ケアマネジャーは力不足が露呈する
ケアマネジャーの仕事には、相談業務、サービス調整業務、申請手続きなどがありますが、いずれの業務も突き詰めると深いものばかりです。
- 高いコミュニケーション能力が必要な「相談業務」
相談業務は「話しやすい人」「うまく悩みを聞きだしてくれる人」「問題点を探し出してくれる人」などコミュニケーション能力の高い人と、そうでない人とでは要介護者や介護者の感じ方が大きく異なります。コミュニケーション能力が高い場合は、要介護者とも介護者とも信頼関係が築きやすいので業務がスムーズに行えますが、そうでない場合は援助しようとしているのに敵対しているような態度をとられてしまうこともあります。
- 事業所との関係が影響する「サービス調整業務」
サービス調整業務も、ベテランともなると様々な事業所と馴染みの関係ができているのでちょっとした無理も聞いてもらうことができますし、トラブルが起きても協力してもらいやすいです。しかし、事業所との関係ができていないケアマネジャーは小さな問題でも振り回されたり、協力してもらえなかったりしてしまいます。
- 知識不足や不備は許されない「申請手続き」
申請手続きですが、要介護者や障がい者、低所得者など一定の条件を満たす場合に申請できる制度がたくさんあります。制度を熟知していて確実に申請を行うケアマネジャーと、全く知らないケアマネジャーでは、対象者が得られるメリットに明らかな差が出てしまいます。申請できる減免などを申請していなかったことが後になって判明した時や、申請手続きに不備があって要介護者や介護者が不利益を被ってしまった場合には、ひどく責められることもあります。
- スキルや知識、経験が不足していると、ケアマネジメント業務に明らかな影響が出る。
1人で担当するという苦労
- すべて1人で抱えなければならない責任
担当ケースは相談からケアプラン作成、給付管理まで1人で行う事業所が多いです。自分が休みの時に対応してもらうために情報の共有はしますが、それでも基本的な業務は1人で責任を持ってやらなければなりません。
一度担当になったら、要介護者や家族が苦情ばかり言う人だったり、非協力的な人だったりしても基本的には投げ出すことはできません。場合によっては1人に通常の3倍も4倍も時間がかかってしまうこともあり、業務が進まないストレスや他の担当ケースに時間が取れない罪悪感に苛まれることもよくあります。
もちろん通常の担当ケースでうまくいかないこともあり、その時もやはり自分の担当ケースがうまくいかなかったことで自分自身を責めてしまう人も多いです。
- 相談相手が少ない職場環境
1つの事業所に勤務しているケアマネジャーの人数は、基本的にあまり多くありません。たとえ大規模であっても、情報の特殊性から何もかもを共有できるものではないですし、それぞれのケアマネジャーが担当ケースを持っているのですべてを相談できる環境ではありません。そのため、大抵は担当ケース一つひとつに1人で向き合うことになります。
介護や看護などは利用者1人に対して複数で対応しますが、ケアマネジャーは1人に対して1人でマネジメントしなければならない点が特徴的です。上司や先輩がいる場合はまだ良いですが、自分以外は新人ケアマネジャーであったり、そもそも事業所に1人しかケアマネジャーがいない場合は相談することもできません。精神的な負担が大きい職種なので、相談相手がいないということは相当大変です。
- 相談相手が少ない環境の中で、1人の利用者のケアマネジメントを1人で担当するため、負担や責任が大きい。
本記事は2016/10/21の情報で、内容はケアマネジャー(介護支援専門員)としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。