主な営業方法とは?
行政書士を開業して最も頭を悩ますのは「顧客の獲得」です。ともかく顧客を見つけないことには仕事がない、仕事がないことには報酬が入ってこないのですから、「顧客獲得」が命です。開業当初の顧客・仕事の見つけ方について、ご説明します。
成功している行政書士は、実に様々なツールを使って営業しています(顧客獲得をあえて「営業」と呼びます)。例えば、ホームページを開設して、自分の得意とする分野を紹介している人や、事務所紹介のチラシを作成し、新聞に折り込んで宣伝している人等です。他にも、定期的に開催されている「異業種交流会」に参加して、今から会社の設立を考えている人や他士業(税理士、司法書士等)の人脈を作り、その人脈を生かして顧客の獲得を目指している人もいます。
営業方法としては大きく分けて、ホームページ、チラシ等の営業用ツールを使うパターンと、人脈を作っていくパターンに分けられます。どちらが正解とかふさわしいとかではなく、自分の専門分野や特性に合った方法で顧客を獲得すれば良いのです。
「今ある人脈を生かす」ことは大切
行政書士の営業方法は様々ですが、ともかくはっきり言えることは、行政書士という仕事は「依頼する人」がいなければ何も始まらないということです。
ホームページを作る、チラシを配る、異業種交流会に参加する、どれも大事な営業方法ですが、開業当初は「今ある人脈を生かす」というやり方はお勧めできます。例えば、毎年年賀状や暑中見舞いのやり取りをしている人に、「開業案内」を出して、自分の専門分野で相談してくれそうな人があれば、紹介をしてもらう方法です。つまり、仕事を依頼しそうな100人にアプローチする方法よりも、顧客を10人紹介してくれそうな10人を見つけるやり方です。
前者は「1+1+1+1…=100」という足し算の考え方ですが、後者は「10×10=100」というかけ算の考え方です。しかも、知り合いが紹介してくれた顧客の仕事について、顧客が満足のいくように完成させれば、その人もさらに新たな顧客を紹介してくれる可能性もあります。
このように、様々な営業ツールを駆使することと併せて、今ある人脈を十分に生かす方法は、新人行政書士にとって最もふさわしい営業方法かもしれません。
報酬規程はどうするか?
新人行政書士にとって頭の痛い問題の一つに、報酬の設定があります。以前の行政書士の報酬は、「書類1枚○円」だったのですが、現在は「自由競争」の観点から報酬の額は個々の行政書士の任意、つまり自由になっています。ただ自由と言っても、どのように設定して良いか、新人行政書士にとっては悩ましい問題です。それでも、報酬額の決め方には2つの方法があります。
1つ目は、日本行政書士会連合会や各都道府県の行政書士会が集計・発表している「報酬額統計調査結果」を参考にする方法です。この統計は、数年ごとに直接行政書士にアンケートを取り、その結果を公表しているもので、実際の行政書士がどの案件でいくらの報酬を得ているのかという嘘偽りない金額ですから、かなり参考になるはずです。ただし、案件によっては、金額の差が大きかったり、サンプル数が少なくて参考にならなかったりします。
2つ目はそれぞれの行政書士のホームページを閲覧する方法です。多くの行政書士が、取り扱う業務の内容とその「報酬額」を掲示しています。何人かのホームページを見れば、「この案件の報酬の相場はこれくらいだな」というのが分かります。
これら2つの方法を使って、自分の「報酬額一覧」を作成するのですが、新人行政書士はあくまでも一つの目安にして、知り合いの紹介であればある程度の値引きをする等の気配りも大事です。
本記事は2017/03/24の情報で、内容は行政書士としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。