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第二新卒の看護師の離職率
第二新卒は学校を卒業して3年までという定義が一般的ですが、看護師でもこの定義は変わりません。入職1~3年目で転職する看護師も多いですし、新卒の1年目で離職してしまう人も少なからずいます。日本看護協会の調査によると、2016年度の新卒看護職員(病院勤務)の離職率は7.6%という結果でした。この数字はこの5年程ほぼ変わっていません。
【病院看護職員の離職率の推移(直近5年間)】
(出典:日本看護協会「2017年 病院看護実態調査」)
また、離職率を「病床規模別」に調べた結果によると、199床以下の小規模の病院で離職率が高い傾向がありました。多いところでは10人に1名が入職1年以内に離職している、ということになります。
【病床規模別の看護職員離職率】
(出典:日本看護協会「2017年 病院看護実態調査」)
看護師の早期離職については以前から問題視されており、各所から様々な研究や論文の発表がなされ、2010年には新人看護師の卒後臨床研修が努力義務化されました。2003年~2006年の新卒看護職員の離職率は9%台であったことから(出典:厚生労働省「新人看護職員研修の現状について」)、10年前と比較すれば数字は改善しているものの、この5年の数字が横ばいであることを見ると、まだ早期離職者は後を絶たず、改善を図るべき問題である、ということが分かります。
当サイトの看護師の悩み相談コンテンツを見ても、第二新卒に該当する1年~3年目で転職したい、辞めたいと考える看護師は非常に多いのが現状です。原因としては、仕事の辛さや人間関係、技術力不足などに悩んで転職を考える人が多いようです。
- 1年目の看護師の転職相談
- 2年目の看護師の転職相談
- 1年~3年目で転職を考える看護師は非常に多い。職場によっては新卒者の10人に1人が離職しているというデータもある。
第二新卒の看護師の求人事情
転職相談コンテンツの回答を見ると、第二新卒では転職は難しいという意見もありますが、実際の求人事情はどうなっているのでしょうか。
看護師の転職・求人サイト「医療WORKER」で、フリーワードに「第二新卒」と入力して検索してみると、数は少ないですが47件の求人がヒットします(公開求人33件、非公開求人14件)。下記のように「第二新卒者も多く教育体制も整っている」と記載された求人もあります。(※いずれも2018年6月11日の調査情報です)
(出典:「医療WORKER」 ※2018年6月11日の調査情報)
また、「マイナビ看護師」で「未経験者歓迎」+「新卒歓迎」の2つを条件設定して検索をしてみると、1,000件以上の求人が該当します。(※2018年6月11日時点の調査情報)第二新卒歓迎と明記はされていませんが、「若手への研修に定評あり」と掲げているところも多く、未経験者や新卒者を積極的に受け入れている職場は、教育体制や新人の受け入れ体制が整っていることが推測できますので、第二新卒でも歓迎されやすいと考えられます。
(出典:「マイナビ看護師」 ※2018年6月11日の調査情報)
- 第二新卒の看護師歓迎の求人も少なからずある。
第二新卒の看護師の転職先
まずはじめに、転職先に関わらず、第二新卒の看護師が転職する時に心がけておくべきことがあります。それは、新卒と同じ気持ちで教育を受けるくらいの謙虚さと学習意欲を持って臨むということです。
第二新卒の悩みとしてよく挙げられるのが、新卒と違って若干の経験があるために、思うような教育が受けられないということがです。教育する側としてもどこまでできて、どこからができないのか、どこから教えればいいのかが分からないというのが現状です。
そこで、第二新卒者としては一から教えてもらいたいという気持ちがとても大切になります。「ここはできるから教えてもらわなくてもいいのに」と思う部分もあるかもしれませんが、そう思ってしまっては教育する側にとっては教えづらくなりますし、印象もあまり良くありません。自分は新卒と大差ないという気持ちで一から勉強するつもりであるということを担当者に理解してもらうことが重要となるのです。
一般的な病院・病棟への転職
「医療WORKER」で、「第二新卒」の求人の内訳を見てみると、公開求人33件のうち、27件が「病院」の求人でした。教育・研修充実を掲げているところも多く、「中途採用には必ずプリセプターが付く」としているところもあります。病院は第二新卒でも比較的安心して転職に臨める職場であるようです。
(出典:「医療WORKER」 ※2018年6月11日の調査情報)
- 新卒者と同様4月入社が理想的
第二新卒者が一般病院で新卒同様に教育をしてもらいたいと思っているならば、新卒者と同様4月から仕事をスタートすることが一番良い時期であると言えます。中途採用で半端な時期に入職するとどうしても新卒者同様の研修というわけにはいきませんし、しっかりした教育プログラムを立てている所ほど、新卒と一緒に入職した方が多くの研修や実習にも参加することが出来ます。
中途入職の場合、すでに新卒者向けの研修が終了している場合にはその研修を受けることができませんし、教育する側もこの人はここまで教えたけれどこの人はどこまで教えたかしら、というように混同してしまう場合があるからです。
「マイナビ看護師」では「4月入職可」という条件で求人を探すこともできますので、新卒者と同様の教育や研修を受けたいという場合は、入職時期も考慮に入れて求人を探してみるのも良いかもしれません。
(出典:「マイナビ看護師」 ※2018年6月11日の調査情報)
- 第二新卒の求人は病院が比較的多い傾向。研修や教育を重視するなら入職時期も考慮した転職が大切になり、4月入職が理想的。
未経験の職種や職場への転職(美容外科・コールセンター・福祉・介護施設など)
第二新卒採用でしっかりした教育を受けたいという場合には、全く違う仕事内容の所に転職するのも一つの手です。例えば美容外科やコールセンターなどはほとんどの人が未経験からのスタートとなりますし、一般的な病院の仕事とは内容が大きく異なるため、仕事を始め一から覚えることばかりなので、しっかりした教育体制を設けている所は第二新卒者でも安心して仕事を始めることができます。実際に美容専門クリニックで第二新卒歓迎と謳っている求人もあります。
(出典:「医療WORKER」 ※2018年6月11日の調査情報)
ほかにも、第二新卒でも転職しやすい職場として介護施設が挙げられます。介護施設では看護技術をあまり必要としない場合が多く、介護の部分が大きいので、新卒、未経験者可としている所も多くあります。「マイナビ看護師」で「未経験者歓迎」+「新卒歓迎」+「施設(老人ホーム・老健など)」の条件で検索すると300件以上の求人が該当します。(※2018年6月11日時点の調査情報)こちらも第二新卒歓迎との明記はありませんが、介護分野は未経験でも門戸が広いことがうかがえます。
(出典:「マイナビ看護師」 ※2018年6月11日の調査情報)
しかし、介護施設は看護の技術的な部分は必要なこと以外は教えてもらえないことが多いので、いずれは大きな病院や急性期で働きたいと考えている人には不向きかもしれません。今後のこともよく考えて転職先を決める必要があります。
- 仕事内容を変えてリスタートするのもあり。介護施設も未経験転職の門戸が広いので転職検討先の1つに。
第二新卒の看護師の転職はさほど珍しいことではなく、人材不足も相まって求人も比較的見つけやすいです。しかし、看護師としての将来設計を考えて転職先を選ぶことが必要になってきます。いくら手に職の看護師と言えども、若いうちに短期間で何度も転職を繰り返す羽目になっては心象が悪いですから、下記のような看護師転職エージェントの力も借りながら慎重に転職活動を進めるのも良い選択肢です。
本記事は2018/06/12の情報で、内容は看護師としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。