経理・会計の醍醐味、管理会計と工業会計
製造業・メーカーの経理では、管理会計や工場会計が大事になってきます。本社で行われる財務・会計業務と同じくらい、実際に製品の製造を行っている工場での原価計算や管理会計は、製造業にとっては生命線です。ただし、簿記会計を専攻した学生でも、管理会計や工業簿記を苦手としている人は多いものです。製造業のなかには、新卒で採用した人材をまず地方の工場に送り、徹底的に工場会計を覚えさせるところもあるといいます。
企業規模がかなり大きい場合には、工場の会計を本社から独立させることもあります。そうなると製造活動にかかわる記録はすべて工場で行うことになり、一定の権限も持つようになります。「一度工業会計を担当すれば、メーカー・製造業では転職には困らない」と言われる事がある程、この分野の人材は不足がちです。将来のことを考えて、若いうちに工業簿記会計を現場で体験するのも、将来のスキルアップに繋がります。
- 製造業においては、財務・会計業務と同様に、製造活動を数字に落とし込む管理会計や工業会計が重要になってくる。この分野のスペシャリストは人材不足気味なので、製造業の転職市場では重宝される。
安定した職場で、専門知識を身につける
管理会計はコンセプトが世界共通であり、また管理会計の人材が常に求められている事もあり、英語力さえあればグローバルに活躍できます。長引いた景気後退の影響もあり、日本の主な製造業はすでに海外に工場を移していますが、優秀な人材は国外で駐在員として、工場長や経理マネージャーとして活躍することになります。
製造業はとくに大企業ならかなりの年収を保証されますし、専門性も高いので、転職先としてはおすすめの職場です。実際に働きながら、専門知識を身につけることができる点、またある程度給料や職場環境が安定している点が長所になります。浮き沈みの激しい業界よりも、製造業は長く働きたい人に向いているでしょう。国内企業なら、比較的終身雇用制度や年功序列のようなものが企業カルチャーとして残っているところも多くあります。
- 管理会計の知識・経験と英語力があれば、海外で活躍する道も開けてくる。大きなメーカーであれば、年収も高く、比較的安定している会社が多いので、長く働きたい方にはオススメの職場と言える。
将来性を見込んでメーカーへの転職を成功させよう
製造業の業績に最も影響するのは当然売上なのですが、基本は「どれだけコストカットをして利益率を上げていくか」がキーになります。固定費・変動費などを見直し、損益分岐点などでの管理会計分析は欠かせません。適切なタイミングに設備投資も行うべきですし、その上、借入金などの財務活動も適切に管理されるべきです。仕入価格の変動リスク、為替リスクなどにも備えておかなければなりません。
円安によって為替差益が出るメーカーもあれば、その分、為替差損が出るメーカーもあります。原料の高騰によって相次ぐ値上げを発表している食品業界、反対に原油安によって、仕入コストが減り、過去最高益を計上しそうな化学メーカー、重工業、機械産業も多いです。
それぞれの将来性を見極めて、メーカーへの転職を成功させましょう。世界に誇る有名メーカーだけではなく、日本の中小メーカーのなかには、優れた技術や製品をもつ企業が数多くあります。そんな企業の一員となり、世界に一緒に羽ばたいて行くのも魅力的ではないでしょうか。
製造業は華やかさこそありませんが、確実に経理スキルを身につけることができますし、ある意味で長い目で成長を見守ってくれる環境があります。そのため、安定した経理・会計の仕事を求める人は、日系または外資系のメーカーの転職を考えましょう。
外資系メーカーは、本社へのリポート作成はすべて英語になりますが、基本コンセプトは同じなので、英語での勘定科目や会計基準の多少の違いを覚え、なおかつ日系メーカーでの業務経験があれば、だいたい仕事をこなすことができます。
- 安定した経理・会計の仕事を求める方は、日系・外資系問わずメーカーへの転職がオススメ。また、そのメーカーの属する業界や会社自体の将来性も見据えて転職活動をすると良い。
本記事は2016/03/24の情報で、内容は経理としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。