法務的な考え方とセンスがあればクリアできる悩み
法務の転職の悩みはいくつかあります。転職する前、転職してから、そして将来のことを考えると本当にこれで良かったのかと、その都度いろいろ出てきます。
転職前の最大の悩みは、これまでの法務の経験が果たして転職志望先の会社で通用するかです。結論から言えば、実務知識は業界、企業規模が変われば当初は通用しないというのが答えですが、法務的な考え方、センスをしっかり持っていれば短期間で十分クリアできます。
仮に、食品メーカーと工業原料商社があったとして、扱い品目的も業種もまったく異なりますが、商品を売り買いするときの売買契約書のポイントは自ずと一緒になります。買った商品に瑕疵があったときのリスクヘッジや代金の支払い方法で押さえるべき点は原則変わりません。
ここでの法務的な考え方やセンスという意味は、いかに自社に有利な契約内容にするか、自社のリスクヘッジを極力回避する文章を作るかです。食品の製造知識を覚えたように、ゴム原料の流通を最初は勉強しなければなりませんが、これは多かれ少なかれ会社を変わると発生する想定内のことです。もし、この種類の悩みなら無用な心配です。
- 転職前の最大の悩みは、これまでの法務経験が転職志望先の会社で通用するかどうか。
関連部署への影響力に不安?
法務の転職直後の悩みは、社内でのネットワークと関連部署への影響力がないことです。法務は企業経営に影響力を持つポジションなので、案件を処理するのに自分一人で片付けることはまずありません。関連部署との調整や幹部への説明など、案件を通すためのプロセスがありますが、最初はこのネットワークと影響力はゼロに等しい状態です。
これは当然仕方のないことですが、上手くこなす方法もあります。それは、法務は経営幹部に近いポジションなので、上司や経営のトップ層とコミュニケーションをよくとり、上手に彼らを使うことです。自分自身の価値判断に加えて、彼らの言質や影響力を使って関連部署と折衝すれば大丈夫です。また、法務には最初に、それ相当の権限を与えてもらっておくことです。
- 上司や経営のトップ層とコミュニケーションをよくとり、上手に彼らを使おう。
勉強熱心なら解決できる法務知識
法務として転職したけれど、将来性はどうなのかという悩みを持つ人もいます。将来性と言う点では、経験を積めば積むほど知識の深まる職務なので、安心して勤めることができます。専門性が深まるとより重宝されるようになり、代替が効かなくなるのも事実です。資格を持たずに転職したとすれば、その会社に最も適した資格や、専門性をさらに深める資格に挑戦し在職しながら取得するという方法があります。
たとえば人事労務関係のニーズが高いとなれば、社会保険労務士資格に挑戦するとか、許認可関連が多いのなら行政書士資格を取るという方法があります。それまで顧問契約をしていたならば、その資格を法務担当が持つということになれば、会社はかなり経費的に助かります。資格に対して手当支給があるならなおさらですが、法務は入ってからも勉強です。
- 将来性と言う点では、経験を積めば積むほど知識の深まる職務なので、安心して勤めることができる。
本記事は2015/08/21の情報で、内容は法務としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。