新しいことを学びたいので保険薬剤師から病院薬剤師に転職したいのですが、保険薬剤師と病院薬剤師の業務の違いを教えてください。保険薬剤師の経験は役立つのでしょうか。
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質問
保険薬剤師から病院薬剤師に転職を考えています。業務の違いは?75view
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回答
1件の回答
病院薬剤師と言っても病院の規模によって違いはありますが、
ここでは総合病院の薬剤部を例に、
①保険薬剤師と病院薬剤師の共通点
②病院の薬剤部ではあまり行わない保険薬局の仕事
③保険薬局ではあまり行わない病院薬剤部の仕事
の3点でお話ししたいと思います。
①の共通点についてですが、調剤業務、監査業務や窓口での服薬指導(投薬)が共通点のように思います。
職場によってやり方の違いはあると思いますが、病院でも保険薬局でも患者様に正確に安心して服用させるという意味では同じなので、大差はありません。
また、いかに正確に速く調剤をして患者様をお待たせしないようにするかということも保険薬局と変わりません。
この点において保険薬剤師は多くの患者様の調剤、監査、投薬を経験していると思いますので、臨床の現場でもその経験はかなり役に立つと思います。
②病院の薬剤部ではあまり行わない保険薬局の仕事は、薬歴の記載、在庫、レセプトに関してだと思います。
病院の薬剤師は外来の患者様に対して薬歴というものを書きません。調剤薬局では大量の薬歴を書くことが大変な業務の一つだと思いますが、病院では薬を調剤、監査してそのまま患者様に渡して終了になります。
ただ病棟服薬指導を行った場合には薬歴と同じようにSOAP形式で記録を残しますので、保険薬剤師の経験がここでも役に立つと思います。
在庫に関してですが、病院内の薬剤部が扱う薬の種類は院内の医師と相談をして決めているので、予想外の処方、薬剤が出ることはほとんどありません。また大病院であれば、薬剤の過不足を考えて注文する専門の方がいらっしゃる場合も多く、その場合は薬剤師が在庫で悩む必要がありません。
レセプトの業務に関しては医療事務に任せていることが多いので、病院薬剤師は保険薬剤師ほど保険点数を気にしていません。
ただその代わり、病院薬剤師は保険薬剤師がほとんど関わることがない他の業務が沢山あります。
③の回答になりますが、これらが保険薬剤師から病院薬剤師に転職するうえで一番不安になる要素だと思います。
まず、注射の調剤・監査です。
ほとんどの薬局では注射の調剤はありませんので、一から勉強することも多いと思います。例えば注射剤の中でも毒薬の抗がん剤などではパッケージが似ていたり名前が似ているものもあるので、それを頭に入れて注意深く調剤していくことが必要です。注射剤は内服薬、外用薬と比べて、身体への影響も大きいため、万が一調剤過誤が起こってしまった場合は大きな事故になる可能性が高いです。過誤を起こさないためにも慎重さ、経験、勉強がとても大切です。
あと余談ですが、輸液は錠剤や散剤と違い一つ1キロ~2キロほどあり、それが多数の患者様に処方されますので、それを調剤をして病棟に運ぶだけでも大変たどいうことに実際調剤をして驚かれる薬剤師も多いです。
次に病棟服薬指導業務です。
基本的に調剤薬局の窓口での服薬指導と指導内容はあまり変わりませんが、担当医から具体的にどんな服薬指導をしてほしいのか指示があったりしますのでチーム医療の一員として考えなければいけないこともあります。
また、調剤薬局にいらっしゃる患者様とは違い、入院されている患者様はとにかく時間があります。
服薬指導だけではなく、話をしたいということで、身の上話を話したがる患者様も大勢いらっしゃいます。いつもあわただしく動いている看護師と違い、ベッドサイドに座って話してくれる薬剤師は服薬指導だけでなくカウンセリングのようなこともしなければいけないこともあるのです。話をうまく切り上げて、指導が必要な患者様全てに服薬指導できるような工夫も必要です。
病棟業務には糖尿病教室など、患者様教育に携わることもあります。
患者様の病識が結果的に治療に大きな効果をもたらすことも多いので、患者様教育は大切な仕事の一つです。
薬剤師は薬剤の説明を担当することが多く、大勢の患者様に専門用語を使わずに分かりやすく説明をします。イラストなどを描いて工夫するなどしている薬剤師もいらっしゃいます。薬剤に対する不安を取り除き、治療に対するモチベーションを上げることが目標です。
もう一つ、病棟業務としてそれぞれの病棟、診療科にあるストック薬の管理を任さることもあります。緊急で使う薬は病棟に準備しておくので数の確認、補充、期限切れのチェックは欠かせません。救急、ICU、CCUなどではストックしておかなければいけない薬剤も多いです。その他、処方薬が看護師管理の患者様に関しては一包化された薬を、カートにセットするといったこともしています。
更に、保険薬局からの医師への問い合わせを受け付けもし、医師に問い合わせ、回答を保険薬局に伝えるということもしています。問い合わせ内容には責任があるので、必ず証拠を残すようにFAXでのやりとりに限定している病院もあります。
忙しい業務の中でやるため、かなり大変な作業です。お待たせしてしまうと保険薬局から2度、3度電話をいただいてしまうこともありますので、院内の業務と同時に必死に対応します。
他にも病院で決められた処方、いわゆる院内製剤を作るなどの違いがあります。
これらは一例ですので、更にやらなければいけない業務がある病院もあるでしょうし、反対に業務の種類が少ない病院もあります。
業務内容については面接時に質問することをお勧めします。
特に、希望の業務がある場合にはその病院で行っているかどうか、例えば「患者様教育に薬剤部は携わっていますか。どのように携わっていますか。」などピンポイントで聞いてみたら良いのではないでしょうか。
保険薬局では医師、看護師、栄養士などの他の医療業種の人たちとの関りが少ないですが、病院薬剤師はチーム医療の一員として、彼らと一緒に患者様に対する治療を行っているという感覚が強いような気がします。医師から直接治療方針を聞く機会も多いですし、患者様のカルテを閲覧できることも大きな違いの一つです。
担当する病棟の診療科を深く学べますし、一人一人の患者様やそのご家族に接する時間も長いことが多いので、保険薬局とはまた違ったことを学べると思います。
病院薬剤師は関わる業務の種類が多く、また患者様により近い分、初めは戸惑うことも多いと思いますが、保険薬局で身に付けた知識や技術を基礎にして、一つ一つ達成していくことでやりがいを見出せる仕事だと思います。