FX会社を離職する人の多くはカスタマーサポート担当者です。理由は、お客様との距離が最も近いため、精神的な負担を抱えやすいからです。ここではカスタマーサポート職に限定して、よくある退職理由を挙げます。
顧客対応の大変さ
FX会社は銀行のように窓口でお客様と直接対話するということはなく、基本的には電話かメールの問い合わせに対応します。メールは返信するまでに文章を熟考できますから精神的に余裕があります。
一方、電話口ではそうはいきません。問い合わせをしてくるお客様は年齢層も幅広いですし、人柄も落ち着いた人から攻撃的な性格の人まで様々です。特に取引関係では、架空の資金を用いるデモ取引でプラットフォームの機能や取引に関する処理プロセスに疑問を感じて問い合わせてくるお客様がいますが、これはまだ良い方です。
実際に資金を入金してトレードをしているお客様は非常に興奮している場合が多いです。語気が強かったり、早口でまくし立てられるために、受け手のスタッフが問い合わせ内容を理解できずに会話が成立しない状態で、しばらく問答が続くようなケースが多々見受けられます。また、為替自体の仕組みについての初歩的疑問を投げかけてくるお客様もいます。その疑問は、普段自分が思ってもみなかった着眼点であることが多いため、逆にスタッフ側が問いに首をかしげるような事態に陥ってしまうのです。
また、あえて初心者を装って問い合わせをしてくる人も中にはいます。こういった人は入念に取引先を選定しており、変わった質問に対するカスタマーサポートの応対を聞いて、その会社が信用できるかどうかを判断している場合があります。このようなお客様の評価は、インターネットの掲示板やソーシャルネットワークサービス等に共有される可能性がありますので、より社内がピリピリとしたムードになってしまいます。
- 興奮状態のトレーダーからの問い合わせや、故意に初歩的な質問をしてくる人など、様々なケースに対応しなければならない。
上司からの監視と日々の勉強
- 対応の全てを上司に見られていることも
FX企業のカスタマーサポートは、お客様への対応で好印象を持ってもらうことで集客に繋げるという役割があります。そのため、ノルマはありませんが、常に上層部の監督を受け、いかにうまく返答できているかを監視されることになります。お客様との通話が終わるたびに会話記録を再生し、監督した上司と通話内容を反省する姿もよく見られる光景です。特に転職して間もない頃は毎回のように通話内容の振り返りを行うため、ストレスが溜まってしまう人もいます。
- 業務時間外も勉強が必要
カスタマーサポートではお客様からの問い合わせに正確に答えられるよう、日々勉強が必要になります。例えば空いている時間に取引プラットフォームを起動してデモ取引を自主的に行い、取引システムの特徴や機能を細かく知ることなどが要求されます。デモ取引を行うことでトレーダーとして取引している立場を追体験し、実際にトレードをしているお客様の目線を養うことが必要なのです。
また、為替相場は勿論のこと、法令も日々変わってきますので、コンプライアンス部と密に連絡を取っておくことも重要です。こういった毎日の勉強が余暇の時間をも奪ってしまうことでやる気をなくしてしまう人も多いです。
- 応対記録の監視と毎回の振り返り、業務時間外の勉強などでストレスが溜まってしまう場合も。