アパレルメーカー人事部から木材メーカーの法務担当へ(42歳 女性 千葉県在住)
男性(40代)
有力ブランドをいくつか持つ婦人服アパレルメーカーで約20年仕事をしました。入社時は希望通り、最初は営業で取引先の百貨店や専門店を担当していましたが、10年後になんと人事部に異動になりました。人事部の中での私のセクションは、販売店や専門店に派遣する販売員の採用、雇用に関する管理でした。雇用主と仕事先が異なるといろいろ難しい問題が出てきますが、その辺のマネジメントが私の仕事でした。最初は先輩から逐次教えてもらっていましたが追いつかず自分なりに勉強していました。
その時出会ったのが、社会保険労務士資格でした。社員の雇用、社会保険関係、労務管理に関する国家資格ということで、先輩にも相談し受けてみることにしました。働きながらの試験勉強なので2年近くかかりましたが、一回のチャレンジで取得することができました。
労務管理や社会保険の知識は増えましたが、いざ毎日の仕事となると販売員管理の定型的な事務仕事と、派遣先販売店の対応問題など、資格以前の仕事がほとんどで取得前と何ら変わらないというのが実態でした。大きな会社なので、それらを扱う部門は別途あり、せっかく取った資格も生かせず、もともと営業を希望して入ったことも次第に遠ざかっていく中で閉塞感がたまり、やりがいのある仕事がしたいと思ったのが転職のきっかけです。
実は、転職先はアパレルとはまったく関係のない木材メーカーです。求人職種は法務全般とありました。直営3工場で合わせて100人近いパートスタッフが働いており、組織化ができていないためトラブルが多発していました。前職の販売員を管理していた経験と社労士資格を活かして法的な解決も視野入れた仕事を任されています。また、総務系の契約書も任されました。これも前職での販売店や使っていた派遣会社との契約経験、そして何より社会保険労務士資格をとる際に勉強した関連法規などの知識が役に立ち、今では会社から重宝される存在となりました。
IT企業でSE兼営業を経験し商社の法務へ(48歳 男性 京都府在住)
女性(40代)
大学を出てIT系企業にSE兼営業で入社しました。入社後は、主力ソフトの営業管理ソフトや人事評価管理ソフトの開発と提案をしていました。これらソフトの紹介時に企業にヒヤリングをかけるのですが、様々な会社の営業管理、人事管理の特徴が見えてきます。もちろん、これらは守秘義務事項ですが、私の頭の中には、各企業マネジメントの強み弱みが今でもはっきりと残っており、管理ソフトの導入だけでは解決できない問題があることに気付きました。たとえば決済システムが怪しいとか、コンプライアンス意識がなく危なっかしくて、この会社大丈夫?って思ったこともありました。
実は、転職後、この時の経験が大きな財産となっていたとは、その時はまったく気づきませんでした。しばらくその会社でSE兼営業をしていましたが、自社のメインの管理ソフトをはるかにしのぐライバルソフトが現れ、たちまち赤字転落となりました。社員の士気も上がらず、私もまだ40代なので、転職するなら今しかないと思い、在職しながら転職先探しを毎日していました。
そこで目についたのが某商社の法務です。仕事は「取引先との契約書の締結。将来は危機管理システムの構築。経験者優遇」とありました。前職では業務上、契約書の交換は日常茶飯事だったのと、なにより「危機管理」と「システム」の文字にハッとして、ダメ元で受けてみようと思いました。
面接では、当時の仕事内容を聞かれ、20年近く管理ソフトの提案営業をする一方で、企業の様々な問題や課題を見てきた話をPRすると、乗り気になって話を聞いてくれました。結局、今は法務部門の中で日々の契約書締結をこなす一方で、前の経験を生かして煩雑な管理システムを簡素化する方法を模索したり、危機管理プロジェクトの一員に指名してもらって、様々な会社システムを洗いなおす仕事をしております。
本記事は2015/08/21の情報で、内容は法務としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。