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まずは「実際に勤務している人の年収調査の結果」をチェック
転職ステーションでは「職種別の給与明細」というコンテンツで様々な仕事の給与明細の調査を行っています。まずはピアノ講師の調査結果を見てみましょう。
参考詳しくは以下の記事をご参照ください
ピアノ講師は、生徒の技量を高めるためピアノレッスンをすることだけでなく、生徒にピアノの楽しさを教える仕事です。ここでは、ピアノ講師のリアルな給与明細をご紹介します。
ここでは2名の調査結果が掲載されていますが、平均して1,606,000円と非常に低いです。確定申告後に「額面年収」から税金や保険料が引かれますのでさらに下がることになります。1名が26歳で大手楽器店での業務委託、もう1名が32歳で自宅でピアノ教室を開業されていますが、どちらも異なる働き方とはいえ、年収相場が他の職種の平均と比べて低いと言えます。
YAMAHAやKAWAIでピアノ講師をしたら食べていけるのか?
この記事をお読みの方の中には大手のYAMAHAやKAWAIなどの音楽教室で勤務しようと考えている人も多いのではないでしょうか?当サイトの悩み相談掲示板に下記の投稿がありました。 ここに現役のヤマハの講師の方や、過去にヤマハの講師をしていた人の投稿があるのでまずは読んでみましょう。そんなに恵まれた待遇ではない様子が伺えます。
参考ヤマハのピアノ講師など大手楽器店を目指したい人の投稿
私は現在ピアノ講師を目指しています。音大を卒業してから数年たち、新卒後は派遣社員としてOLをしていましたが、先月退職しました。次の仕事を見つけなければならないのですが、せっかく音大を出ているので今度は...
また、ヤマハの企業ページの書き込みに、ピアノ講師での勤務経験者の方(harukacchi-hatizi)の投稿があります。働いていて「良い点」「悪い点」を書いていますが、「悪い点」の中には給料に関する指摘もあります。
参考harukacchi-hatiziさんの年収は「200万円~300万円」、給料が安定しないと指摘
※「年齢」「年収」「勤続年数」は単体データの平均。「売上」「利益」「社員数」は連結データ。(参考)2017年3月決算時の単体の社員数:2,360人...
またカワイ音楽教室についてもピアノ講師の方2名(yuna-2224、habit)の書き込みがあります。こちらも「悪い点」の中に給与面の指摘があります。
参考yuna-2224、habitさんの年収は「200万円以下」、「悪い点」に給料面の指摘あり
※「年齢」「年収」「勤続年数」は単体データの平均。「売上」「利益」「社員数」は連結データ。(参考)2017年3月決算時の単体の社員数:1,293人...
これらの投稿からもピアノ講師の年収面はそう恵まれていないということが言えます。
なぜピアノ講師の年収はそんなに高くないのか?
ピアノ講師の年収について、上記の年収調査や悩み相談を見ると、とても低く感じる人も多いでしょう。以下でその理由について解説致します。
(■理由その1)大手楽器店でもピアノ講師は正社員ではない
YAMAHAやKAWAIの音楽教室は全国にありますので、毎年多くのピアノ講師を採用しています。その為、音楽大学を卒業した人が数多く採用されて、毎年たくさんのピアノ講師が誕生しています。
しかし、YAMAHAやKAWAIを含めて他の楽器店の音楽教室などでも、ピアノ講師は正社員採用ではありません。YAMAHAやKAWAIは独自のシステムで契約が交わされ、給料もそれによって決まります。他の楽器店もピアノ講師として契約を結ぶことが普通です(※ピアノ講師の給料は契約を結んだ音楽教室によって異なりますが、多くの生徒を持つ事で給料は上がることはどの教室であっても同じです。)
つまり、まず1点目の理由として、ピアノ講師という職種が正社員採用ではないことが一般的である点が挙げられます。正社員でないため福利厚生面などに恵まれないケースも多く年収に響いてきます。
参考ピアノ講師の正社員雇用は狭き門
ピアノ講師になるには音楽大学卒業が条件 ピアノ講師になるには音楽大学卒業という条件が付くことが多い傾向にあります。ピアノ講師になりたい人で音楽大学卒業でなければ、YAMAHAや...
(■理由その2)音楽教室のピアノ講師は会社にマージンを取られる
音楽教室でピアノ講師として働いた場合、生徒から受け取る月謝から会社がマージンを取りますので、マージンを取った残りがピアノ講師に入ることになります。YAMAHAなどの大手の楽器店から個人の音楽教室まで、これは同じです。
YAMAHAやKAWAIでは基本的に4:6、5:5、6:4などと会社とピアノ講師が取る割合が決まっています。他の楽器店や音楽教室でもほぼ同じような報酬体系です。たとえば、月謝8,000円の生徒の場合であれば、会社とピアノ講師の比率が4:6の時はピアノ講師の収入は4,800円となります。
※ピアノ講師の「年収」に関する相談も併せてチェック
ピアノ講師が年収を上げるためには?
ピアノ講師の年収が低くなりやすい原因について上記に記載しましたが、もちろん年収アップを目指す方法はあります。働き方などによって待遇は変わってくるのは他の仕事と同じです。下記でいくつか年収アップの例を挙げてみます。
(■例1)グループレッスンで個人レッスンより稼ぐ
音楽教室にはグループレッスンもありますが、グループレッスンの場合は複数の生徒を一緒にレッスンしますので、個人レッスンと同じ比率の報酬であっても、一気に複数の生徒分の月謝が入ることになり効率が良くなる傾向があります。個人レッスンとは報酬の比率は異なることも多いため、確実に報酬が増えるとは言い切れませんが、一般的には年収が上がりやすい傾向にあります。例えば50人以上の生徒を持つピアノ講師などもいて、この場合はかなりまとまった収入になりますが、採用されたけど数人の生徒を持っただけという人であれば、月収は数万円という事もあります。
YAMAHAやKAWAIの音楽教室では、個人レッスンと共にグループレッスンも持たなければならなかったり、ピアノとエレクトーンの指導をすることで報酬が良くなったり等、様々な規定があるので、このあたりは採用時にチェックした方がいいでしょう。
(■例2)開業して自分で生徒を集める
自宅でピアノ教室を開業した場合は、集めた生徒から入る月謝が全て自分の収入となります。ピアノ講師として働いて最も収入が良いのは、自宅で開業する事です。出張レッスンなどでも、自分が直接生徒を集めた場合はそのまま収入が手に入ります。自宅でピアノ教室を運営して、月謝1万円の生徒を50人持った場合は月収は50万円になります。
ただし、開業した場合、ピアノ講師はボーナスなどはもちろんありませんので、月収の12ヶ月分がそのまま年収になります。月収が50万円のピアノ講師であれば年収600万円となりますが、実際は50人という生徒を自分で持つのはそう簡単ではありません。ピアノ講師として多く収入を得る為には、多くの生徒を持つ事が鍵ですが難易度は高いです。
参考ピアノ講師として独立開業するには
自宅のピアノ室で教えるピアノ講師は多い ピアノ講師の職場として多いのは、ピアノ教室や音楽教室と共に自宅のピアノ教室があげられます。多くのピアノ講師がピアノ教室や音楽教室で教える...
この記事のまとめ
ピアノ講師は、大手の音楽教室でも正社員採用でないことが多く、音楽教室のマージンなども考えると年収に恵まれないケースが多いです。また少子化の進行もあり雇用数自体が増えているとは言い難い状況でもあります。年収を上げるには開業したり、グループレッスンの数を増やしたりと工夫する必要があるというのが現実と言えます。
本記事は2018/04/12の情報で、内容はピアノ講師としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。