議員秘書には、自分の意志で退職する場合と、いやでも退職せざるを得ない場合があります。それぞれの退職のケースを説明します。
自分の意志で退職する場合
普通の会社員と同じく個人個人で理由は違いますが、要するに自己都合退職です。
- 企業に就職する
理由について多く見られるのは、まず、「どこかの企業に就職する」というものです。これは主に私設秘書に多く見られる退職理由です。私設秘書は給与面等の待遇も決して良くはないため、安定を求めて企業への就職を志向する人も少なくありません。特に若いうちに2、3年でも議員秘書として社会経験を積めば、その経験を企業の採用試験等の際のPRポイントとして使うこともできます。
- 自身が選挙に立候補する
次の理由は、「自分も何かの選挙に立候補する 」というものです。これは公設秘書が退職する場合に多く見られる理由です。議員秘書として政治を学び、自分もいつか政治家になりたいと考える人はかなりの数います。特に公設秘書であった場合には、倹約すれば数年で地方議会の選挙に立候補するくらいの資金を貯めることは可能です。もちろん選挙に落選すれば無収入になるためリスクはありますが、皆それについては覚悟の上で決断をしています。
- 独立して事業を始める
あともう1つは、「独立して自分で事業を始める」というものです。これは私設秘書、公設秘書問わず見受けられる理由です。事業と言っても業種はバラバラで、花屋を始める人もいれば、選挙対策のコンサルティングを始める人もいます。ただ、業種は違っていても彼らが成功するために共通しているのは、議員秘書時代に築いた人間関係をしっかり活かすということです。
これらの理由の他にも、実家の家業を継ぐ、留学する等色々とありますが、いずれの場合も重要なのは、秘書の間に様々な人に会い、自分を磨きながら、将来への足がかりを掴むということなのです。
- 私設秘書ならば一般企業への就職、公設秘書なら自身が選挙に立候補するため退職するケースが多い。自分で事業を興す人もいる。
退職せざるを得ない場合
これは議員秘書特有の退職理由です。どういう場合かというと、議員が失職した場合です。議員の失職には、選挙で落選した場合と、自ら議員辞職をした場合、議員が亡くなった場合が考えられます。これは退職理由と言うにはふさわしくないかもしれませんが、議員秘書という仕事ではある意味避けては通れない部分です。
特に公設秘書は、議員が失職した場合、それに伴い失職します。私設秘書も、その多くは失職を余儀なくされます。この場合の退職は秘書本人に責任はありませんが、議員の活動を支えるために頑張ってきた秘書にとっては、何よりも辛いものであることは明らかです。それに、よほどの資産家でもない限り、落選してから次の選挙まで同じ数の秘書を抱えることはできません。ずっとその議員に仕えたい秘書も、 退職せざるを得なくなることがほとんどです。
ちなみに、国会議員は、任期満了か衆議院においては解散となった場合、その時点で一度失職となります。ですから、厳密に言えば同じ時点で公設秘書も一度失職します。ただし、議員が選挙で当選した場合、公設秘書には日割りの給与が失職直後に遡って支給されるというシステムになっています。
- 議員が選挙で落選、自ら辞職、あるいは亡くなった場合、それに伴って議員秘書も職を失う。
本記事は2015/10/08の情報で、内容は議員秘書としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。