製薬会社勤務ですが、他社の知的財産部に転職を考えています。
注意点などアドバイスをいただきたく、投稿させてもらいました。
質問
製薬会社の知的財産部への転職について67view
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回答
1件の回答
ご質問者様の現在の職種によって回答が大きく変わってきます。
私が存じている転職のパターンとして、現在研究職なのか、現在知的財産に関する仕事に関わっているのかで回答させてもらいます。
研究職の方は、もし他の製薬会社に転職する場合、特許明細書を書いたことがあるかが大きく影響します。特許明細書をたくさん作成したことがあるのであれば、知的財産部への転職の可能性も出てきます。
また、もし弁理士試験を通り、弁理士の資格を持っていれば、かなり転職に有利に働きます。ただ、一通り特許法などの法律を勉強するだけではなくて、著名な知的財産権に関する裁判例(例えば、最高裁で先使用権のマーキング的な判例となったウオーキングビーム炉事件や均等論について判決されたボールスプライン事件などの判例など)や、最近話題になった知的財産権に関する裁判例、もちろん、欧州、米国についての判例についての考察を面接官に聞かれる可能性があるので、それらを十分に理解をしておいたほうがよいです。
また、知的財産部の経験のある方については、前述した内容プラス前の会社での実績などについて十分にアピールすべきです(いかに前の会社において利益を与えたかなど)。また、欧州やアメリカの知的財産権に関わる法律について精通しておかなければなりません。
また、もうひとつ必要な能力として、英文を読み書きできるだけでなく、在外代理人(欧州、米国など)との議論ができるだけの英語力を必要とします(この必要性については後述します)。
例えば、TOEICでいうと最低限730点以上の能力が必要です(これは研究職の人、知的財産部経験者の両方に共通します)。
製薬会社では、日本以外の外国、たとえばアメリカや欧州も大きなマーケットと考えており、アメリカや欧州で特許訴訟が起こることも多々あります。そのため、海外での特許訴訟等のために在外代理人(アメリカや欧州など)にこちらの意思や戦略などを正確に伝えるために、英語に精通していることが必須要件として要求されます。
また、お役所相手(特許庁や裁判所など)の仕事ですので、仕事の期限は厳密に守らなければなりません。ちなみに、私が前に在籍していた会社での1ヶ月の仕事の量は、研究者からの特許明細書のチェック5件、中間処理対応(日本、欧州、アメリカなどへの拒絶理由通利などへの意見書提出)10件、その他、各研究所での特許の知識に関しての研究者に対する講義や無効審判、異議申立、侵害訴訟などを行ってきました。
ただし、知的財産部のよいところは、意外と昇進が早く、前の会社で私は36歳で管理職に昇進し、年収は、扶養家族手当、住居手当を除いて、1000万円以上の年収をいただいていました。
また、通常の業務では、1ヶ月単位でなすべきノルマが決まっており、やる気のないときは定時で退社し、元気なときは終電までがんばるなど、マイペースで仕事ができることがメリットです。
私の前の会社での時間外労働は、通常平均20-30時間ですが、特許訴訟が起こると時間外労働時間が80時間を越えることも多かったです。また、知的財産部の業務は根本的に特許法などの法律や特許庁から出されている審査基準等の明文化された基準に基づいて行っていきますので、「がんばりが足りないからだめなんだ」などというような精神論を言うような上司はほとんどなく、理詰めでものごとを考える人には特に向いている職場と思います。
その他、一部上場の製薬会社では、海外の特許事務所に留学して勉強をさせてもらえるところも多くあります。
最後に、日本の製薬会社は、全体としてかなり厳しい状況にあります。中途入社の社員を教育する余裕もない企業も多いと思います。そのため、あなたが即戦力になるのかどうかをよく考えて採用・不採用を決めています。
ですからあなたは、いかに即戦力として使える人間かどうかを、前述したことに加え、面接などでアピールすることが採用につながります。私自身、知的財産部の中途採用者の面接担当官を行ったこともありますので、これらは真実です。以上!