在職中の転職活動で気を付けておきたいこと

ライター:永見昌彦

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 企業に在籍している間に転職活動を行うのか、あるいは退職してから転職活動に専念するのかということに関しては、どちらにも一長一短があります。

 

 個人的な見解としては、次の勤務先を決めてから退職手続きをとった方が経済的にも精神的にもプレッシャーが少ないため、できる限り在籍中に転職活動を行うことをお勧めしていますが、在籍しながらの転職活動の場合は、同時にいくつもの会社の選考を受けるのが(スケジュール上)難しいため、転職活動が長期化する傾向があることも考慮しておいた方がよいでしょう。

 

 今回は、「在職中の転職活動」にフォーカスして、その際に是非とも抑えておいて頂きたい点について、ご紹介したいと思います。

 

(1)プライベートアカウントを使用する

 転職活動では、転職候補の企業や転職エージェントの担当者などと、電話やメールを使って連絡を取り合うことが増えてきます。その際、メールアドレスや携帯電話などはプライベートのものを使用しましょう。いかなる状況であっても、在籍中の企業から貸与されているものを使用することは避けてください。

 

 転職活動はプライベートな活動のため、業務上必要だから貸与されているものを使用すべきではないということは、当然理由としてあげられます。ただ、それ以上に重要なことは、「会社が定める就業規則やセキュリティーポリシーに反している可能性が高い」ということです。

 

 例えば、就業規則に「業務用財産の保全のために、電子メール、データベースへのアクセスの記録を保存し、閲覧することがある」といった文言が就業規則に記載されている場合は、そういったやり取りも場合によっては会社に掌握されていることも想定しておくべきでしょう。

 

 さらに、「許可無く私用のために、会社の名称や物品を使用してはならない」と就業規則などに記載されている場合、転職活動のために会社貸与のメールアドレスやPCで連絡を取ることが就業規則違反となることもあります。すなわち、そういう行為そのものが懲戒の対象になる可能性があります。

 

(2)忙しいことを理由にいろいろと手を抜かない

 通常の業務だけでも忙しい上に、転職活動を行うことで、さらに時間的な拘束や調整事項が増えることになります。業務時間外あるいは、時差のある海外の担当者とのテレカン面接などもあると、早朝や夜遅くに面接時間が設定されることもあるでしょう。

 

 そのような状況下の時に、「現職での業務」や「転職活動そのもの」、「プライベート活動」など諸々のことについて、「転職活動をしているから時間が無い」「仕事も遂行しないといけない」というように、忙しさを理由に手を抜かないようにしましょう。「忙しいからしょうがない」「今回はいいや。次回頑張ればいいか」といった気持ちが現れると、現職においては上司・同僚・部下からの信頼感を失う、転職活動においてはそもそも良い結果が得られないといったことに繋がりがちです。

 

 転職をすると決めていろいろと活動を行っていると、現職の業務についてのやる気が下がるかもしれません。しかし、今まで自分が担当している大切な業務でもあります。最後までしっかりと手を抜くことなく、「完成された形」で後任者に渡せるようにしておくことも、退職準備の一つです。「本当の自分は、辞める時の態度に現れる」と言われています。その時の状況や印象は、意外と退職後でも在籍者の中に長く残っているものであることは、認識しておいた方がよいでしょう。

 

 転職活動中に、面接や転職エージェントとの打ち合わせなどで時間を作る必要がある場合は、フレックス勤務制度や半休/時間有給を活用する、あるいは、有給を1日とってそこに集中させるといったことも状況においては検討すべきでしょう。

 

(3)判断基準を明確にしておく

 転職活動は、内定が出る段階になると加速度をまして一気に諸々が決定することもあります。その際に、すぐに反応できるようにしましょう。これは、転職活動全般においていえることかもしれません。

 

 複数の会社の選考を同時に進めている場合は、面接を受けている会社に対する志望順位や、ある会社から内定が出た際に他の会社の選考がまだ途中だった場合にどうするのか(内定が出た会社に決めるのか、そこは辞退して選考を続けるのか)といったことを、事前に想定しておくべきでしょう。

 

 採用活動を行っている企業も、皆様に内定を出しつつも、もし断られたら次候補の人にしよう・・・といったことを検討していることがほとんどです。そうしないと、一人から内定を断られたら、採用活動そのものを最初からやり直すことになり、費用的・業務的インパクトが大きいからです。そのため、「とりあえず内定をもらっておいて、結果が出揃ってから考える」というのは、中途採用の場合はよほどタイミングがあわない限りは難しいと思っていたほうがよいでしょう。

 

 転職活動では返事をしなかったために内定が取り消しになり、他の方に内定が出るということは大いにあり得ることです。そのため、何を重要視して転職する会社を決めているのか、という「軸(判断基準)」を明確にしておくべきでしょう。一例として以下のような「軸(判断基準)」が考えられます。

 

    • 職種
    • 転勤の有無
    • 外資系か日系か
    • 採用されるポジション
    • 給与
    • 転職時期

 

 いろいろな基準がありますが、人によって重要度合いは異なるはずです。面接を受けている会社は、自分の軸にてらしあわせるとどの部分が合致しているのか、ということは心の中で、あるいは、他人に公開しないとしても資料化しておき、いざとなったらそれに立ち返ることができるといいでしょう。

 

今回の記事のまとめ

 今回は、在籍中の転職活動にて留意しておくべきことについてまとてみました。在籍中の転職活動では、少ない時間を見つけて行うことになるため、普段より忙しくなることがほとんどです。

 

 しかし、その中でも、なぜ転職活動を行っているのかということをしっかり認識し、自分のキャリアを自分で作っているのだと思えば、乗り越えていけることだろうと思います。皆様の転職活動が成功することを祈っております。

 

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ライター

永見昌彦外資系転職にも精通した人事歴20年の人事専門家

「人事キャリア20年のプロが語る、転職前に必読のはなし」シリーズ

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のべ1300名に対する中途採用社員向け新人研修のファシリテーターを担当し、人事情報システムにも精通したフリーランス人事。外資系ソフトウエアベンダーおよびコンサルティングファームで人事コンサルタントとして勤務した後、事業会社(ラグジュアリーブランド持株会社)で人事企画マネジャーとして人材開発・人事システム・人事企画を兼務。事業会社、コンサルティングファームの両面から人事に20年たずさわった経験を活かして、2016年に独立。専門性が要求される業務があったとしてもフルタイムで雇うほどのボリュームではない、あるいは担当者が不足していても社員を雇うことが難しいといった法人を対象に、人事全般のプランニング・コンサルティング・実務にたずさわっている。また、個人に対してブレストパートナーとして、プロジェクト策定や課題解決策検討のための個別コンサルティングも行っている。

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