一昔前まで、薬剤師に関わらずほとんどの職業において社宅制度または住宅手当の支給がありました。現在、職員の居住するところまで保証するという職場はやや減少傾向にあります。しかし、特に家賃の高い都市部で働く薬剤師にとって、住宅手当の有無は死活問題です。住宅手当が無ければ給与のうちの相当額が家賃に消えてしまうことになります。
住宅手当が廃止された職場
住宅手当と同様の手当金として、扶養手当や皆勤手当などがあります。これらの手当て群は昭和時代においては「あって当たり前」のものでしたが、平成の不況期を経て、大企業であっても支給しないところも増えました。
薬剤師の業界においても、同じような傾向が見て取れます。住宅手当が出なくなった薬剤師の職場は、一時的に経営状況が悪くなったために、または将来の経営難を予測したために、給与体系を見直した結果、住宅手当が出なくなったところが多いとされます。また、最近設立された会社や、小規模の事業所などでは、社会状況も加味して最初から住宅手当制度を設けない所もあるようです。
- 住宅手当をはじめ各種手当がでなくなった職場は以前より増えた。
住宅手当が出やすい職場
逆に言えば、現在においても住宅手当を支給できる職場とは、経営状況が安定しており、将来にわたって利益を出すことができる見込みがある体力の残っている企業や医療機関であると言えます。就業先によっては、完全無償の社宅が準備されている場合もあります。
製薬企業への就職・転職であれば、中堅クラス以上の企業であれば、概ね住宅手当の支給があるようです。製薬企業は一定の規模があれば収益も安定しているため、手当ても充実しているのが現状です。ただし薬価の圧縮や、ジェネリック医薬品の台頭もあり将来にわたって住宅手当が確保される保証はありません。
病院への就職・転職であれば、全国的規模の大きなグループ系医療法人であったり、国立病院機構、公立病院などの公務員系であれば住宅手当が出やすいと言えます。200床未満の中小病院においては、支給されている施設はだいぶ減少します。
調剤薬局においては、大規模のチェーン薬局だけでなく、個人経営の小規模薬局においても住宅手当が支給される場合が多くなります。調剤薬局の場合は、薬剤師に対してコストを支払う意識が他の職場よりも高いようです。
- 製薬企業や大きな病院、一部の調剤薬局など住宅手当が出やすい職場の傾向はある。
住宅手当が出やすい雇用形態
住宅手当が支給される雇用形態としては正社員や契約社員などが該当しますが、パート職員は対象外となることもあります。転職時の交渉次第で決まる場合もありますので、求人票に住宅手当などの手当類の記述が無い場合には、人事担当者や転職サイトの担当者などを通じて面接前に確認しておくと良いでしょう。
本記事は2015/04/23の情報で、内容は薬剤師としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。