コンクリートメーカーの管理責任者へ転職を検討しています。
工業品質管理責任者の資格は取得する予定です。この資格を取得した品質管理責任者の仕事内容について詳しく知りたいので教えてください。
質問
コンクリートメーカーの工業品質管理責任者の仕事とは?54view
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回答
1件の回答
建設業に勤めており、レディーミクストコンクリートの管理責任者をしていたことがあります。
レディーミクストコンクリートとは俗称で生コンと言い、日本工業規格に沿って製造がおこなわれています。(JIS A 5308:生コンクリート、分野別認証指針)
この製造を計画、品質管理をする為に、有資格者を必ず置く必要性があります。
この資格は工業品質管理責任者と言います。取得は3日の講習と最後の筆記試験に合格すればもらえます。試験自体は簡単ですが、実際求められる能力はいろいろな知識が必要になります。
さまざまな知識としてまず一つは統計的手法に関する知識。これは製品の圧縮強度の要求性能に1回の試験結果は呼び強度の85%以上、3回の試験結果は呼び強度以上という条件があるためです。これを守るために製品の強度管理をする必要性があります。
呼び強度18N/mm2の製品を満足させるために、どのくらいの強度にしたらよいか。この強度を決定するために変動係数(バラツキの目安)を設定する必要性があります。
変動係数はVといい、この数値は強度管理X-RS管理図などを作成して、解析することによって実際の工場の変動係数が出ます。この実際の変動係数が採用した変動係数より低ければ、管理できていると考えることができます。工程能力指数は1.33~1.67で問題ないとされますが、これは製品の特性上高強度になるほど工程能力指数は高くなり、あまり参考になりません。
次に製品の特性、配合設計する上での注意事項。製品はスランプ、空気量、塩化物含有量など他の要因もあります。これは数値上の範囲がありますが、これとは別に実際の状態も鑑みることが必要になります。スランプについては塑性粘度や降伏値。スランプはテーパ状の筒にコンクリートを詰め、引き上げたときの下がりを読み取り、この数値が高いほど施工しやすいですが、耐久性が落ちます。高スランプになると、セメントである程度の粘性を担保しないと、砂利とモルタルが分離した状態で、施工不良の原因になります。これをジャンカといいます。空気量は普通のコンクリートで4.5±1.5%という規格がありますが、これと別に気泡間隔係数があります。この数値は凍結融解作用の耐性にも影響し、ブリージング(コンクリートに練りこまれた余水が浮いてくる)の影響にも関係します。
材料としてはセメント量の設定も重要になります。セメントは水和で硬化反応(発熱)するので、この熱が悪さをします。このため、セメント量は適切にする必要があります。
コンクリートは熱で体積が変化します。構造物を冬に施工すると、表面は早く冷めます。ただ、内部に熱は残ったままです。この内部の膨張する力と、外部の収縮しようとするちからの差が大きいと、外部拘束応力によるひび割れが発生します。
コンクリートは鉄筋を設置して施工される事が多いのです。この背筋とコンクリートの付着が重要なのですが、水和熱が多いとこの付着力によって応力が発生し、これもひびわれの原因になります。これは内部拘束応力によるひびわれといいます。
上気の変化に対応するにはセメント量のコントロールが必要になりますが、これができるのは混和剤という薬があるから可能となっています。
次に設備に関する知識。これは製造設備の適切な管理は変動係数の重要なファクターになるためです。例を挙げますと動荷重管理があります。
動荷重は原材料の重量を計量する設備で、実際の計量に当てはまるものです。これは早くすれば製造能力は上がりますが、変動係数は悪くなります。
変動係数を良くするためにはゆっくり計量すればいいのですが、会社としてはギリギリを考えているので、おのずと重要な設備管理の一つとなります。
上記のように、製品の特性を把握し、統計的手法を用いて製品管理をしていくのが管理責任者の仕事になります。