人事は面接重視の傾向
人事は、最も面接が重要視されているポストのひとつだと言えます。それは、人事の仕事そのものが、人を扱う仕事だからです。
ほとんどすべての職業は、何かしらの人との関わりを持って成り立っていますが、とりわけ人事においては、労働環境や評価、昇格や降格など、企業で働くすべての人のとても重要な部分に関わります。そういったところから、共感や同情だけではない公平性や全体最適を考えたバランスの良い思考やメンタルが求められます。
企業は、人事を担うスタッフにはそれにふさわしいだけの「人格」を求めます。人事は、よくコミュニケーション力が大切と言われますが、清潔感があり、笑顔を絶やさず、丁寧なしっかりとした受け答えができる、というだけのものではありません。個々のプライベートな領域まで踏み込んだ課題に対して、感情に流さずに対応していくことも必要です。
社会経験を長年積んでいないと養われない力で若い人材には厳しい課題ですが、面接官は求職者の資質を見ています。表面的な愛想の良い人物なのか、芯がしっかりした冷静な人物なのか等です。そのためにも、面接に臨む事前の準備はとても重要です。
- 人事は共感や同情だけではない公平性や全体最適を考えたバランスの良い思考やメンタルが求められる。面接官は求職者の資質を見ている。
事前の情報収集がカギ
人事の仕事は業界や個々の企業によって、その役割や求められるものが随分と異なりますので、企業研究を入念に行うことが不可欠です。
企業のウェブサイトやSNSで情報収集することはもちろん、その企業を多少でも知る人物を探し尋ねるなど、できる限り企業を知ることに努めます。企業の社風やビジョンをより具体的にイメージできるようにしておくことです。そして、人事に求める具体的な役割や知識、資格も把握しておきます。
これらが事前に把握しきれない場合もありますが、その時は面接時に質問をすれば大丈夫です。くれぐれも「ホームページを見れば分かること」の質問はマイナス評価です。調べた結果分かり得なかったことを質問することで、面接官は求職者が事前の準備をしっかりしてきたこと、またさらにもっとよく知りたいという意欲を見せていることに好印象を持ちます。
- 面接前にできる限り企業を知ることに努める。質問は調べた結果分かり得なかったことのみにする。
お互いのビジョンを重ねる場
面接は決して受け身でするものではありません。企業は求職者を判断しますが、求職者もまた企業を判断するお見合いの場と考えてください。求人企業と求職者の接点や相性を、会話を交わすことで一つずつ確かめていくイメージです。
企業が求める知識や経験、また資格が、自分自身に足りない場合は、取り繕わずに、入社後の努力目標として積極的に学ぶ姿勢を伝えます。転職活動は、求職者にとってはキャリアの棚卸でもあります。これまでの経験や知識がどの程度であって、今後目指すキャリアには何が足りないのかを自身を客観的に把握し、明確に面接官にアピールすることです。そこがぼやけると、企業側は求職者に何を期待していいか分からなくなります。
例え即戦力としての求人であっても、職場環境や経営のスタイルは千差万別で、スキルが高い求職者でも100%合致することはありません。入社後、何かしらのギャップや新たな課題が必ずあるものです。面接官は、そのギャップを探しています。そこがお互いに理解できていると、具体的な入社に向けた会話になってきます。
志望動機はもちろん、入社後に取り組みたいことやキャリアプランなど、求人企業と求職者のビジョンが合致することが、最も望ましい面接のあり方です。そのためにも、事前の情報収集とキャリアの棚卸をしっかり行うことがすべてのスタートです。
- 求人企業と求職者のビジョンが合致することが、最も望ましい面接のあり方。事前の情報収集とキャリアの棚卸をしっかり行いたい。
本記事は2016/03/03の情報で、内容は人事としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。