今回の記事のまとめ

 事業会社からコンサルティングファームへの転職をご検討されている場合は、現職における「外部コンサルタントの行動特性に近い例」を面接で話すことが、ご自身のポテンシャルの高さの裏付けになるでしょう。(反対も然りです。)

 

 事業会社で勤務し社内から業務にたずさわることと、コンサルタントとして社外から関わるのでは、同じ業務であっても関わり合い方や求められていることが異なっています。そのため、ご自身のキャリアをどういった環境で積んでいきたいのかを考える際に参考にしていただければと思います。

 

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ライター

永見昌彦外資系転職にも精通した人事歴20年の人事専門家

「人事キャリア20年のプロが語る、転職前に必読のはなし」シリーズ

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のべ1300名に対する中途採用社員向け新人研修のファシリテーターを担当し、人事情報システムにも精通したフリーランス人事。外資系ソフトウエアベンダーおよびコンサルティングファームで人事コンサルタントとして勤務した後、事業会社(ラグジュアリーブランド持株会社)で人事企画マネジャーとして人材開発・人事システム・人事企画を兼務。事業会社、コンサルティングファームの両面から人事に20年たずさわった経験を活かして、2016年に独立。専門性が要求される業務があったとしてもフルタイムで雇うほどのボリュームではない、あるいは担当者が不足していても社員を雇うことが難しいといった法人を対象に、人事全般のプランニング・コンサルティング・実務にたずさわっている。また、個人に対してブレストパートナーとして、プロジェクト策定や課題解決策検討のための個別コンサルティングも行っている。

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