テレビ制作現場は上下関係がかなり厳しく体育会系だと聞きましたが、実際はどうでしょうか?
またスタッフのヒエラルキーはどのようになっていますか?
質問
テレビ制作現場のヒエラルキーについて1083view
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回答
1件の回答
おっしゃる通り、テレビ制作現場の上下関係はかなり厳しく、バリバリの体育会系です。というかむしろ、インドのカースト制度の方が近いんじゃないかと思うほどです。上司の命令は絶対で、頼まれた仕事は基本的に断れません。特にADなんて言われるがまま、奴隷のような扱いを受けます。そういう業界だから、仕方ないともいえます。ご飯やタバコを買いに行かされる、いわゆる「パシリ」は日常茶飯事。またご飯を買いに行く時も担当ディレクターに「お伺い」を立てからでないといけません。ディレクターが作業しているのにADだけご飯を食べているのはあり得ない、ということです。
それに家に帰るタイミングもディレクター次第。頼まれた仕事がすべて完了し、ディレクターが帰ったあとでしか、ADは家に帰ることができません。プライベートなことを頼まれることもあります。この郵便を出してきてほしい、DVDを借りてきほしい、などなど。
しかし、覚えておいてほしいことは、たとえ奴隷のような扱いを受けたとしても、「ADは奴隷ではない」という事です。人権もちゃんとありますし、労働者の権利もあります。もし明らかに業務以外の事を頼まれたり、仕事の要求が行き過ぎる場合、また体罰やパワハラ、セクハラを受けた場合は迷わずにプロデューサーなどの上の人、社内のコンプライアンス部署や必要であれば労働基準監督署に相談して下さい。
私が働いていた情報番組では、ある有名な総合演出家がいました。彼はいくつもの有名な番組の立ち上げや制作に携わっており、その演出の腕は業界でも幅広く知られており、私の番組でも絶対的な地位を誇っていました。しかし彼はとても横柄で常識が無く、とにかくやりたい放題。会議の際自分用のコーヒーとお菓子を毎回ADに用意させたり、オンエア前日の忙しいADにタバコを買いに行かせたり。
一番酷かったのは女性スタッフに対してのセクハラでした。彼の権力と地位に怯えて今まで誰もそれを公にしなかったのですが、ある日耐えきれなくなった女性ADがそのことをプロデューサーに相談すると、それをキッカケに他の大勢の女性スタッフが被害を名乗り出ました。それから一週間後、その総合演出家はその番組をクビになり、以降姿を見せることはありませんでした。ちゃんとしたところに相談すれば、テレビ業界といえどパワハラ・セクハラ上司にはキチンとした制裁が下るのです。
具体的なヒエラルキーを簡単に説明すると、下から順に、AD→ディレクター→チーフ(またはデスク) → プロデューサー → チーフプロデューサー、となっています。
ADの中でも新人AD、中堅AD、セカンドAD、チーフADといったランクがあります。
チーフADは一番AD歴が長いADで、その名の通りその班のすべてのADをまとめます。ディレクターから一番頼られる存在であり、またディレクターに昇進するのに一番近いポジションでもあります。
ディレクターの中でもAD上がりの新人ディレクター、中堅、ベテランなどのランクがあり、新人ディレクターは最初、ベテランディレクターと一緒にネタを担当することで彼らから色々学び成長していきます。
すべてのディレクターをまとめるのが、チーフ、またはデスク、と呼ばれるポジションの人で、彼らはその日のオンエアの担当責任者でもあります。その日のオンエアの視聴率に最も責任を負う人、とも言うこともできます。
プロデューサーはそれを監督するだけの役割だと考えてください。チーフはオンエアのネタ決め、構成を行い、またどのネタをどのディレクターに担当させるのかという人の振り分けに関する決定権も持っています。自らロケに出ることはなく、スタッフルームの真ん中に座ってすべてのスタッフに指示を出します。いわゆる「司令塔」ですね。
プロデユーサーの仕事は主に予算管理、危機管理、そして人事です。具体的にいうと、お金の清算の報告は最終的にプロデューサーに行きますし、班で何か高い機材を買う、といった場合も彼らにまず相談しなければいけません。番組で放送事故が起こったり不祥事が発覚した場合も、責任を取るのはプロデューサーです。外部の会社などに謝罪にいく時も、必ずプロデューサーが同行します。また、どのADをディレクターに昇進させるのか、そして番組編成の際に誰をどの班に配置するかという人事決定権も彼らが持っています。
プロデューサーは1つの番組において何人かいますが、その中で一番偉いのがチーフプロデューサーであり、番組の最高責任者です。私の経験からいうと、チーフプロデューサーは腰が低くて人格的な人が多いです。中途半端に偉いポジション、例えばディレクターやチーフなどは横柄で高圧的な人が多いのに、一番偉くなると逆に腰が低くなる、というのは面白いですよね。それが、リーダーに本当に必要な素質なのかもしれません。