商社法務担当の契約書の仕事
商社の法務担当の需要が高いのは、その商社商売の特性にあります。まず、商社の取引には多くの仕入先と販売先があり、扱う商品も多種多彩です。しかも、長期契約からスポット的な短期契約などがデイリー業務として発生するという特徴があります。これらの売買契約から買取契約、秘密保持契約はいわば取引の数だけ契約書が発生すると言っても過言ではありません。
商品、取引方法が変わるため定型的な雛形では対応しきれないことに加えて、特徴的なことは、仕入先にしろ販売先にしろ優位性があるかないかで契約書内容が左右されるところです。たとえば、商品の引き渡しに関して、自社が取引先より優位であれば取引先のトラックで自社まで取りに来させる契約になりますし、そうでない場合は、取引先まで商品を自社トラックで運ぶというように、持って来てくれるのか、取りに行かなければならないかで契約内容は変わって来ます。
- 商社の法務担当の需要が高いのは、その商社商売の特性にある。
商社で法務担当の需要が高くなるワケ
このように商社商売の取引内容、形態が煩雑なゆえに、それをチェックする法務担当の需要は必然的に高まります。また、総合商社ともなれば扱い商品が食料品から鉄鋼材まであるとして、そこに発生するリスク回避の契約上のポイントは自ずと異なります。食料品だけとってみても、生鮮モノと瓶缶詰モノでは商売のオペレーションは違います。
これは、言い換えると商品アイテムの数だけ専門分野があることを意味します。実際の契約書は最大公約数的にパターン化しているとはいえ、他業種に比較すると圧倒的に法務的チェックの需要が高いということです。食品メーカーの法務実務経験が、商社の食料品事業部の法務担当で重用される可能性をいうものです。
- 商品アイテムの数だけ専門分野があり、他業種に比較すると圧倒的に法務的チェックの需要が高くなる。
商社の速効商売を成立させるため法務の役割は大きい
商社商売の基本は、売り買いのタイミングをはずさず、もっとも売れる時期に安く仕入れて販売することです。それは、速攻で新規商売や新規商品の取り扱うことが頻繁にあるというです。これらの取引は、一方でリスクを抱えた取引でもあります。
商品の品質問題、取引先の財務内容など基本調査は担当する営業の責任者がするとしても、基本調査の内容が間違っていないかといったことは、最後の砦として、必ず法務担当がリスクヘッジの効かせた契約書締結を結ぶことが必要です。このように、速効性の裏返しとしてのリスク回避を商社法務には求められます。
- 速効性の裏返しとしてのリスク回避を商社法務には求められる。
本記事は2015/10/22の情報で、内容は法務としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。