監査法人の非常勤制度
公認会計士のアルバイト制度として、非常勤制度というものがあります。主にその制度を活用しているのは、Big4と呼ばれる四大監査法人の監査事業部です。
監査業務は、繁忙期に多くのクライアントの年度末決算の期末監査が重なり、必要な仕事量に比べて人材が全然足りなくなります。その人材不足を少しでも補うため、繁忙期限定の非常勤で公認会計士を採用し、監査業務を手伝ってもらうことがあります。
非常勤で採用される人は、基本的にはその監査法人を辞めた公認会計士で、時給は辞めた時の職位によって異なるのですが、3,000円から8,000円ぐらいと言われています。仕事内容も、期間限定なので、責任が重い科目などは任されることはなく、割かし単純作業に近いものを任される場合が多いです。
時給はかなり高い方なので、繁忙期に毎日稼働すれば、1ヵ月で100万円を超える人もいます。そのため、責任もなく大変な科目も任されないので、とても割のいい仕事と考えられています。ただ、監査法人側の人不足が解消されれば、制度自体をすぐに使わなくなってしまうため、安定はしていません。
- 監査業務の非常勤は割のいい仕事。
中小の会計事務所やコンサルティング会社の非常勤
非常勤制度を採用している場所は、Big4だけではありません。中小の会計事務所やコンサルティング会社でも公認会計士を非常勤で採用する場合があります。しかし、こちらは非常勤の公認会計士に任せる仕事内容が異なります。
中小の会計事務所やコンサルティング会社では、監査業務だけでなく、非監査業務、特にM&A関係の仕事などでよく非常勤を使います。M&A関係の仕事は、期限が短い上に、仕事量は多いので、案件を一つ受注すると多くの人員が必要となります。しかし、中小の会計事務所やコンサルティング会社では、毎回案件を受注できるかは不確定なので、正社員を雇うことはリスクが高過ぎるのです。そこで、一時的に公認会計士を採用する非常勤制度がよく使われます。
また、採用される側にとっても、M&A関係の仕事に関与することができますので、貴重な経験をすることができるという点でメリットもあります。そのため、独立したばかりでまだあまり仕事のない公認会計士がこの非常勤制度で生活費を稼ぐという場合も多いです。
- 貴重な経験を得る方法として非常勤で働くという選択もある。
一般事業会社の非常勤
監査法人以外でも、公認会計士であれば、一般事業会社でも非常勤として採用される場合もあります。
公認会計士は、会計のプロフェッショナルですので、短期間でもその知識や経験を活かすことはできます。企業側も、プロジェクトみたいな単発的な案件など、一時的に会計のプロフェッショナルに仕事をお願いしたい場合があります。その時、監査法人と契約してしまうと、高額な報酬を請求されたり、社内の人間ではないのでノウハウが残らなかったりするので、期間限定だとしても社内で働いてくれる公認会計士の需要はあります。
監査法人を辞めて次の転職先が見つかっていない公認会計士などが、非常勤として一般事業会社で働くという場合は少なくありません。
- 会計のプロフェッショナルであれば、どこでも短期間でも活躍できる。
本記事は2016/02/02の情報で、内容は公認会計士としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。