土木施工管理技士の経験を活かせる職種

職業:土木施工管理技士

603views

imasia_6891152_M

 

土木施工管理技士の資格と経験を活かした転身

 土木施工管理技士は現場監督の最も基礎部分となる資格です。この資格をベースとして経験を積んだ場合、以下のような職種との関連が生まれてきます。土木工事に関わるそれぞれの専門技術に特化した職種と、現場監督で培った一般ビジネススキルを活かした職種の2つに分けて説明します。

 

 また、土木施工管理技士としての経験が活かせる転職先は比較的幅広いのですが、学歴から基礎的な素質を判断されることは否めません。例えば、大手ゼネコンでは高度な現場管理を要する時代に突入し、オールラウンダーでありながら専門性の高い分野を併せもつT型タイプの技術者育成を見据えており、大学院卒の需要が高くなっています。転職先の職種ごとに目安となる学歴も併せて紹介します。

 

専門技術に特化した職種

  • ① 設計技術者

 土木施工管理技士は現場工事の開始にあたって施工計画を立て、設計図に書かれているものをどのように作るかという方法を立案します。設計図には施工方法まで記載されていませんので、現地に合った施工方法を考えて、場合によっては施工を容易にするため仮設構造物を設計することがあります。こういったケースは標準的な工法や現場状況と異なる工事をやってきた現場監督ほど、多く経験しているものです。

 

 ここでの設計とは、「施工するための道具となる構造物の設計」なので、建設コンサルタント業務の設計技術者が行う設計とは性格が異なります。しかし、構造計算という基本的な部分は共通しています。コンサルタントの設計技術者は、「全く無地の地図の上に事業目的と現状課題を見つけて問題解決するプロセスがあり、最後に構造計算する」という仕事のプロセスですので、この最後の部分が共通していることになります。

 

 また、近年はコンサルタントの設計段階で概略施工計画の立案を求められるケースが増えており、このような場合では、現場監督を経験している技術者の見識がとても重要視されます。

 

<目安の学歴>

 現役の設計技術者の中には、40代以上で高卒・専門学校卒の人も多くいます。しかしながら、土木施工管理技士が中途採用で設計職を目指す場合は、大学卒以上(土木学科専攻)の学歴が必要となることがほとんどです。採用試験で専門科目のテストをするような会社はほぼないため、設計に関する素養は学歴で判断されます。高卒や専門学校卒で設計職に転身する場合は、技術士の資格を持っていることが鍵になります。

 

  • ② メーカー技術者

 土木施工管理技士が関連するメーカーとしては、直接的な関連性がある順に、コンクリート製品、鋼材製品、建設機械、施工管理補助システム(GPSや3Dスキャナなどのコンピュータを利用した支援システム)などがあります。どのような材料や機械、補助システムがあると、より施工管理が楽に、短時間で、安く、高精度にできるかという視点は、土木施工管理技士として現場管理をしてきた技術者が最も熟知している分野です。この点を活かせば、製品開発や製造管理などの職種との関連が高まります。

 

<目安の学歴>

 メーカー技術者は材料や機械についての専門分野に特化します。企業規模や扱う製品にもよりますが、設計技術者ほどは高い学歴を必要としない場合もあり、専門学校卒以上であれば十分に可能性があります。ただし、製品開発に関わるような技術者となると、大学院卒レベルの学歴が求められます。

 

  • ③ 公務員技術者

 現場監督は、契約変更や新規工事の受注で工事積算に精通しています。また、発注者の現場監督員がどのような仕事をしているかも把握しています。これらの仕事では、現場監督は公務員と同じ水準の職務遂行能力を持っています。公務員技術者は上記に加えて、全体事業計画の立案と予算要求、設計管理、会計検査対応といった仕事が加わってくる形です。

 

<目安の学歴>

 公務員の中途採用試験では、応募条件は高卒以上であることがほとんどです。しかし、応募者の多くは大学卒以上であるため、ライバル以上に、採用試験(特に筆記の数的推理、判断推理)で学力・論理的思考力の高さを示し、面接では建設分野での豊富な経験をアピールしなければなりません。

 

  • ④ 研究者

 大学で専攻した研究経験や、経験工事の中で特化してきた分野を活かせば、研究職との関わりも生まれてきます。実際に、大手ゼネコンには技術研究所がありますが、ここに所属する研究者は入社後最低でも1年以上は必ず現場監督を経験し、大学での専攻分野や経験工種などに絡めた研究をするパターンが多いです。

