フィットネスクラブ勤務の場合
一般的なフィットネスクラブのクライアントは健康維持を目的とした人が多いので、ハードなものというよりは一般的で、飽きずに続けてもらえるトレーニング内容や種目を選定することが大切です。飽きずにトレーニングを行ってもらうのはなかなか難しいのですが、1つのマシンにも沢山の使い方がありますし、どの程度の強度なら痩せやすいなどといったアドバイスをしたり、数字を測定してあげてそれを正しく評価し、クライアントの理想の体型に近づけ、それを維持するためのサポートが大切です。
コミュニケーション能力も当然必要なのですが、正しい知識をまんべんなく備えていることが大事です。いくらコミュニケーション能力が高くても知識が誤っていて結果を出すことができなければ、クライアントは離れていってしまいます。
また、クライアントの目を常に気にして行動できる人かどうかという点も重視されます。クライアントに「喫煙は体に良くないのでやめた方が良い」と言っておきながら、トレーナーが喫煙している姿をクライアントに見られてしまっていはけません。また、仕事が忙しくてなかなかジムに来られない人に対して「時間をみつけてトレーニングしに来てください」と説明したにも関わらず、トレーナー自身が「仕事が忙しくてトレーニングする時間が無い」という発言をしていたりすると、発言と行動が伴わないため信用や信頼を失ってしまいます。
- まんべんない知識と、クライアントから常に見られているという意識が大事。
高齢者施設の場合
高齢者施設では、コミュニケーションを取りながら、QOLを維持し、高めるための知識を有していることが求められます。高齢者は疾患を持っていたり、若年者よりも骨や筋肉・腱が弱くなっていますので、それを考慮した上での運動指導が必要となります。健康寿命を長くし、寝たきり生活や痴ほう症などにならないように、今持っている疾患を悪化させずに維持または少しでも改善できるようにしていくことが大切です。
また、高齢者施設ではある程度の医学的知識も持ち合わせていることも重要です。疾患者は薬を服用しています。高血圧を例に挙げると、β遮断剤が心拍数の上昇を抑えるという効果があるという事を知っているかどうかという事により、誤った運動処方をしてしまう可能性もあるのです。
- 高齢者のQOLを維持すること、ある程度の医学的知識が必要。
医療施設(メディカルフィットネス)の場合
メディカルフィットネスの場合、疾患を持っている方を対象にトレーニング指導を行いますので、基本的な病理学を習得していることが必要です。基本的には医者や看護師、理学療法士の指導の下でトレーニングの方法を教えるのですが、医療従事者の中にはトレーニングについては教科書上の勉強だけしかしておらず、トレーニングの実践についても詳しい人というのは少ないです。そこでジムトレーナーは、知識面では理学療法士などと同程度の知識を持ちながら、トレーナーとして実技指導や実践が出来ることが求められます。
医療施設の中には、健康診断の一環として「運動負荷試験」というものを実施している施設もあります。これは心電図を測定しながら運動をすることによって心電図にどのような変化が出るのかを調べるものです。心電図の電極を貼るため、男性よりも女性のトレーナーが重宝されることがあります。電極を貼る行為は資格保有が必須ではありませんが、健康運動指導士の資格を持っていると採用率が上がります。この資格の実習には実際の運動負荷試験の実技が含まれており、資格を持っていればこの行為の経験があることが採用側に伝わるためです。
- 基本的な病理学の知識が必要。健康運動指導士の資格保有者は有利になることも。
幼児スポーツ施設の場合
幼児体育施設では、幼児期の脳-神経系の発達を鍛える事、つまり「巧緻性」を伸ばす事を考慮し、その為の運動を取り入れた遊びを行うことが重要です。
将来サッカー選手になりたいからといってサッカーだけ行わせていると、それに類似した運動以外は苦手になってしまいます。走ること・跳ぶこと・投げることを中心とした様々な運動を遊びの中に取り入れることで脳-神経の活性化を図ります。また、子どもが飽きずに楽しく遊びながら運動をしてもらえるための知識や能力、コミュニケーションスキルも必要です。
- 幼児期の脳-神経の活性化のための知識、コミュニケーション能力が必要。
アスリート施設の場合
アスリート施設では、アスリートの目的達成、つまり結果が最優先されます。これはパーソナルトレーナーも同じで、楽しむのではなく結果を出すことが重要です。そのための専門的な知識が問われます。クライアントがどのような要望を持っているのか、またいつまでにどのような結果を残したいのかを年間サイクルで計画を立て、見直しもしながらトレーニングメニューの作成を行っていきます。
機能解剖学、病理学、トレーニング理論などの基本的な知識の他に、目標到達までに内容の修正が必要な場合に、自分の経験や知識外のことを調べる能力や、自分の手に負えない時は他の専門トレーナーを紹介するなどの対応も必要になります。ただし、知識を広げるのは当然ですが、その中でも「これが自分の強み」という知識や主義を持っていることが求められます。
- アスリート施設で求められるのは結果。そのための専門的知識が必要。
本記事は2015/06/05の情報で、内容はジムトレーナーとしての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。