利用客の減少は避けられない
鉄道会社は電車を走らせ、乗客を目的地に送り届ける対価として運賃を支払ってもらい、それを主な収入としています。少子高齢化がより進んでいくこれから先、就学人口や就労人口が減っていくことは鉄道会社にとってはとても深刻な問題です。鉄道収入に頼っていては鉄道会社の経営が成り立たない時代がすぐそこまできています。
電車の運行には一定の人員、コストが必要不可欠で完全オートメーション化は不可能です。これからの少子高齢化社会を鉄道会社が生き抜いていくためには、それなりの企業努力が必要になってきます。
- これからの人口減少社会を考えると利用者が減少する可能性は高く、運賃以外での収入が得られるような多角化経営が必要。
鉄道のメリットを生かした事業
鉄道会社は「駅」という商売をする上で絶対的に有利なものを自社で所有しています。近年は大手鉄道会社を中心に、ターミナル駅を大規模に改装して駅の中をひとつのショッピングモールにするという「エキナカ(駅中)事業」が盛んです。
今まで駅は目的地に向かうための出発点であったり、目的地に行くための通過点でした。その概念を覆し、駅自体を目的地にして集客する事業がエキナカ事業です。絶対的有利な立地条件を上手く使っているのです。直営店舗からの収入以外にもテナント料なども立派な鉄道会社の収入源になっています。
同じく大手鉄道会社ではホテル事業を行っている会社もあります。駅ビルの中にホテルが入っていたり、元々は電車の車庫だったり駅の土地だったところにホテルを建てることによって駅前一等地でホテル事業を展開することができるのです。
不動産業も同様です。鉄道会社が所有している土地は地価の高い場所にあることが多く、そこに分譲住宅を展開したり、マンションを建てたり、鉄道会社というブランドを最大限生かして「鉄道会社が推進する街づくり」を積極的に行っている会社もあります。
- 人が集まる「駅」という有利な資産を活かして様々な事業が今後さらに進んでいくと予想される。
これからの鉄道会社に必要なもの
先述したようにこれからの鉄道会社は決して楽な経営ができる環境にはありません。鉄道会社がそこで求めているのは他業種を経験した転職者です。鉄道の世界しか知らない社員しかいなければなかなか新しいアイデアは浮かびません。他業種を経験した者にしか出せない新しいアイデア、斬新な計画がこれからの鉄道会社を造っていくのです。
運賃収入に頼っていては経営が成り立たなくなるのはどこの鉄道会社も一緒です。それぞれの会社に見合った関連事業を成功させることが会社にとっては重要課題であり、それを担う人材が最も必要とされているのが鉄道会社の実情です。
- 運賃以外の収益の柱を立てるためにはいろんな経験・視点をもった人員が求められている。