みなさま初めまして。又村と申します(プロフィールはコチラ)。私は人事の経験はほぼ20年、そして現在は社員研修の講師をしております。私は自分自身の人生で4回転職をしてまいりましたが、お陰様にていずれも人事の最高責任者として採用されました。
いずれの企業も当時急成長の外資でしたので採用活動は毎日のように行われ、面接に追われる日々でした。採用面接は最終決定者として各企業において幹部、マネジャー、専門社員を含め、毎日のように実施しまして面接した数は計り知れません。私自身も面接を4回受けまして転職をしたため、面接責任者としての体験と応募者としての体験をしている者でございます。
この度ご縁がございまして転職ステーションのコラムを担当することになりました。小生のささやかな体験から何かお役に立つことができるのかと思いますと、心より嬉しい気持ちで一杯です。責任も強く感じますが、できるかぎり、面接体験者として現場に近い目線でコメントをまとめていこうと思っておりますので、何卒宜しくお願い申し上げます。皆様の転職が成功されますことを強く念じております。
今回は初めての投稿としまして「元面接官が明かす「絶対に採用面接に成功する為の準備術」シリーズ1」ということで、小生の体験から、「応募する企業の情報をしっかり把握しておくことの重要性」について述べさせていただきます。
紀元前からある有名な言葉
「彼れを知りて己を知れば、百戦して殆[あや]うからず。彼れを知らずして己を知れば、一勝一負す。彼れを知らず己を知らざれば、戦う毎[ごと]に必らず殆うし。」
(※敵と味方の実情を熟知していれば、百回戦っても負けることはない。敵情を知らないで味方のことだけを知っているのでは、勝ったり負けたりして勝負がつかず、敵のことも味方のことも知らなければ必ず負ける)」
紀元前500年、中国春秋時代に思想家孫武という方が著した兵法書の中にある言葉で、どなたもご存知な言葉ですが、2500年経過した今でも戦争論そしてビジネス戦略の基本の一つとして使われている考え方です。特に興味深いのは「己を知り」が先に、ではなくて、「彼を知り」が先だということです。要するに自分の事よりも先に相手のことを良く調べて、熟知した上で勝負しなさいということです。
「敵は百万ありとても。。。。」という言葉がどこかの国にありましたが、もし事前に敵の兵隊の人数が百万人いることが情報としてわかっていて、味方が一万人しかいない場合でも戦争を始めて勝てるでしょうか?孫子の兵法は、戦争における必勝の戦略戦術志向として、また現在でも経営戦略を考える時に、非常に重要な思考法として戦争や政治、経営等あらゆる分野で活用されている考え方です。
就職試験にも必ず成功するためには戦略戦術が必要となります。今や世の中は、製品の競争、マーケティングの競争を超えて人材競争に入っていると言っても過言ではありません。要するに人材の差が競争力の差になっているのです。そのため企業側は書類選考で厳しく人材としての検証をした上で、面接でしっかり採用する人を見極めるわけです。
面接では会社側としても全身全霊で少しでも優秀な人材を確保しようと真剣に面接をします。応募者も面接はごく短時間での決戦と考え、孫子のいう「彼れを知りて己を知れば、百戦して殆うからず」の考え方を取り入れることが重要であり、できる限り完全なる準備態勢を整えなければなりません。一回限りの面接が絶対に失敗に終わらないよう、徹底的に応募先企業を研究して面接に臨み、どんな質問が来ても落ちついて答えられるようにして面接に臨む必要があります。
なぜその会社を選んだのかを明確にしておくこと!
私が過去に色々と面接をしてきて感じたことの1つですが、応募する会社のことを聞かれて即答ができず黙ってしまう面接者が多かったということです。
- 「なぜ弊社に入社したいのですか?」
例えば、実際にあなたが面接会場で面接が始まったとします。そこで面接官から「早速ですが我が社をご希望ということですが、なぜ我が社に入社したいのですか?」と聞かれて、すぐに明確に「応募した会社をあえてなぜ選んだのか」について答えられる応募者は意外に多くはありません。「私の性格に合っていそうだからです」とか「仕事が私のやりたい仕事であったからです」だけでは答えになりません。面接官にすれば会社のことを良く知らないのに何故「自分の性格に合っていそうだ」とか「私のやりたいことができそうですから」と答えられるのかわからないからです。
- 「弊社の企業理念をご存じですか?」
また別の事例で、もし面接官から「我が社の企業理念をおっしゃっていただけますか?」と問われて、すぐに答えられるでしょうか?この意味は「あなたが応募されている会社が、何の為に設立されたのかご存知ですか?」という意味の質問なのです。これは入社されてからの基本的判断基準になるものであり、また「私のこの会社でのミッションが何か」を考える基本的指針になるわけですから、この点を応募者が把握しているかを確認することは実は採用の判断をする特にかなり重要な指標になるのです。
<※下記の想定問答はチェックしよう>
企業理念ばかりでなく、応募する会社の規模、事業内容、取り扱い製品、評判等、今はインターネット情報でいくらでも情報は取れるはずです。面接想定問題を考える際にも応募する会社についての情報はできる限り綿密に調査しておき、どのような質問が出てきても対処できるようにしましょう。参考までに質問例を挙げますので面接前に用意することをお勧め致します。
- なぜ我が社を選んだのか理由を述べてください。
- 我が社の企業理念について知っていることを述べてください。
- あなたが我が社に貢献できそうなことは何ですか?
