ラグジュアリーブランド販売スタッフに欠かせないスキルとは?

ライター:永見昌彦

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 私は今年の9月に独立する前は、約10年間ラグジュアリーブランド持株会社の人事部門で勤務しておりましたので、現場(店舗)にて勤務する社員の様子を見る、あるいは、研修などでオフィスにいらした時に実際に話す機会が多くありました。そこで今回は、人事からの視点で「ラグジュアリーブランドの販売スタッフとして求められるスキルや特性」についてご紹介したいと思います。

 

 少し記事としては、読んでいただく方の属性は狭いですが、優れたデザインやブランドが有している歴史に裏づけされた技術力の高さから、ラグジュアリーブランドに憧れを抱く方もいらっしゃると思いますので参考になればと思います。

 

ラグジュアリーブランドならではの・・・

 このサイトをご覧になられている方の中には、ラグジュアリーブランドにて接客販売をしてみたいと転職を検討している方もいるでしょう。

 

 ラグジュアリーブランドでも販売員は販売員ですから「接客して販売すること」が主な仕事です。それ以外にも、商品の陳列、清掃、入出荷処理、シフト作成、本社のレポート作成、部下がいる場合は指導・教育といったことが業務であるという点では、ラグジュアリーブランドの販売スタッフといえども、他の商材を扱っている販売員と違いはありません。

 

 ではラグジュアリーブランドでも販売員にはどんなスキルが求められるか、いくつか代表的なものをまとめてみました。

 

  • (1)商品に対する知識と提案力がある

 まず挙げられるのが商品に対する知識です。お客様の中には、販売スタッフよりも長い年月そのブランドのファンであり、顧客であるという方も多くいらっしゃいます。そのため、「スタッフなのにその位のことも知らないのか」と思われるような程度の知識レベルでは、店頭に立つのは難しいでしょう。

 

 もちろん、そういったことは実際にそのブランド会社に勤務してから習得すればよいのですが、それに対してどれだけ興味・関心があるのかによって習熟度合が異なってきます。さらに知識だけではなく、ブランドの歴史やフィロソフィー、創業者のブランドに対する「想い」が商品にどう反映されているのかを、さながら「伝道師」のようにお客様に伝えられる能力も重要な役割です。

 

 また、知識だけではなく提案力も求められます。単なる消費財ではないのがラグジュアリーブランドの商品です。それを身に着ける方々の生き方を表現する方法とも言えます。そのため、今までお買い上げになったジュエリーや時計とのバランスや身に着けるシーンや状況をふまえた提案をされると、購買意欲も高まるものです。

 

  • (2)人と接するのが好きで他人に関心が持てる

 これは、ラグジュアリーブランドの販売スタッフに限ったことではありませんが、人と接する仕事である販売員としては欠かせない特性だと思います。

 

 お客様によっては、一生に1回か2回しか買わないような高価なジュエリーや時計かもしれません。「なぜ、このお客様はシンプルなデザインの時計を好むのだろうか?」「婚約指輪を検討するのに、このブランドを選んでくれたのは何がきっかけだろうか?」「こういうバッグを持っているということは、デザインがはっきりしたものが好みなのかな」といった、店頭にいらっしゃる方々のちょっとした振る舞い、持ち物、会話の内容などに注意を払えることで、得られる情報は意外と多いものです。そこからお客様と話すきっかけが生まれ、好みを掌握できることもあるでしょう。

 

 販売スタッフの中には、ワイン好きなお客様が多いことをきっかけに、ワインの勉強をして「ワインエキスパート」の資格をとった販売スタッフもおりました。何よりもお客様に関心を持っているという行動力の現れだと思います。

 

  • (3)マニュアルを卒業した一手が打てる

 仕事を手順や基本をまとめた「マニュアル」はどんな職種にも存在しています。販売業務においても、マニュアルが全く無いわけではありません。そのマニュアルを相手にあわせてどう使いこなせるのかということが重要となります。

 

 お客様が来店されたら「いらっしゃいませ」と言うのは接客の基本です。ただ、いつも通ってくださっている常連顧客にとっては、それだけでは物足りなさを感じるかも知れません。そこで「いらっしゃいませ。いつもご来店のほどありがとうございます」と一言加えるだけで、「よく来店してくださっていることを覚えている」という「思い」も伝わります。

 

 また、結婚指輪を検討しているとおっしゃったお客様に、いきなり「ご予算はいくらですか?」と聞きたいことをストレートに伺うだけでは、商談の成立は難しいでしょう。このような時は「おめでとうございます!」とか「お式はいつですか?」というように、相手に寄り添った一言を付け加えることができるだけで、お客様にプラスの印象を持って頂けることがあるので、それによって接客にも差が出ます。

 

 こういったことを自然にできることが、ラグジュアリーブランドの販売スタッフにはもとめられます。

 

今回の記事のまとめ

 商品を販売するだけではなく、ブランドの歴史やフィロソフィーをお客様に感じ取っていただけるような振る舞いや言動ができることが、ラグジュアリーブランドの販売スタッフとしての素養の一つです。

 

 そのためには、マニュアルどおりの接客から一歩出た行動やお客様に寄り添ったコミュニケーションを取れること、そして「人と接することが好き」であることは、何よりも重要ではないかと思います。今回は少しニッチなテーマになりましたが同業界で転職を検討中の方がいらっしゃれば是非ご参考下さい。

 

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ライター

永見昌彦外資系転職にも精通した人事歴20年の人事専門家

「人事キャリア20年のプロが語る、転職前に必読のはなし」シリーズ

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のべ1300名に対する中途採用社員向け新人研修のファシリテーターを担当し、人事情報システムにも精通したフリーランス人事。外資系ソフトウエアベンダーおよびコンサルティングファームで人事コンサルタントとして勤務した後、事業会社(ラグジュアリーブランド持株会社)で人事企画マネジャーとして人材開発・人事システム・人事企画を兼務。事業会社、コンサルティングファームの両面から人事に20年たずさわった経験を活かして、2016年に独立。専門性が要求される業務があったとしてもフルタイムで雇うほどのボリュームではない、あるいは担当者が不足していても社員を雇うことが難しいといった法人を対象に、人事全般のプランニング・コンサルティング・実務にたずさわっている。また、個人に対してブレストパートナーとして、プロジェクト策定や課題解決策検討のための個別コンサルティングも行っている。

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