現役行政書士が教える転職時の「募集要項」のチェック点

ライター:井上通夫

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 再就職する人にとって、会社の「募集要項」や「求人広告」は、会社を選ぶ際の最初の手がかりです。しかし、短い言葉で書かれた言葉から、どのような基準で会社を選んでいいかというと、なかなか難しい問題です。

 

 そこで今回は、「募集要項」を見る際に、是非ここはチェックして欲しいという点を、「行政書士の視点」からご説明します。

 

年齢制限がある募集要項は有効か?

 ひと昔前は、新聞の求人欄に「40歳までの明るい元気な人求む!」などの広告をよく見かけました。しかし、現在ではこのような表現はできないようになっています。

 

 これは、2007年(平成19年)に施行された「改正雇用対策法」によって、社員等の募集・採用に関する「年齢制限」が、原則的に禁止されたからです。募集の段階でハードルを設けることをせずに、応募者に広く機会を与えようという趣旨です。

 

<※年齢制限記載の例外は?>

 

 例外的に「年齢制限」を提示することが認められている場合もあります。この場合も、上限を定めるには、求職者や職業紹介事業者等に、その理由を書面やホームページ等で公開することが義務づけられているのです。

 

 例えば、警備員の募集の場合、「労働基準法」等の規定により「年齢制限」を設けることが認められています。これは、警備という業務の特殊性がその理由です。

 

 このように、「年齢制限」という一つの項目を見ても、その職業が持つ特性を見ることができるのです。

 

 

「募集要項」と「労働契約」の違いとは?

 「募集要項」を見て、会社に応募し、運よく採用されて入社した後で、「待遇が違っていた」と気付いたという話は、残念ながら少なくありません。

 

 もちろん、「募集要項」と著しい違いの待遇であれば問題であり、人事担当者や総務課等と協議する必要がありますが、多くの場合多少の違いには目をつぶってそのまま働く続けることになるでしょう。

 

<※諸外国とは違う日本独特の概念?>

 

 元々日本では、労働関係に関して「契約」という概念が薄く、更に「自分は雇われている身だから」とややあきらめにも似た感情を持ちがちです。

 

 しかし、基本給が数千円、労働時間が一時間違っただけでも、一年という長さで考えたら、大きな差になってしまいます。ですから、できれば「採用面接」の際に、気になった点を確認する作業をしていきましょう。

 

 ただ、細かいことを一つ一つ尋ねると、面接担当者もあまりいい印象を持ちませんから、できれば1つか2つにとどめて、手短に確認する程度にとどめておきましょう。

 

 

 ここから本題ですが、採用が決まった後で、正式の会社と「雇用契約」を結びます。多くの会社では、「労働契約」という名称で、主に待遇面について、社員と会社が合意した証として「契約書」を交わすことになります。ただ、会社によっては、口頭で伝えられる所もありますので、この場合には後々のトラブル回避の意味でも、書面での提示を求めましょう。

 

  この「契約書」によって、初めて会社が社員をどういう待遇で雇用するのかが見えてきます。

 

 「募集要項」に書かれた待遇と現実とが多少違っていても、「誤差の範囲」とあきらめもつきます。しかし、「労働契約」ともなれば、それを締結した瞬間に、お互いに義務や権利が生じてきますから、極めて重いものです。特に、雇用期間、給与、勤務時間、休日、休暇、残業の有無、就業場所等については、「労働基準法」で書面によって明示するように義務付けられていますから、是非確認したい項目です。

 

「募集要項」の4つのチェック点

 具体的に「募集要項」のどこをチェックしたらいいのでしょうか?転職希望者が気になる4つの項目について見てみましょう。

 

  • (1)給与の表示方法

 ほとんどの人が気になるのは、「給与」でしょう。給料額には「額面」と「手取り」があります。「額面」は、基本給に交通費や家族手当等の諸手当を含んだ金額です。一方、「手取り」は、その「額面の給与」から所得税、住民税、社会保険料等が引かれた金額のことです。通常、手取り額の方が額面よりも20%程度低くなります(もちろん年収によって累進課税の割合は変わります。)一般的に、表記がない時には、「額面」だと考えて差し支えありません。

 

 また会社によっては、組合費や社内預金等もあらかじめ給料から引かれる場合もあります。ですから、「手取り」からどのような項目で何が引かれるのかを確認していても良いでしょう。

 

  • (2)社会保険完備とは?

 社会保険には、雇用保険、労災保険、厚生年金保険、健康保険の4つがあります。「社会保険完備」とあれば、この4つの保険に加入している会社ということです。このうち、雇用保険と労災保険は、全ての会社に加入が義務付けられていますが、厚生年金保険と健康保険については、必ずしもそうではありません。

 

 また「社会保険完備」としている会社でも、労働時間や日数によってそれぞれの保険の加入義務があるか否かが変わってきますので、事前に確認が必要です。「募集要項」に「社会保険完備」とない場合には、保険が整備されているのかを是非確認しましょう。

 

  • (3)週休二日の表記方法

 多くの会社で「週休二日制」が導入されていますが、表記に着目しましょう。「完全週休二日」とあれば、年間を通して1週間のうち必ず2日は休みがあるという意味です。つまり曜日に関係なく、1週間にうちに2日の休みがあります。一方、「週休二日」とあれば、1か月のうち最低1週間は2日休みが取れるという意味です。

 

 例えば、1か月のうち週に2日休めるのが1週だけで、残りの週は週休1日という場合も、この「週休二日」に該当します。「完全」があるとないとでは、大違いです。もし「募集要項」に「週休二日」とあった場合には、1か月に休日数を確認してみる必要があります。

 

  • (4)交通費支給の表記

 多くの会社で「交通費支給」という表記があります。特に遠距離の通勤を余儀なくされる社員にとっては、有り難いことですが、しかしその内容を確認しておく必要あります。

 

 例えば、「全額交通費支給」とあれば、通勤にかかる交通費を会社が全額してくれます。しかし、ただ「交通費支給」としか書かれていないのであれば、その会社の社内規定によって支払われる可能性が高いということになります。

 

 社内規定ですから、例えば「会社から〇㎞以内の通勤は会社負担」、「月額○万円まで会社負担」等です。「募集要項」だけでは分からないことですから、遠方の人は面接時に是非確認しましょう。

 

 

今回の記事のまとめ

 「募集要項」は、文字数が少ないだけに、その中から会社の特徴や実態を想像するのは至難の業です。しかし、その短い言葉の中にも、その会社が社員をどのように待遇しているのかを見ることができるのです。転職を成功に導く一つの方法でもあります。

 

ライター

井上通夫福岡で開業する現役行政書士

「転職でよくある悩み・トラブル!現役行政書士が解決!」シリーズ

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現在福岡市で行政書士事務所を開業(平成20年7月より)。現在、民事法務(契約書、内容証明、離婚協議書等)を中心に相続・遺言業務、企業の顧問等を行っている。大手クレジット会社、大手学習塾の勤務を経て現職。法律の知識や過去の職業経験を活かして、民事関係はもちろん転職・教育金融関係等の相談にも対応している。転職ステーションの中では、行政書士の視点から転職時の注意点などを幅広く解説中。

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