4つの具体的な魅力とやりがい
法務の魅力とやりがいのひとつは、なんといっても問題解決にあります。そして、問題を発生させない体質作りです。
- 契約書に仕掛ける自社利益
企業活動はある意味、常にリスクを持っています。モノを作れば製品上の瑕疵による被害、個人情報あるいは会社情報の漏えいなど、管理ミスによる不祥事などあげればキリがありません。これらの発生を未然に防ぐ、また発生したとしても最低限の損害に抑えるなど、ここに果たす法務担当の役割は大変大きいものがあります。
契約書が存在するのは、まさに問題解決のための指針書です。起こる可能性のある問題に対して、契約する両者が責任の所在をあらかじめ明確にしたものです。ここに果たす法務担当の役割は、極端に言えばいかにして自社に有利な契約を結ぶかにつきます。長年の取引の中で、慣例的に自社の責任負担が大きくなっていたりすれば、関連部署に改訂を持ちかけ負担を軽くするよう交渉させます。営業交渉のように、結果が即数字に表れるものではありませんが、改訂の結果如何では会社に多大な利益をもたらします。
- 会社の体質改善
日々の法務実務は確かに地味ですが、昨今注目のコンプライアンス対応、ひいては危機管理の仕組みまで手をつけると非常にやりがいのある仕事になります。大企業ではすでに進んでいるこれらの仕組みづくりの経験があるなら、それをコンプライアンス発展途上の中堅・中小企業に持ち込むと喜ばれます。
この仕事は、単に仕組みづくりだけで終わるのではなく、社員一人ひとりにコンプライアンス意識を持たせることで、会社へのロイヤリティーや一体感などを醸成し、ひいては会社の体質改善に役立ちます。
- 訴訟に勝つ、もしくは訴訟を回避する手腕
訴訟にやりがいがあるというと好戦的に取られますが、一旦発生してしまった問題の解決は避けて通れないという意味で、訴訟対応は会社あげての総力戦であり、やりがいがあります。もちろんこの解決に長い期間をかけて続けるのではなく、できるだけ無傷でしかも短期間で和解するという方法も含めてです。
訴訟内容にもよりますが、いわれもない訴えから当方の管理上のミスというハンデを持ったものまでこれを腕の見せ所と思えば楽しいものです。また、逆にトラブルから問題が大きくなり訴訟まで発展しそうになった問題を法務担当の手腕で訴訟を回避すれば、これもやりがいで結果的に無駄な訴訟コストから解放したことになります。
- 許認可、ライセンス取得で会社のバリューをあげる
許認可、ライセンスには商売をする上で必須のものがありこの取得や更新は多くは法務の仕事です。これは避けて通れないので、粛々とすすめますが一方で積極的に打って出る法務担当のやりがいのある仕事もあります。主要事業の広がりや堅実性、安定性、ひいては将来の新規事業への布石として関連許認可やライセンスを取得して、企業バリューをあげる方法です。
たとえば、建設資材商社が建設業認可を取得したり、産業廃棄物免許を持っているなどです。建設資材商社は建設業認可を取る必要はありません。また、商売上から産業廃棄物が出ることもありませんが、いずれも現ビジネスの延長線上では新たな事業展開をする可能性として、自他ともに企業バリューの向上に繋がります。ISO資格などは典型的ですが、会社の信用度と認知度に貢献します。
- 法務の最大の魅力とやりがいは、問題解決と問題を発生させない体質作り。
本記事は2015/08/21の情報で、内容は法務としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。