病院薬剤部と保険薬局の連携について聞きたいです。
くわしい薬剤師さんいらっしゃればおねがいします。
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病院薬剤部と保険薬局の連携331view
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近年、病院薬剤師と調剤薬局の薬剤師との連携や情報共有が積極的に行われており、「薬薬連携」と呼ばれています。もともと薬剤部と調剤薬局においては、採用薬の通知やデッドストック交換などで連携することはあったのですが、最近は患者さんの疾患・治療などの情報を共有するという形の連携が増加しています。ただし、個人情報保護法のために情報提供においては原則患者さんの同意が必要です。具体的には患者さんの検査値や院内で実施した注射薬などについて病院薬剤部から調剤薬局へ情報提供したり、反対に外来通院中の患者さんの服薬管理上の問題点を調剤薬局から薬剤部に情報提供したりします。情報提供の媒体としては、お薬手帳や薬剤情報提供書(薬剤サマリー)などがあります。薬剤部と調剤薬局で定例のミーティングをして、そこで患者さんの相談をすることもあります。
薬薬連携とはそもそもどういうきっかけで始まったのかについてですが
病院の薬剤部と調剤薬局における連携の必要性が意識され始めたのは、各病院が外来化学療法を導入した時期と重複しています。外来における抗がん剤治療においては、注射薬の抗がん剤を長時間または連日投与するのが現実的に難しいため、間欠的に投与する注射薬と連日投与する経口剤を組み合わせたレジメンが多くなっています。この場合、注射薬は病院で投与されますが、経口薬は院外処方のため調剤薬局で調剤されることになります。問題となったのは、調剤薬局の薬剤師が病院でどの注射抗がん剤が投与されているのか判断できず、患者さんの質問や副作用の訴えに対応ができないという点でした。
そこで、病院の薬剤部から調剤薬局へ患者さんのレジメンについて情報提供をするようになり、次に副作用の指標となる生化学検査や血液検査のデータを提供するようになりました。具体的にはお薬手帳に記載するか、医師が発行する紹介状のような形式の薬剤情報提供書(薬剤サマリー)を発行するのが一般的となっています。
最近は調剤薬局から病院薬剤部への情報提供により、重篤な副作用の早期発見や医師や看護師が気が付かない服薬管理上の問題点を指摘した事例も報告されています。これは外来における抗がん剤治療に限ったものではなく、院外処方箋が発行される全ての処方箋においてであると言えます。また最近では大学病院を中心に処方箋の裏面や余白欄に副作用と関連のある検査値を表示して、調剤薬局におけるダブルチェック体制を確立して副作用の早期発見に繋げようとする取り組みも散見されるようになっています。
薬薬連携のこれからについてですが
病院薬剤部、調剤薬局の双方にとって薬薬連携は業務負担が大きいものです。しかし、患者さんの健康に不利益が出さないために、多くの病院で実施されています。もっと踏み込んだ連携をするのであれば、医療情報自体をすべて共有化すればよいのではないかという意見も聞かれます。要するに、カルテ情報を調剤薬局からでも閲覧できるようにするというものです。現在、医療連携の一環としてかかりつけクリニックや二次医療の病院における診療情報を共有化しようとする取り組みが始まっています。しかし、その中に調剤薬局が加わる例はあまり見かけません。個人情報保護という壁があるのは否めませんが、調剤薬局が診療情報の共有化にまで関与するようになれば、医療機関と薬局との連携はさらに進むことでしょう。