命の誕生に立ち会いたい、出産を手助けする仕事に就きたいと助産師の資格を取得し、総合病院の産婦人科で4年間助産師として勤務していました。助産師として更なる経験を積むため、より地域やお母さん方と近い場所で助産師として活躍したいと思い、個人の産婦人科病院へ転職します。そこで、就職する前に個人の産婦人科病院ならではの理想と現実を知っておきたいと思っています。経験者の方、今現在勤務中の方、理想と現実のギャップを体験されているのであれば教えてください。
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助産師の仕事の理想と現実とは?878view
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1件の回答
地域に根付いた産婦人科病院で働く助産師でした。元々母子保健に興味があった私は、大学で助産学を専攻し、看護師・保健師・助産師の国家試験を一度に受け、無事合格することができました。総合病院ではなく産婦人科だけの病院に就職した理由は、より地域に近い場所で妊娠・出産・育児をするお母さん方に関わりたいという思いからでした。地域では有名な患者数の多い病院に就職し、期待と不安を抱えながら初出勤した日を今でも覚えています。
患者数が多いことは承知の上でしたが、その忙しさたるや想像以上でした。特に夜勤始まってからの忙しさは、今でも恐怖心を覚えるほどです。就職して1年目は、とにかく出産にたくさん立会い、技術を磨くことが求められました。いかに安全に、いかに良いお産にできるか。産婦さんの気持ち・ご家族の気持ちを汲み取って、最大限のケアを瞬時に考えなくてはなりません。学校で勉強してきたこと、自分が思い描いていた助産師像をここぞとばかりに駆使しますが、先輩が持つ圧倒的な経験値に叶うはずもなく毎日毎日反省と課題に追われる日々でした。ここが、第一の理想と現実のギャップでした。思っていた以上に自分の技術が伸びず、勤務後にも反省や課題をこなすため多くの時間を拘束されました。なかなか技術が伸びない自分への苛立ち、休日も仕事のことが頭から離れないことからくる疲労感。こうして就職して2年目、ようやく仕事を任せてもらえるようになったころ、私はうつ病になってしまったのです。自分が思い描いていた、明るく元気な助産師ではなく、いつも影で泣いている助産師になってしまいました。助産師になるには、相当な精神力が必要です。それ以上に休日の気持ちの切り替えが必要だったのです。産婦人科の日々の緊張感はすざましいものです。それに立ち向かうために、しっかり休むようにと当時の自分に言ってやりたいと思います。
次に、産婦人科特有の緊張感についてお話します。産婦人科医の減少が社会問題となって随分経ちます。医療訴訟になる事例も圧倒的に産婦人科が多いのです。「元気に生まれて、当たり前」という社会になってしまったからです。医療が発達し、胎児や母体の健康状態が分かるようになってきました。これから益々進歩していくでしょう。それはとても良いことだと思います。もちろん出産される方にとって、元気な赤ちゃんを生むことが一番の目標であることも当然のことだと思います。ただ、出産は命懸けであるということを忘れて欲しくはありません。そのために、妊娠中から自分の体の管理をし、自分が産むんだ!という覚悟を持って欲しいと思います。というのも、出産前や出産中に、本人の希望や考えを聞いても「お任せします」と言われるケースはとても多いのです。しかし、出産は病気ではないため、本人や家族の意思がなくては進められません。産婦さんの全身状態・精神状態、胎児の様子、ご家族の気持ちを察しながら、安全に出産を進める現場。忙しい時には、同時に5~6人の出産を見なくてはいけない時もあります。時間を取って優しく接したいと思っていても、なかなか叶わない現場です。どこの病院でもそうでしょうが、産婦人科で働いているとき常に立ちはだかった理想と現実のギャップでした。
基本的に産婦人科は明るく、楽しく、幸せな空気が流れています。けれどスタッフは常に神経を研ぎ澄ましている、そんな場所です。