企業の危機管理システムの整備度合いで変わる仕事
基本的に法務は激務です。特に企業防衛の最前線に立ち、訴訟事案を持ったり、訴訟まで行かなくても、いかにして訴訟を回避するかに奔走しなければならない状態ともなれば、昼夜を問わず激務となるのは法務担当の宿命です。
しかし一方で、訴訟的案件や不祥事がらみの事案などがしょっちゅうあるというのは異常事態です。優れた危機管理体制が構築され、内部統制が行き届いていれば、法務の出番は自ずと少なくなります。要領よく準備された株主総会や取締役会の運営、定番的な契約書の締結、マニュアル化された許認可申請といった定型業務は激務とは言えません。
つまり、激務でない法務の求人は、会社のさまざまな危機管理システムがすでに整備され、また細分化された専門ジャンル毎に潤沢な法務スタッフを抱えていれば、結果的にそこで働く人は激務にはなりません。企業による、と言う言い方もできます。
- 危機管理システムが整備された会社によっては激務でない場合も。
法務担当自身が仕事
法務が激務となるのは、個人レベルでは要領の悪い仕事の仕方をいつまでもやっている時です。期限が迫ったり、締め切りに追われるとどうしても余裕がなくなり、ひとりで忙しくなります。
また、会社レベルで言うと、危機管理システムやコンプライアンス風土の欠除した会社では、法務的な問題が多発し後手後手に回った結果、法務担当だけが走りまわっている状態となります。求人内容から会社の体質まで探るのは難しいですが、面接時に伺い知れることもあります。
いずれの場合も、法務担当が先頭に立って改善していけば、結果的に自分の仕事が楽になるという会社と思えば、思い切って求人に応じるのも方法です。
- 法務担当が先頭に立って改善していけば、結果的に自分の仕事が楽になる。
顧問弁護士など有資格者と顧問契約の多い会社は比較的楽
自分の仕事をいかにして楽にするか、これは怠けるイメージではなく、省力化の発想なのです。アウトソーシングという言葉をよく耳にしますが、法務の仕事をアウトソーシング的にやっている会社の求人は、決して激務ではありません。つまりこれは、法務問題の一番コアで難しいものは、外部の有資格者と顧問契約を結び解決にあたることです。
たとえば、契約文書をオリジナルで作ろうとするとこれは大変な労力ですが、ひな形を顧問弁護士に依頼して作成し、これを土台にして、取引の内容に応じて加筆修正すれば労力は半分で済みます。また、難しいライセンス取得の条件整備があったとして、そのコア業務のみ行政書士に依頼してクリアしてもらえばスムーズに行きます。
こういった顧問契約が多い会社の求人は、法務担当はコーディネーター的な動きができるので激務とはなりません。
- 顧問契約が多い会社は、コーディネーター的な動きができるので激務にならない場合も。
本記事は2015/11/12の情報で、内容は法務としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。