戦略的ポストとしての法務担当職
法務という仕事は、今でこそ法務部といった独立部門になっている会社が増えて来ていますが、一番多いのは総務部や人事総務部の中での総務担当職や、総務企画職といった名称がよくある職務名です。また、企業ではどの部門、どのセクションの配下に位置づけるかで少しづつ仕事内容が変わってきます。
昨今のコンプライアンスや危機管理、またそれを統制する内部統制の仕事となると、企業内の位置付けはかなり上がります。経営企画室とか管理本部といった部門名称の中で位置付けられると、コーポレートスタッフとして大変重みのある仕事になります。内部統制のニュアンスが強くなると、法務担当というより経営企画担当職が相応しくなります。
- どの部門、どのセクションの配下に位置づけるかで少しづつ仕事内容が変わってくる。
中堅・中小企業では他職種と混在してくる傾向
反対に、より現場に近づいていくと、総務担当職となります。大企業ではそのまま、法務部法務担当職が一般的ですが、中小企業となると法務担当の仕事だけでなく、頻度と優先順位から総務担当職という肩書で法務関連の仕事も担当するということがあります。これは、中堅・中小企業の場合、なかなか内部で適任者を育てられずに、弁護士や司法書士などと顧問契約をしているので総務担当職がその窓口を受け持つ結果です。
仕事内容は実務が中心になり、契約書の締結、更新メンテナンスから取締役会運営、許認可、ライセンス対応などを行います。本来、ISO担当は法務とは異なりますが、ライセンスと言う括りで同時に担当する場合もあります。
- 中小企業の場合、総務担当職という肩書で法務関連の仕事も担当するということがある。
人事部と総務部の垣根を越えた人事総務部での法務
人事総務担当職などが法務を担当する場合もあります。これは、人事部と総務部を統合して管理する部門である人事総務部の中で法務関連の仕事を担当します。人事労務に関する法務案件は比較的多く発生します。
企業活動の中で、コンプライアンスとか危機管理とかが叫ばれる中で、行きつくところはすべて会社を構成している社員に行きつきます。不祥事しかり、管理不足しかり社員の処遇が関連します。このため、人事権をもつ人事部内の担当者が法務関連を担当すると、社内規律の強化や再発防止に向けた体制作りも合わせてできるというメリットがあります。
コンプライアンスを会社全体に啓蒙し、発信していくのは法務担当の主たる仕事となりますが、発信啓蒙の方法が社員一人ひとりの意識改革的なアプローチとなると人事部発信、会社の組織や仕組みを通じてチェック体制を強化していくアプローチとなると経営企画部発信となります。その時、法務担当がどの部門にいるかというより、組織全体を見回して担当部門(担当職種)を決めることもあります。
- 人事総務部の中で、法務関連の仕事を担当することもある。
本記事は2015/08/21の情報で、内容は法務としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。