 

 それ以外にも公共機関や地方自治体、大学、建設コンサルタント会社が持つ研究所もあります。公に募集広告が目につくことが少ないため、大学教授のつてなどを使って中途採用枠を探す方法が多いです。土木工学は理学的な基礎学問の成果と建設分野での応用を考えるものなので、「どのような研究が建設現場で役立つのか、使いやすいのか、コストが適正なのか」といった視点は現場監督の経験者が精通しており、研究課題の選定では特に重要となります。

 

<目安の学歴>

 非常に高い素養を求められ、大学院卒以上の学歴は必須です。さらに、土木工学(応用工学)だけでなく、基礎理学に近い分野も含めた高い探究心が求められます。また、新卒のように漠然と「研究がしたい」という動機では採用は難しく、土木施工管理技士の経験の中で「○○の技術開発に関わる研究をしたい」、「○○の分野については不明な点が多く、その基礎研究に携わりたい」といった具体的な目的意識が重要となります。

 

  • ⑤ 教師(高校、専門学校)

 現場監督経験を積んで1級土木施工管理技士を持っていれば、技術科目の教師として高校に勤めるチャンスもあります。また、専門学校の講師として土木工学や測量学といった建設関連科目を教えることもできます。IT化が進んだ最近の現場での土木技術を踏まえ、基礎学をしっかり教えられる先生の需要は少なからずあります。

 

<目安の学歴>

 教諭の場合は大学で教員免許を取っておかねばなりませんが、技術科目の常任講師を雇う高校もあります。また、専門学校の講師は教員免許は必要ありませんので、高卒ならば可能性はあります。ただし、あくまで経験を踏まえて、土木工学の理論と技術を教えることがメインの仕事であるため、体系的な工学知識は必須です。

 

  • 専門技術と知識を活かして各分野の技術者に転向するケースもある。転職先によっては学歴も判断材料になることが多い。

 

一般ビジネススキルを活かした職種

  • ① 技術営業職

 1級土木施工管理技士の経験・素養には、技術営業職として活躍できる要素が多くあります。公共土木事業の営業にとって積算予測は最たるところで、他にも、発注者(民間問わず)の工事計画に関する相談相手として信頼関係を深めたり、現場からの最新情報を集めて受注に向けた対策をいち早く進めたり、材料発注先との価格交渉(運搬方法や加工工夫などを踏まえて)を行うなどの役割で、その能力が発揮できます。その点では技術力に併せてコミュニケーション力を得意とする人が適任です。

 

<目安の学歴>

 学歴条件は高卒以上です。技術営業は通常の営業とは異なり、クライアントの相談や、商品・サービスの売り込みにおいて、自分で技術的な回答ができる素養が必要です。特にメーカーの営業職で土木施工管理技士としての経験を活かすには、施工する者だけが知りうる注意点やメリット・デメリットなどの知識を、意識的に蓄積するように努めることが重要です。

 

  • ② 工場作業・店舗等の管理職

 現場監督は計画、管理(工程、品質、原価、調達、安全)、ISOシステ厶といったものづくりに関する全てのステージを管理するスキルを有しています。また、より良い製品を作るための提案力は、工事の施工計画立案や現場条件の変化に対して土木施工管理技士が求められるスキルです。このスキルは他業種の管理でも重要なポイントとなります。

 

<目安の学歴>

 現場監督、特に現場所長としての経験が十分にあり、自身の素養・能力を示すことができれば、学歴は不問に近いです。工事現場で培われた管理能力が最もダイレクトに発揮される転職です。

 

  • コミュニケーション力や交渉力を活かして技術営業職への転身や、他業種への管理職となるケースもある。学歴はさほど重視されない。

 

転職サイトランキング【最新版】

  1. 転職最大手の「リクルート」は求人件数の多さはもちろん、カバーする業種・職種の幅も業界トップ級で常に人気が高い!

  2. 転職業界大手の「マイナビ」!スキルや年収を適正に評価し、年収を最大限アップできるように担当者が徹底サポート!

  3. 年収アップに自信あり!利用者の7割以上が年収アップ!リクルートエージェントやマイナビエージェントと併用する人も多い!

本記事は2016/03/11の情報で、内容は土木施工管理技士としての勤務経験を持つ専門ライターが執筆しております。記事の利用は安全性を考慮しご自身で責任を持って行って下さい。

ページ上部へ移動する