テレビ局にはどんな仕事がある?
- 24時間365日出動態勢「報道」
テレビ局の花形と言われる報道。朝・昼・夕方・深夜と一日複数回のニュース番組を作っている部署です。現場に出て取材してくるのが記者で、地方局で10人程度、準キー局で20~30人、キー局ではそれ以上の数の記者が日々、現場に出てネタを取材してきます。社内ではなく、毎日、社外が“仕事場”ということになりますので、全員、スーツを着て仕事をしています。それを社内でまとめているのがデスクと言われる、記者上がりの中堅です。放送時間までに上がってきた記事をチェックして、オンエアに乗せます。
土日もニュースがありますので、報道は月~金の勤務が基本ではありません。記者もデスクも、一人一人、週休2日でシフトが組まれていることが多いですが、報道が“24時間365日”と言われるのは、事件事故さらには地震や台風などの災害時は、勤務時間や勤務日に関係なく、呼び出しがあるからです。災害時には、避難するのではなく、現場に向かうのが報道です。また、当直勤務も当番で組まれていて、報道フロアー内には、常に、誰かがいる体制になっています。ニュースに休みはないのです。
- いかに楽しい番組作りを追求するか「制作」
こちらも目指す人が多い、ドラマやバラエティ番組を作る制作。ドラマ、グルメもの、旅もの、クイズなど、ジャンルに応じてエンターテイメントを追求した番組作りをします。ドラマはもちろんですが、クイズ番組一つとっても、どんどん新しい形を取り入れたものが始まっていて、他局との視聴率争いが激しい部署でもあります。ドラマでは、芸能人を使うのは当たり前ですが、情報番組などでも、スタジオにコメンテーターを呼んだり、グルメ番組では、レストランの取材にタレントに出演してもらったりと、何かと、芸能人と共に仕事をする部署です。
社員の場合は、こうした番組の統括指揮を執るプロデューサーという立場か、もしくは、現場指揮を執るディレクターというポジションにつきます。入社してまもないころは、AD(アシスタントディレクター)として、雑務をこなすこともありますが、早いうちに、全体を見るポジションに移ります。
制作では、テレビ局の社員といっしょに仕事をすることは少なく、下請けの制作会社から来てもらう人たちと共に仕事をすることがほとんどです。一つの番組で、プロデューサーだけが社員で残りの人たちはすべて制作会社の人ということは珍しくありません。服装はラフな感じでOKで、いわゆるセーターの“肩掛けスタイル”は制作現場から始まったといえるでしょう。
また、報道と違って予定を立てて動くので、毎日の時間の流れは読めますが、早朝の情報番組では午前4時に毎日出勤ということが番組が終わるまで続いたりと勤務的につらい日々が続くこともあります。
- やはりプロ野球が中心?「スポーツ」
野球中継のシーズンになると大忙しになるのがスポーツ。スポーツでは、夜や土日のスポーツ番組と、シーズン中の野球やサッカーの中継、相撲の地方場所の取材、全日本レベルの大会の取材といった、スポーツにまつわるすべてのことを担当します。
「決まった対象を取材する」のがスポーツの特徴です。例えば、野球中継。名古屋のテレビ局であれば、中日ドラゴンズしか取材しませんので、中日ドラゴンズの監督と選手、コーチと密な関係を築き上げます。サッカーであれば、名古屋グランパス。もちろん相手チームに関しても、番組内で多少触れることはありますが、中日ドラゴンズが、今日、いかに活躍したか、いかにダメだったか、グランパスはどうだったか、そこに尽きるわけです。スポーツ担当の女子アナが野球選手と結婚する率が高いのは、このようなスポーツの仕事スタイルにあるのかもしれません。
スポーツは、野球のシーズンが終わると、春のキャンプまで少しほっとできる時間が持てます。メリハリをつけて仕事ができるのがスポーツのよいところです。
- テレビ局の要「編成」
ここからは、非現場部門をご紹介します。“編成部”は一般的な企業では聞かない言葉ですが、ここはテレビ局の要です。月曜日の夜9時はこのドラマ、火曜日の夜8時からはこのグルメ番組、ニュースの時間を10分前倒しして始めてみよう、といったように、いわゆる新聞のテレビ欄を決めているのが編成部と考えてもらうとわかりやすいかもしれません。
テレビ業界では、10月が年に一番の大きな“改編”の時期で、これは10月に番組を大幅に変えるということです。同じ時間帯にやっている他局の番組を「ウラ番組」と呼びますが、ウラ番組に強力なコンテンツ力を持った番組が登場すると、一気に視聴率を取られてしまいます。他局は何を考えているのか?どこにも負けない強力なコンテンツ番組は何か?この番組が視聴率が取れる時間帯は何か?を日々考えるのが編成です。
夕方のニュース番組が16:50~スタートとか、夜のニュース番組が21:54~スタートとか、これも今では普通ですが、始まった当初は他局より少しでも早くスタートしてうちにチャンネルを合わせて!という編成部の社員が考えたスタイルです。
- 会社の収入のすべてはここから「営業」
テレビ局の営業部の仕事は、CMを出してくれているスポンサー企業とのやりとりと、新たなスポンサーの開拓です。実際には、スポンサーとテレビ局の間には広告代理店が挟まっていますので、正確には広告代理店とスポンサー企業、両方とのやりとりになります。
最近では、テレビ局も不動産や土地活用、ネット通販などで様々な収入を得るようになりましたが、それでもなおCMはテレビ局の収入の大半を担っているといえます。したがってスポンサーが降りるという事態や減額といった事態は、テレビ局にとって致命的になります。
また、すべてのスポンサーが視聴率を気にします。「視聴率のよい番組の提供スポンサーになりたい」「視聴率のよいテレビ局に、より多くのCMを出したい」といったことです。したがって、営業部の仕事は、視聴率の低下とともに厳しさを増すといえるでしょう。景気がいいときは、それほど厳しい仕事ではないのですが、最近では2008年のリーマンショック以降は、しばらく営業部にとって暗黒な時代が続きました。そして、他の一般企業と同じように、飲食店での接待やゴルフ接待などもあります。
- 他の会社と同様に 総務・人事・経理・広報
テレビ局といっても、組織としては、“会社”ですので、どこの企業にもあるように、総務・人事・経理・広報が存在します。仕事内容は同じです。採用の時点では社員であればどの部署に行くかはわかりませんし、人事異動で動くことももちろんあります。報道記者だった社員が人事部に行くこともあれば、総務にいた人が制作にいくこともあります。