「確定拠出年金」とは?転職との関係も徹底解説

ライター:工藤崇

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「確定拠出年金」とは一体何なの?

 「確定拠出年金」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは、国民年金や厚生年金などの公的年金に上乗せする形で加入することが可能な年金制度で、官民一体となって現在加入が奨められています。加入は強制ではなく「任意」ですが、特に若い世代にとっては将来的な受給額に不安の残る公的年金制度において、解決策のひとつとなる可能性を秘めています。

 

 確定拠出年金は、拠出した保険料(掛金)を自分で運用することが大きな特徴です。現在の現役世代が年金受給を支える賦課(ふか)方式公的年金と異なり、自身の老後に受け取る年金額を積み立てる形で毎年の保険料を納付していきます。すべての国民が加入しなければいけない老齢基礎年金、主に会社員が加入する老齢厚生年金と比較して、企業年金(3号年金)という言い方がされる場合もあります。

 

 確定拠出年金は「企業型」と「個人型」に分かれています。「企業型」は、勤め先の企業が掛金を拠出し、加入者は何をどのくらい売買するか、いわゆる「運用指示」を出します。これは企業型に加入している企業の従業員のみ可能となる方法です。「個人型」は、掛金を出すのは加入者自身で、運用も行うため、まさに自分自身のための積立年金商品といえるでしょう。

 

  • 企業型:企業型を導入している会社の役員・従業員
  • 個人型:企業型を導入していない会社の役員・従業員、公務員、主婦

 企業型を導入している会社に勤めている人は企業型に、企業型に入ることのできない希望者は個人型に加入するのが原則です。確定拠出年金の保険料に関しても、企業型は全額会社が負担すること、個人型は個人が負担するなどの違いがあります(詳しくは下図を参照)。なお、公務員や主婦はこれまで対象外でしたが、2017年の法改正から加入できるようになりました(2016年5月確定拠出年金改正法可決)。

 

 

企業型

個人型

加入の条件

 会社が設置する  個人が任意で加入する

掛金拠出者

 会社が拠出する

(※マッチング拠出あり)

 個人が拠出する

利用者数

 約460万人  約18万人

 ※マッチング拠出…会社拠出分に加えて、個人拠出ができる制度のこと

 

  • 2016年9月には「iDeco(イデコ)」という愛称も発表され、今後は更に身近な資産運用方法になるとして期待されています。これまでは、加入できるのは自営業者か、企業年金制度のない会社員に限られていましたが、2017年1月以降は企業年金のある会社員や専業主婦、公務員もこの制度に加入できるようになりました。こうして適用範囲の拡大が予定されることで、より身近な資産活用方法になると見込まれています。最近はことにマネー雑誌などのメディアでもこの言葉を見る機会が増えてきました。

 

転職したら「確定拠出年金」はどうなるのか?

 この確定拠出年金において、よく誤解を以って捉えられているのが「転職との関係」です。転職したとき、それまで加入していた確定拠出制度はどうなるのか。転職ではなく独立したときはどうなのか。考えてみましょう。

 

 前提として、確定拠出年金は、「老後(65歳以降)になるまで年金を受け取れないもの」というルールがあり、転職時でいえば、確定拠出年金の取り扱いは、以下のパターンです。

 

  • (1)企業型の確定拠出年金に加盟している会社間で転職する

 前職と同じく企業型の確定拠出年金に加盟している会社に転職する場合は最も手続きが簡単です。確定拠出年金の拠出金は各加入者が持ち運びできる制度となっており、決して前職に帰属するものではありません(確定拠出年金ではこの特徴を『ポータビリティ』といいます)。そのため、前職で積み立てた拠出金と運用結果を引き続き進めることになります。

 

  • (2)企業型の確定拠出年金に加入し「いる」会社から「いない」会社へ転職する

 確定拠出年金に加盟していない会社に転職する場合は、「企業型」を継続することができません。そのため、同じ確定拠出年金の「個人型」に切り替える必要があります。

 

 企業型と個人型では、大きな差は「拠出限度額」です(※企業型の上限:55,000円/月、個人型の上限:68,000円/月)。企業型から独立などで個人型の加入者となったとき、不安から上限(68,000円/月)に加入を切り替える人がいます。ただ、確定拠出年金はあくまで「老後資金」のため、現在の生活費を必要以上に圧迫してまで拠出額をあげるものではありません。

 

 更に付け加えると、老後資金の原資は確定拠出年金だけではありません。公的年金や企業年金のほか、終身保険や株運用も「老後」といわれる65歳以降の大切な生活費となります。ほかの運用方法とバランスを確かめながら、確定拠出年金にかけられる原資を定めていきましょう。

 

個人型でも「確定拠出年金」は続けるべき?

