ホテル業界の利益率はどうなのか
今回のテーマはホテル業界のボーナスについてなのですが、これを語るにはまずこの業界の利益率について見ていく必要があります。要するに、儲かっているかどうかという点です。儲かっていなければ良いボーナスは期待できないからです。
これについては、売上高に対する純利益を見ていくことから始めたらよいのではないでしょうか。そのために、まずホテル御三家と言われる帝国ホテル、ホテルオークラ、ニューオータニの最近の数字を挙げてみることにします。(数値は2013年3月期のものを利用)
<帝国ホテル> 売上高⇒516億円、純利益⇒22億円。
<ホテルオークラ> 同⇒617億円、同⇒24億円。
<ニューオータニ> 同⇒612億円、同⇒-53億円。
以上となっていますが、帝国ホテルとホテルオークラがいずれも20億円台で、ニューオータニは赤字計上となっています。これでよくお分かりでしょうが、ホテル御三家と呼ばれる日本を代表するようなホテルでも利益はそれほど大きくないのです。
一般的に日系ホテルは外資系に比べて利益率が低いと言われています。でも多くの人がこれほど低いと思っていなかったのではないでしょうか。ボーナスは純利益の額の応じて支給されるのが普通です。したがって純利益が低ければ支給額が低くなるのは当然のことです。
こう考えると外資系などの例外を除けば、ホテル業界のボーナスはそれほど高くないことが分かります。具体的な数字を挙げると「年間4ヶ月程度」が一般的な支給額と言えるでしょう。
ホテル業界の年収はどうなのか
それでは、ボーナスを含めた年収の方はどうなのでしょうか。ご存知のように、このところ外資系ホテルの進出ラッシュで、既存ホテルと相まって激しい顧客獲得競争が繰り広げられています。競争が激化すれば、勝ち抜いていくためには何としても売上を上げなければいけません。
そのために必要なのは優秀な人材集めることです。したがって、新しく進出してきた外資系ホテルなどではヘッドハンティングやスカウトなどで既存ホテルのスキルの高い経験者に勧誘の手を伸ばしています。ということは当然のごとく従来より高い報酬を呈示するでしょうから、全体としてはホテル業界の年収を引き上げることになるはずです。
しかしながら、ヘッドハンティングやスカウトの対象になるのはごく一部の経験者だけで、全体から見るとその比率は微々たるものです。したがって全体の年収を引き上げるところまではいかないのが現状なのです。
こうした事情からも、ホテル業界の年収は他業界と同じようにここ10年間は大きく伸びておらず、大手だけ見ても平均年収ははずっと500万円前後で推移しています。これは、平均勤続年数が15年程度であることを考えても決して高い金額であるとは言えません。
高い年収やボーナスを望むのなら日系ホテルより外資系ホテルがおすすめ
一般的に日本の企業は、欧米などの外国の企業に比べて利益率が低いと言われています。ホテルも例外ではなく、日系ホテルと外資系ホテルでは利益率に大きな開きがあるのが一般的です。つまり、外資系ホテルのほうが圧倒的に利益率が高いのです。
理由は色々とありますが、最も大きいのは外資系ホテルは経営に直結する部門に特に優秀な人材を配置するからです。経営に直結する部門とはマーケティングやセールスなどです。この部門には例えヘッドハンティングやスカウトをしてでも、優秀な人材を集めようとします。この部門のスタッフは明けても暮れても、いつも営業成績を上げることに全力を傾けます。これが外資系ホテルの利益率が高くする大きな要因なのです。
利益率が良いと当然社員に対する報酬も高くなります。ただ何ごとも実力本位であるのが外資系ホテルですから、誰もが高い報酬を期待できるわけではありません。したがって、会社の利益に貢献していない人は、例え高い利益が上がったとしても高い報酬が支払われる対象にはなりません。なので、ホテル業界で高い年収やボーナスを期待するなら、実力を磨いてから外資系ホテルの門を叩くことがメインストリームになります。