中小・中堅企業では法務担当がまだまだ未整備
法務は、大企業ではなくてはならないポストです。何故なら昨今、コンプライアンスや危機管理などしっかり足場固めをしておかないと、ちょっとした管理ミスから企業不祥事に発展してしまう危険性をはらんでいるからです。特に大企業が起こした不祥事は、マスコミが大きく取り上げることが多く、大企業では必須のポストとなっています。
逆に言えば、ここが空きポストであったり適材人材を欠いている現状だと、それ自体が危機管理ができていないことであり、ポスト的には充足しています。逆に中小・中堅企業ではニーズ的には大企業と同様なので、しっかり固めておきたいポストなのですが、現実には総務担当者が兼務していることが多く、専門性の高い法務的問題となると対応できていません。
中小・中堅企業ではそれを埋めるために、弁護士、社労士、司法書士、行政書士といった、それぞれの専門分野に対応できる資格保持者を顧問として契約していますが、自社のビジネススキームに合った解釈や運営を行うには、法務担当の果たす役割は大きいものがあります。法務担当はこれらの資格保持者から専門的知識を引き出し、またはアドバイスを受けながら調整、対応するのですが、全体として未配置なのが現実です。
- 中小・中堅企業では総務担当者が法務を兼務していることが多く、専門性の高い法務的問題となると対応できていない現状。
取引先契約が戦略的に多くなる商社
一方、業種業態的には商社のニーズが高くなります。これは、商社特有の商売の広がりがあるからです。まず、商社は仕入先と販売先と両方の取引先を持ちます。また、商社の特徴として商売上安定した仕入先、販売先に頼りきりにならず、扱い量拡大のために仕入先や販路を常に模索、開拓する傾向にあります。
また、営業特性として、スポット的、短期的な場合が多いのですが、相手の信用性に対して一定のリスクヘッジをかけるため個別契約を結ぶニーズが恒常的に発生します。契約書的には、売買契約、秘密保持契約が代表的な契約です。
- 商社特有の商売の広がりがあるため、業種業態的には商社もニーズが高い。
起業後間もない新興企業や、新規事業拡大に熱心な企業
起業後間のない企業で、なおかつ業容を拡大してきている会社は法務対策がどうしても後手になっています。起業時点は、営業やシステム系人材がありきなので、総務系、特に法務に至っては起業時点では無いに等しいポストです。しかし、数年後、事業が拡大傾向になると様々な法的な問題が生じてくるのも事実です。営業拡大に後方の管理が追いつかないというのが現実です。
一方、本業が安定し出すと経営者は余剰資金を新規事業に回し始めます。この新規事業、つまり新しい分野への進出は様々な許認可を必要とする場合があります。計画は立ててもライセンスが取れなかったり、認可を満たす条件が揃っていないと何もなりません。また当然営業系の新規契約が増えてくるし、新しい土地・建物など総務系の契約も増えてきます。ここが法務担当の出番となりますが、新興企業同様、つい後手に回ることの多いポストですがニーズは確実に高くなります。
- 新規事業への進出は様々な許認可を必要とする場合があるので、確実にニーズは高くなる。
本記事は2015/08/20の情報で、内容は法務としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。