 それでは個人型でも確定拠出年金は続けるべきでしょうか。答えは「続けた方がいい」だと思います。その理由は2つあります。

 

  • 理由の1つめは、確定拠出は本来「老後の資産準備」の制度である点です。転職などで途中で受け取ってしまうと、老後資金としての本来の意味をなくしてしまいます。
  • 理由の2つめは、「確定拠出年金を払う余裕がない」という場合にも、救済策は用意されています。それは、「あたらしい年金保険料の拠出は一時停止して、それまでに貯蓄した保険料の運用「のみ」を行うというもの。保険料の負担が付加することもなく、老後資金としての活用も可能です。

「確定拠出年金」のデメリットは?

 確定拠出年金にはデメリットも存在します。それは「老後資金」であるという、確定拠出年金が本来有する特徴です。要は時間的に一定程度将来のお金の貯蓄ということです。人生は何があるかわかりませんし予測できない出来事でまとまったお金が必要となることもあるでしょう。いま流行って周囲が多額の拠出金をかけているから、節税効果があるからと長期計画なく確定拠出年金にお金を拠出し、いざというときのお金を確保できないのなら元も子もありません。

 

 確定拠出年金は確かに活用範囲の広い資産運用方法です。ただ、合わせ持つデメリットや注意点を同時に認識し、賢く活用するようにしましょう。今後は更に、老後資金をどこまで考えているかで「老後に安心できる」格差が広がるといわれています。加入者それぞれが知識を付け、向き合うことが大切です。

 

「確定拠出年金」のこれからはどうなる?

 日本の公的年金制度は不安定です。年金資産を管理するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の大規模損失のニュースも過去に出ましたが、「このままでは自分たちは年金を貰えないのではないか」という声が年々大きくなっているようです(専門家のなかには、GPIFの短期損失を糾弾するのは本質的に外れているという指摘もあります)。

 

 参考に現在の確定拠出年金の加入者数(厚生労働省発表のデータ)を見てみると、確定拠出年金は企業型、個人型ともに加入者数が年々増加しています。企業型は平成13年は8.8万人だったのに対して平成25年には464.2万人、個人型も平成13年は利用者0から平成25年には18.3万人になっています。

 

 上記の数字を見ると、今後「このままでは自分たちは年金を貰えないのではないか」という不安がある中で、加入者は増加傾向が続きそうです。

 

この記事のまとめ

 確定拠出年金の現状や転職の関係についてご理解いただけたでしょうか?現在の年金受給世代と同等の給付を受けるためには、それぞれが年金資産を「運用して殖やす」ことが必要な考え方になってきます。日本中で「資産運用の考え方を持つ」ことは、更に推奨されていくと考えられています。確定拠出年金は、その先導役になっていくのではないでしょうか。

 

 確定拠出年金は公的年金と比較しても新しい制度のため、まだ浸透していない部分はありますが、高い説明力を持ったアドバイザーもたくさん存在しています。相談をして、自身の必要な範囲だけでも制度およびご自身の状況を定期的に確認するようにしましょう。確定拠出年金は長期間の投資とはなりますが、老後資産としてとても大きな味方となります。しっかり継続して付き合うようにしたいものですね。

 

ライター

工藤崇丸の内に本社を構えるFP会社の代表取締役社長

「FP会社社長が語るライフプランと転職」シリーズ

CEO写真(2)

 

丸の内に本社を構えるFP会社株式会社FP-MYS代表取締役社長兼CEO。1982年北海道出身。ファイナンシャルプランニング(FP)を通じて、Fintech領域のリテラシーを上げたいとお考えの個人、FP領域を活用してFintechビジネスを開始・発展させたいとする法人のアドバイザーやプロダクトの受注を請け負っている。資格予備校である株式会社TAC出身のため、資格ビジネス、人材キャリアビジネスにも精通。Fintechベンチャー集積拠点Finolab(フィノラボ)入居企業。執筆実績多数。株式会社FP-MYS公式ホームページ(http://fp-mys.com/

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