テレビ制作の現場では膨大な量のリサーチをすると聞きました。具体的にどんなリサーチをするのですか?
質問
テレビ制作現場でのリサーチについて19view
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1件の回答
私は5年ほど情報番組のADをやっていたのでその経験からお答えします。
リサーチをする前に、まずやらないといけないのが「ネタ決め」です。新聞や雑誌、ネットニュース、芸能デスクに送られてくるイベントのプレスリリースなどを見てネタになりそうなものを探します。このネタ決めの元となる資料をコピーしてディレクターやプロデューサーに渡すのもADの仕事です。特に大事なのは新聞で、スタッフルームに配達されてくる全国の一般紙・スポーツ紙にすべてくまなく目を通し、ディレクターから指示されたネタに関する記事をキチンとコピーして渡します。文字が小さすぎる、切れている、などは問答無用で怒られますし、記事が2ページに渡る場合などは、なるべく1枚にまとめなくてはいけません。たかがコピーと思われるかもしれませんが、こういう細かい仕事がちゃんと見られている、ということを忘れてはいけません。
資料集めだけではなく、ADがリサーチそのものを頼まれることもよくあります。一番多いのは、データ集めだと思います。例えば、「全国の保健師の数とその推移」、「都道府県別の離婚率」、「自殺の原因内訳」などです。
全国的なデータであれば厚生労働省などの国の行政機関に直接問い合わせて聞くのが一番早いですし、ローカルなデータであれば市町村役場に聞きます。その他、ネタによっては民間の組織・団体、また会社や病院に問い合わせることもあります。入手したデータは原稿にそのまま反映されたり、またグラフ化してCGなどに使われることもあります。
ネタ決めの際一番大事なのは新聞だと言いましたが、新聞を丸呑みして信じるのは情報・報道番組ではNGとされています。必ず裏取りをしなくてはいけません。
この裏取りをやるのは基本的にディレクターの仕事ですが、ベテランADに任せられることもあります。私が覚えているのは、「中途半端に終わっている国の公共工事が全国に多数あり問題化している」というネタで、それは新聞記事からのネタでした。その記事には全国地図が載っていて、どの都道府県にどれくらい未完成の公共工事があるのか、というのが分かりやすく書いてありました。しかしこれをネタとして成立させる為には当然裏取りが必要なので、私は担当ディレクターから指示され47都道府県全てに直接電話し、その情報が正しいのかどうか確認しました。
直接電話して聞くという方法の他によく使われるのが、アンケート用紙を送って記入してもらう、という形のリサーチ方法です。特に質問事項が多数あり、また同じ質問をいくつもの団体にしなくてはいけない時によく使われます。まず一つ一つの団体に電話してアンケート可能かどうか聞き、OKであればアンケート用紙をFAXかメールで送ります。47都道府県アンケートも、この方法でやることが多いです。
その他には、VTRに使う写真や動画を探すように指示されることもあります。写真の場合、ゲッティイメージなどの写真検索サイトなどを使って探しますが、もしそういったサイトでも見つからない場合は、ネットに写真を載せている会社や団体、また個人などに連絡を取り、写真使用の許諾を取ることもあります。その際、より解像度のいい元データを送ってもらうことも大事です。動画であればYoutubeが一般的ですが、これもまたその動画をアップロードした人に許諾を取る必要があります。
こういったリサーチの仕事は地道で大変なものですが、任されるというのはディレクターから信用されている証でもあります。また、買い出しなどの簡単な仕事と違って、ちゃんと番組作りに貢献している、という充実感もあります。
ディレクターになったらもっと難しいリサーチをやることになるので、そのための練習だと思って積極的にリサーチの仕事を引き受けるようにした方がいいと思います。