治験や臨床試験における治験コーディネーターの位置づけ
治験コーディネーターが治験や臨床試験の要である事は、現在も将来も変わることはありません。治験コーディネーター(臨床試験コーディネーター)抜きで試験は進みません。ただ、治験コーディネーターに求められるスキルは将来的にレベルアップしていくと考えられます。
現在、治験を依頼する側は、日本での治験にかかるコスト削減が課題で思考錯誤しています。削減できる費用としてモニタリング費用があり、その削減のためにリスクベースドモニタリング(RBM:Risk based monitoring)を取り入れる企業が外資を中心に増えつつあります。
- 治験コーディネーターに求められるスキルは高くなる傾向。
RBMとは?
リスクに合わせてモニタリングをしようというもので、症例報告書という治験の報告書のデータにミスデータが多発したり、測定しなければならないデータが欠測したり、治験実施計画書の不遵守があるなどをリスクとみなし、これらのリスクの高い医療機関には手厚く、逆にリスクの低い医療機関は信頼しモニタリングの頻度を落とすという方法です。これによって、臨床開発モニターにかかっていたコストを削減することができます。
治験コーディネーターとの関係は?
これは依頼者側だけの問題ではなく、医療現場にはリスクの少なさ、すなわち治験データの質の確保が今後求められるようになります。SMOの場合は、医療機関との契約のもと治験コーディネーターを医療機関へ訪問させるのですが、コーディネーター費用は依頼者である製薬会社側から出ます。そのため治験依頼者がSMOを選ぶのが実情です。
治験依頼者からするとリスクの少ない(=質のよい治験コーディネーターがたくさんいる)SMOを選べば、モニターに対するコストも少なく済むため開発費を抑える事ができます。以上のことから、治験コーディネーターにも関係があるのです。
- リスクベースドモニタリングの導入により、質の良い治験コーディネーターを擁するSMOが選ばれるようになる。
スキルアップがますます重要に
治験コーディネーターは今後も治験の中で中心的な存在として活躍していける職種です。質のよい治験コーディネーターはますます需要が高まります。
SMOだけでなく病院の治験コーディネーターについても同様で、リーダーとして治験全体を引っ張っていく人材が求められています。自分のスキルアップ、新しい知識習得に時間を惜しまない治験コーディネーターは将来性が大いにあります。
本記事は2015/04/17の情報で、内容は治験コーディネーター(CRC)としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。