会社の事業内容、規模等で色々と「応募する企業」からの質問は変わるかと思いますが、応募先の情報を調べれば調べるほど、相手から出てくるであろう質問も思い浮かぶと思いますので、よくよく応募先の情報を調べきることが大事です。
上記の通り、面接の前には応募する会社の経営情報をよく読み、企業理念等をしっかりと押さえておく必要があります。ただ、面接ではどんな順番で質問が飛んでくるかは予測はつきません。社長もおられるでしょうし、人事部長、担当部門の部長、担当者等色々と出席される可能性がありますし、何を聞かれるかわかりません。
企業は面接者にその会社に入って即戦力として現在いる社員と同じようにかそれ以上の成果をあげてくれることを望んでいます。応募する会社のことを知らないまま面接を受け、応募する会社に関する質問に答えられなければ「この応募者は我が社のことをよく調べて面接に臨んでいるな!」とまず最初から良い印象を与えるのは難しく、そこで面接失敗の一つの大きな要因になることは間違いありません。
自分がその企業に入社したらどれだけ貢献できるか?
企業の採用の目的は、あくまでもその企業で今欠けている人材を確保するためです。すなわちそのポジションの人材がいないために、それを埋める必要があるために採用活動をしているわけです。
ゆえに、応募する企業の特定の問題を解決する人材が必要であるための採用活動であり、あなたは応募して合格したらその問題を即戦力としてすぐに解決することが期待されているわけです。したがって「なんでもやりますから採用ください」では通用しないことになります。
採用担当者としては募集している特定のポシションが管理職であれ、専門職であれ、その募集している必要なスペックをあなたが満たしているかを30分程度の面接で判断しなければならない状況が面接なのです。そして全部で30分とすれば応募者に与えられた時間は半分の15分が精一杯というところです。その15分でご自分の全部が判断されこれからの人生の方向性が決まるのです。どれだけ準備してもこの瞬間をパスし合格を勝ち得て、人生を更に発展させるには準備しすぎることはありません。
この記事のまとめ
今回の元面接官が明かす「元面接官が明かす「絶対に採用面接に成功する為の準備術」シリーズ1」のポイントは、すなわちまず「応募する会社の情報をできる限り仕入れ、頭に叩き込んでおく」ということでした。どうぞ早速この点に隙がないように十分に進めてください。
次回は「元面接官が明かす「絶対に採用面接に成功する為の準備術」シリーズ2」ということで、「自分自身について良く整理して行く事ということの重要性」についてご説明する予定です。次回をお楽しみにしていてください。ありがとうございました。ご成功をお祈りいたします。
又村紘人事管理職歴20年のキャリアで自身の書籍も多数
元面接官が明かす「絶対に採用面接に成功する為の準備術」シリーズ
現在:有限会社ヒューマンマネジメント研究所 代表取締役社長
経歴:日本アイビーエムに在籍中本社採用センター統括責任者として数千人の採用を指揮、全数確保の原動力になる。その後スカウトされ BMWジャパン初代人事部長(ドイツ)、日本サンマイクロシステムズ取締役総務本部長(アメリカ)、エアーリキード(株)人材部長(フランス)デル ジャパン 初代人事ディレクター等を歴任採用の最終責任者として活躍。その後世界に通用するビジネスパーソン育成を目標に特にディベート、プレゼンテーション、会議術、リーダーシップ、マネジメント能力強化研修講師としての活動に20年ほど従事、参加者は数万人を超え、現在も現役で活動中。自身のグローバル企業における人事管理職としての多様な経験と自身の転職キャリア形成体験,様々な企業での研修講師としての体験からできる限り現場に近いアドバイスを目標に転職成功のためのコラムを提供する。
(著書)
敵を味方に変える人間術 (東洋経済新報社)
人生リエンジニアリングのすすめ(日新報道)
男の知的武装術(太陽企画出版)
転機を飛躍に変える70の法則(講談社)
英会話この順番でやればムリなく話せる(三笠書房)
究極の自己アピール術『あぼひなまの法則』(日新報道)
(訳書)
願望は必ず達成できる。ロバート・シュラー著(PHP研究所)
成功の時は今(日本教文社)ジャック・アディントン著
人生が面白くなる心理学(日本教文社)ジャック・アディントン