電機メーカーの知的財産部とは、どんな仕事をするところですか?また、知的財産部の仕事のやりがいとは、どんなことでしょうか?
経験がない部門での仕事に不安があります。詳しく教えていただけると嬉しいです。
質問
メーカーの知的財産部の仕事、どんなやりがいがありますか?492view
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回答
1件の回答
メーカーでの知的財産部の仕事は、会社の製品の知的財産権を守ることで、市場における自社のポジションやシェアを守ることです。そういう意味では、会社全体の命運に影響する、とても責任重大な仕事です。
具体的には、特許・実用新案・商標・意匠といった知的財産の権利化の仕事が中心になります。たとえば特許出願の場合は、発明者から送られてきた発明届を検討し、競合他社の権利に比べて優れたものであれば出願ポイントを絞って、請求項案を提出し、出願の承認を得ます。
特許等の請求項は「〇〇であって、▲▲であり・・・・AAでありBBのときCCと動作することを特徴とする☆☆装置」などと一文が非常に長いスタイルを取ります。他社がこの特許を侵害しているというためには、請求項のそれぞれの要素をすべて実施していなければなりません。そういった権利範囲を決定するのに、クレーム範囲の適切さは非常に重要であると言えます。
出願の承認を得たら、自分で特許明細書(上記の請求項と、新しい装置や機能の説明を図面と共に示したもの)を書くこともあれば、弁理士に外注するときもあります。弁理士に書いてもらうときには、発明者と弁理士とを集めてミーティングの場をセッティングし、発明の詳細をヒアリングすると共に、知財部員の立場としてはそういった発明の内容をクレームに今一度、弁理士と相談しながら適切に落とし込んでいきます。
出願後3年以内に、出願した特許を本審査にかけるかどうかを決め、本審査にかける特許出願については審査請求を特許庁に対して行います。審査請求を受けた出願は、特許庁審査官によって審査が行われ、以前の出願から簡単に思いつくようであったり、特許するに値しないと審査官が判断した出願については「拒絶理由通知」が送達されます。それを受け取ったら、知財部員は発明者や事業部門と打ち合わせをして、事業の方向性に照らしてその特許を権利化することが必要かどうか、権利化するには権利範囲を往々にして狭める必要があるが、その権利範囲でも権利化する意味があるのかを多角的に検討し、権利化を進めると決定した出願に対しては補正をかけて特許庁に応答します。
こうして出願から平均して3~5年で発明は特許され、権利になります。権利になった特許は、1年ごとに維持年金を支払います。特許の寿命は、出願から20年ありますので、事業の方向性に照らして、登録特許の存続放棄判断がされます。これについても事業部や、役員の集まる会議にて決定されます。
このように知財部員の仕事は、技術部門や役員、弁理士という様々な立場の人々とやりとりしながら、メーカーにとっては特に大切な知的財産を生み育てていく、大変やりがいのある仕事内容です。