一般社会における契約社員(または派遣社員)と言えば、正社員になれずに社会の底辺付近で働いているという負のイメージを持たれることが多いかもしれません。ただし、薬剤師業界における契約社員は一般社会におけるそれとは位置づけが全く異なります。最大の理由は薬剤師が国家資格職であるということに尽きます。
契約期間が終了したとしても、資格と経験、スキルさえあれば様々な職場で活躍できる可能性があります。以前と比較して契約社員の薬剤師の求人は増加しており、それに伴って契約社員という働き方を選択する薬剤師も増加傾向にあります。
契約社員の薬剤師のメリット
契約社員の薬剤師になる最大のメリットは、正社員やパートよりも給与が良い場合が多いということでしょう。職場にもよりますが、年収700~800万円で募集されることもあります。契約社員の薬剤師の給与が正社員やパートよりも高くなる傾向にある理由は、雇用期間が限定されているということが一つにあります。これは、例えば育児休暇を取る予定がある薬剤師の代わりだったり、翌年度の新卒薬剤師が入職するまでの繋ぎとしての役割だったりと、様々な理由があります。逆に言えば、それだけ高い給与を出すだけのメリットや利便性が雇用者側にあるということです。
契約社員を選択する薬剤師は、雇用期間が限定されているということを逆にプラスに取る人がほとんどです。例えば配偶者が定期的に転勤をする職業であるため本人も定期的に退職する必要がある場合や、1年のうち数か月間だけ働いて残りの期間は海外を放浪したりボランティアをしたいという場合など、働き方に自由度を求める人には契約社員の薬剤師の方が向いていると言えるかもしれません。
- 雇用期間が一時的&年収が高めというのが契約社員の薬剤師のメリット。
契約社員の薬剤師のデメリット
契約社員の薬剤師においてもやはりデメリットはあります。1つ目に、職場の同僚や上司などに恵まれていたとしても、契約期間が終了したら職場を去る必要があるということです。「ここでずっと働きたい」という気持ちが芽生えてしまうと、契約社員として働くのは難しくなるかもしれません。
2つ目に、仕事内容を覚えてきたところで契約期間が終了してしまうために、様々な職場における経験は積めるかもしれませんが、薬剤師としての成長にはなかなか繋がらないという点があります。したがって、新卒の薬剤師やブランクのある方は契約社員にはあまり向いておらず、他の職場で一定以上の経験を積んだ薬剤師が契約社員として働くのが良いのかもしれません。
3つ目に、契約社員には退職金制度が無い場合がほとんどである点です。年収だけ比較すれば契約社員の方が良いかもしれませんが、退職金まで考慮すれば正社員のほうが生涯年収は高い可能性があります。
- 雇用期間が一時的というのは人によってはデメリットになることも。また退職金などが少ない点などもデメリットの1つ。
本記事は2015/04/24の情報で、内容は薬剤師としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。